社会

互礼会で出席者を前に挨拶する草深支部長(プラザ洞津にて)

 不動産取引業者などで作る公益社団法人・三重県宅地建物取引業協会津支部=津市上浜町1丁目=は17日、プラザ洞津で平成26年度の支部幹事9名の役員改選発表と、津市職員による津市都市マスタープランと景観法に関する研修会を行った後、行政・政界・業界の関係各界の代表らを招き「平成26年互礼会」を開催。互いに協力して、上向きかけている景気が腰折れしないよう積極的な取り組みを推進することを確認した。

 互礼会は、県下の各支部でも開かれているが、その中でも津支部の互礼会は最大規模を誇る。会場には前葉泰幸津市長、大内敏敬津警察署長、前田剛志、舟橋裕幸、前野和美、小野欽市、青木謙順の各県議、県司法書士会、県不動産鑑定士協会、県土地家屋調査士会の各会代表者と同協会支部会員ら約100名が出席。
 はじめに挨拶に立った草深靖志支部長は、「津市にはいくつかの日本一がある。一例を挙げると、人口比で見た鰻店の数と一人あたりの鰻の消費量が日本一。これが津市で鰻がとてもリーズナブルに食べられる大衆食となっている要因。2つ目は、人口の増減。これはあまり良い意味ではないが、明治3年における現在の津市と久居エリアの人口は約28万人と、現在と変わっていない。これは全国に例が無い。3つ目は各家庭の金融資産の額。実に2800万円ある。これは日本一。最低は沖縄で600万円ほど。津市の家庭は沖縄の4倍以上持っていることになる。これは喜ばしいことではあるが、我々不動産関係の業者には良くない面もある。この資産を貯め込んでいるだけでなく、どんどん消費に回して頂かなくては景気が良くならない。4月から消費税が8%に上がるが、それでも景気が腰折れしないよう、消費を盛り上げていかなくてはいけない。私は今年の経済の先行きは明るいと思っている」と分析すると共に、業界活性化の必要性を強調した。
 続いて、来賓の前葉津市長は「12月11日に行った宅建協会津支部との懇談会において色々と議論させて頂いた。その席で(土地の正確な面積・形状などを調べる)地籍調査が進んでいないと指摘を頂いた。これは県からもお叱りを受けているので何とか進めていきたい。また都市公園の住民一人当たりの面積は10㎡が目標だが、今は7・83㎡しかない。これももっと増やすべきとの意見を頂いた。公園関係では、津市は、芸濃庁舎隣に子育て公園『げいのう わんぱーく』を2億円かけて15年4月に整備することに加え、三重短大のクラブハウスを7700万円かけて建て替える。このように取り組みやすい事業を発注させてもらうことで景気を腰折れさせないよう頑張りたい」と話し、景気を下支えする行政の姿勢を表した。
 また、前田県議は「土地売買に携わる宅建協会は景気のバロメーター。協会の活性化が三重県と津市の経済の発展につながる。県としても春の博物館のオープン、熊野古道の世界遺産登録10周年にあたる今年、全国に情報発信していく。午年の今年は馬のように右肩上がりで駆けあがる年にしたい」と期待感を示した。
 さらに大内署長は、「昨年は大きな事件・事故がなく刑法犯も20年ぶりに2千件を下回るなど減少。交通事故死者数も県下で94人と過去最少。中でも津市管内の死者は3人と、これも過去最少だった。人身事故も100件近く減少し、落ち着いた町になっているが、反面、自動車盗は倍増しており、交通物件事故も283件増加と県下トップの数字」と現状を話し、防犯への協力も呼び掛けた。
 三重県宅地建物取引業協会は、津市が美杉町で進めている津市空き家情報バンク制度への協力で一定の成果を挙げるなど県域・市域で重要な役割を担っている。互礼会では、今後も不動産取引の専門組織として、関係と歩調を合わせ、津市の活性化に向けた更なる取り組みを推進することを確認し、閉会した。

青山春樹会長

 今月で設立2周年を迎え、今後の活動にも更なる注目が集まる『津駅前ストリート倶楽部』。津駅前の飲食店主らが中心となって、春の「津駅前ストリートまつり」など魅力ある催しや様々な活動を行いながら、津駅前の活性化に取り組んでいるが、これまでの成果やこれからの展望についてを同クラブの青山春樹会長(53)に聞いた。(聞き手は本紙報道部長・麻生純矢)

