社会
津市に拠点を置く「特定非営利活動法人パフォーミングアーツネットワークみえ」=油田晃代表理事、以下・PANみえ=が11月、津市美里町三郷に新劇場『Théâtre de Belleville』を開設。今年津市に拠点を移したレジデントカンパニーの「第七劇場」=代表・鳴海康平さん(34)=が11月23・24・30日、こけら落とし公演「シンデレラ」を上演する。新たな地域の文化拠点に期待が集まる。
北海道出身で演出家の鳴海さんは99年、早稲田大学在籍中に数名の俳優と共に『第七劇場』を創立。「国境を越えることができるプロダクション」をポリシーに作品を制作し、全国や韓国・独・仏で公演を行ってきた。「例えば夕焼けを見たときの感動を、言葉以外のもの、舞台上の人の動きや照明、音響、舞台美術など空間が持っているドラマで感じてもらえる作品を目指している」と言う。
06年から東京に拠点を構えていたが、約5年前、三重県に拠点を移すことを決める。きっかけは、当時、県内での活動を
通じ、三重県立文化会館やPANみえのスタッフなどが、文化振興や県民への舞台芸術の提供に、官民協働で熱心に取り組んでいるのを知ったこと。鳴海さんにとって他の地域では見られなかった珍しい事例で、非常に魅力に感じたという。
新劇場の名称はフランス語で直訳すると「美里(美しい里)の劇場」。PANみえが管理運営を行う劇場として津あけぼの座、津あけぼの座スクエアに続き3カ所目。建物は元々企業の資材倉庫で、拠点を移したいという鳴海さんの希望を受け、油田さんらが探し出した。現在、同劇団員らが改装中で舞台面の間口9・6m、奥行き7・2m、客席は常設60席となる予定。 また、こけら落とし公演「シンデレラ」は、有名なグリム童話や、世界中にある良く似た昔話を油田さんが再構成したもの。コンセプトは、「小さな大人(=子供)と、大きな大人のための誰も見たことのない、シンデレラ」「私の人生は私が決める」。オーディションで選ばれた県内など在住の男女4名も出演する。 鳴海さんは「アートや文化を人生を豊かにするために上手く利用するということを形にして、皆さんに伝えていけたら。また、地域に根ざした劇場や、地域を飛び越えて外に文化発信する拠点、色んな人が色んな地域から集まる拠点、若い表現者を支援する拠点としてミッションを実現していきたい」と抱負を語った。
新劇場から、津市や美里町ならではの文化や、人々の交流が生まれることを期待したい。
なお「シンデレラ」の公演は11月23日15時、24日①11時半②17時、30日15時開演▼上演時間約60分、全席自由。各回開演の40分前から受付、20分前開場。各回終演後、ゲストとのトークあり▼チケットは一般2千円・22歳以下千円・親子ペア2千500円(大人1名と小学生以下1名)。※こけら落とし限定の美里割スペシャル!として美里町在住の全ての人を招待※津あけぼの座・津あけぼの座スクエアで実施している割引(ごひいきさん・ごひいきさんハーフ・リピート割)も利用可能▼予約は津あけぼの座のHPまたは☎津222・1101、第七劇場のHPで受け付け中。
2014年10月9日 AM 5:00
㈱岩出菌学研究所の原田栄津子さん(41・農学博士)は、同社が世界で初めて人工栽培に成功した南米チリ原産の食用きのこ『グリフォーラ・ガルガル』の研究成果によって、9月10日~12日に京都大学で行われた『日本きのこ学会25周年記念大会』で奨励賞を受賞した。
日本きのこ学会は、その名の通り、きのこに関する学理とその応用技術について、発表・連絡・知識の交換の場となることで、きのこの科学技術に関する研究の普及と日本の学術と関連産業の発展に寄与することを目的としている。
原田さんが受賞した奨励賞は学会が授与する3つの賞の内で前途有望な若手研究者を対象とした栄えある賞。受賞の対象となった研究「食用担子菌 Grifola gargal の分類学的解析および培養技術開発」は南米チリ原産のきのこ・グリフォーラ・ガルガル(以下ガルガル)の遺伝子学的な特徴などを明らかにした基礎研究が中心の内容。
ガルガルは現地の人でも見つけるのが難しい幻のきのこと呼ばれている。同社では06年に世界で初めて人工栽培に成功している。
ガルガルの大きな特徴は杏仁と同じベンズアルデヒドを主成分とした芳香。更に、カルシウムの吸収や筋肉強化など、骨の健康に欠かせないビタミンDが豊富に含まれている。そのほか破骨細胞形成抑制作用・抗酸化作用・抗炎症作用・血糖降下作用などの薬理効果が確認されている。また、美肌成分として知られるエルゴチオネインが多く含まれていることや、最近の研究では、動脈硬化症に効果があることも分かってきた。研究が進むにつれ、このキノコの持つ力が、どんどん明らかになっている。
しかし、最初の頃は、同じグリフォーラ属のマイタケと姿形が似ていることから、理解や興味を示す研究者は少なかったという。その後、地道な研究と発表を続ける内に、徐々に学会の中へ浸透。そして5年前には、岩出菌学研究所の代名詞ともいえる姫マツタケと共にガルガルの性質などをまとめた研究成果を発表し同学会の技術賞を受賞(岩出菌学研究所の川出光生さんと共同で発表)。更なる地道な研究の結果、今回の受賞に繋がった。
原田さんは現在、三重大大学院医学系研究科の免疫学研究室にも籍を置きながら研究を続けている。「ガルガルが人の疾患に効果があることも徐々にわかってきた。病気の治療にも活用できるようになれば」と意欲を燃やす。まだまだ未知の力を秘めたガルガル。今後の研究の発展と様々な活用にも期待される。
2014年10月2日 AM 5:00
10月4日、㈱赤塚植物園=津市高野尾町=所有の栽培見本農場「ヒーサーの森」で、産学連携による『第14回・地域が応援するキャリアアップセミナー』がある。県内の中高生たちが里山に住む昆虫や植物の調査や、二酸化炭素量の測定と共に、里山の保全やビジネスへの活用などを学ぶ。更に、ユネスコが推進する持続可能な開発のための教育「ESD」を実践し、浸透させていく絶好の機会としても注目される。
同セミナーは、地域の未来を担う中高生に、進学などで都会に出たとしても、将来的には三重県や津市で活躍してほしいという願いを込めて三重大を中心とした産学連携で開催してきたもの。主催は同セミナー実行委員会。
今回のテーマは「里山の生物(植生・昆虫)と持続発展教育(ESD)」。共催の三重大・名古屋産業大学・三重県教育委員会・㈱赤塚植物園の連携による実践的な環境学習を行う。
メインの会場となるのは赤塚植物園の栽培見本農場『ヒーサーの森』。豊里ネオポリスの奥に広がるこの場所では同社の主力商品であるシャクナゲを始めとする様々な植物の試験栽培などが行われている。また、広大な敷地は里山として行き届いた整備がされており、植物や、そこに集う昆虫など生物の種類も豊か。環境学習を行うには、この上ないフィールドといえる。
また、それら環境学習と共に大きなテーマとして掲げているのは、ユネスコが世界で広めている持続発展教育の「ESD」。それは環境だけでなく、エネルギー・防災・生物多様性・文化・国際理解学習など多岐に渡り、環境・経済・社会の統合的発展を目的としている。現在、文部科学省と日本ユネスコ国内委員会は全国の学校に対し、ユネスコスクール加盟を呼びかけており、ESDの推進拠点を増やす取り組みを行っている。
セミナーでは最初に、㈱赤塚のグループ環境事業部の田形博司部長や名古屋産業大学の村上健太郎准教授、岡村聖准教授、三重大の朴恵淑副学長らから①企業の歴史や取組み②里山の植生や植物の能力について③環境問題とESDについて…を参加者たちが学ぶ。
その後のフィールドワークでは、参加者たちは、選択したコースごとに分かれて学習。テーマの内容は、ヒーサーの森の中の豊かな植生を観察するコース、里山を使ったビジネスを構築し、どう発信していくかを考えるコース、様々な地点のCO濃度を調査し、その理由を分析するコース、昆虫や土壌生物の観察などを行うコースとなっている。そして、最後に得たことをグループ討議しながら、交流学習を行うという流れ。
名古屋産業大学の伊藤雅一学長は「産学連携だけでなく、大学間や高大連携に加え、台湾の大学からも見学にくる。観光や産業だけでなく、学習面でも三重県と台湾が連携を深め、より広域な環境学習が行えれば良い」と語る。
この事業は11月に名古屋で行われる「ESDに関するユネスコ世界会議」の協賛事業として行われるだけでなく、この成果を県下でも三重大学が県下のユネスコスクールと連携して「ESDin三重」にも繋げていく。それを踏まえ、三重大の朴副学長は「セミナーを通じて、持続可能な開発のための教育であるESDへの理解を深めていく」と話している。
赤塚植物園では、ヒーサーの森を更に発展させ、地域活性化に繋げる計画がある。日本は平成22年のCOP10でも里山の保全と活用を国際的に訴えており、津市に実践的な学びの場があることの意義は大きい。未来を背負って立つ中高生たちが、これからの地域や世界をどう発展させていくのかを考える「ESD」を学ぶという意味でも、今回のセミナーは大きな役割を果たしそうだ。
2014年9月25日 AM 5:00