 ──「津駅前ストリートまつり」を筆頭に、街コンや駅前の清掃など様々な活動に取り組まれてきましたが、その成果は。
 青山 様々な事業の成果というのもあるが、個人的には会を作って一番大きかったなと思うのは会員同士の交流や親睦が図れたこと。今までは、それぞれが自分の店の経営にだけ集中していた状態でお互いが知り合うということは難しかったが、会があることによって交流を深められた。
 ──飲酒運転の取締強化から津駅前へ出店する店舗が飲食店を中心に非常に増えていると思います。特に若くて熱い経営者が集う場所になっている印象ですがその核的な役割を果たしているということですね。
 青山 目に見える部分では月に1度の会員による清掃活動を始めて以来、まちが綺麗になったというのは良く聞くようになった。確かに最初の頃は、なんやこれと思うくらいゴミが一杯だったけど、確実に少なくなってきている。
 ──やはり環境が良くなればゴミを捨てる人が減ります。地道ですが大切な活動ですね。
 青山 あとは、一般市民に〝津駅前〟というものを意識して頂くことができたということも大きな成果だと思う。一昨年のストリートまつりを皮切りに、駅前の飲食店を活用した街コンを年4回位のペースでさせて頂いた。津まつりの時も津駅前会場として、お手伝いをさせて頂いた。津駅前ストリート倶楽部としての存在感と共に、津駅前というものもアピールできたのではないかという気がする。加えて、行政に対してのアピールもできたと思う。中心市街地活性化が市政の大きな課題となる中、津駅前への施策というのはまだまだこれからという印象。その中で存在感を示すことができた気がする。
 ──クラブの運営として今後の目標はどうですか。
 青山 現在は近年、津駅前に来た経営者たちが中心として動いて頂いている。今後は、津駅前に昔からある企業の経営者たちを今以上に、巻き込みながら発展していくことが重要。
 ──〝民間主導型〟という言葉がまちづくりのキーワードとなっています。任意団体ならではの自由な発想とフットワークの軽さというのもクラブの強みだと思いますが。
 青山 どうしても既存の商業団体などでは、様々な制約もあり、自由な活動をするのは難しい。そういう意味では今のクラブの姿は時代にあっていると思う。まだ企画の段階だが、夏には羽所町通りでビアガーデン的なものができないかと企画している。会員の思いつきを柔軟に反映したフレキシブルな運営ができることは大きい。しかし、任意団体につきものの、財政的な厳しさは課題。
 ──ストリートまつりについてはいかがですか。
 青山 今年は4月6日に計画しているが、東口のロータリーを封鎖して、ステージを置くことができないかと警察や行政と交渉をしている。もっと子供たちが楽しめる形にし、駅前でこういう楽しいことがあったなと思い出に残るようなことがしたい。飲食店だけでなく、物産などを売るブースも増やしたい。
 ──津駅前をどのように活性化させたいですか。
 青山 特性が全く違うので、津を名古屋や東京のようにしたいわけではない。津駅前は大都市からのアクセスも良くビジネスで訪れる人なども多い。三重県の玄関口として恥ずかしくない場所にしていきたい。
 ──ありがとうございました。

津城跡の北面

 1月1日より、津市のふるさと納税制度「ふるさと津かがやき寄附」の使途に「津城跡の整備」に関する項目が盛り込まれた。この項目宛てに集まった寄附金は独自の基金として積み立てられていくが、これから津城復元を具体化させていくために、民意の盛り上がりを示す重要な指標にもなる。寄附額や所得に応じた税金の控除もあり、少ない負担でより効率的な寄付ができるのも特徴。記者も実際に手続きを行ってみた。

 元々、「ふるさと津かがやき寄附」は納める際に希望する使途という項目があり、その中に「津城跡や北畠家氏城館周辺などの歴史文化を未来に伝えるまちづくり」という項目があったが、この1月からは、更にそれを細分化する形で「津城跡の整備」と「多気北畠氏城館跡周辺のまちづくり」というより具体的な使途が加えられた。この2項目への寄附はそれぞれ独立した基金として積み立てられ、特化した形で使われる。
 この項目新設のきっかけは先月、『NHK大河ドラマ「藤堂高虎」を誘致する会』、『津市議会お城をいかしたまちづくり議員連盟』、『藤堂藩五日会』、『ときめき高虎会』が来たるべき津城復元時に向け、寄附者の意向が、より明確に反映される受け皿の創設を前葉泰幸市長に要請したこと。
 築城の名手として知られる津藩祖・藤堂高虎公が大改修を加え、自らの居城とした津城は広いところで幅100mに及ぶ堀と高石垣、更に鉄門と多門櫓が本丸を取り囲む難攻不落の要塞でありながら、太平の世には政庁として優れた機能性を誇っていた。その素晴らしさは国内城郭研究の第一人者である広島大学大学院の三浦正幸教授をして「江戸城や大坂城など、江戸幕府の権威を示す大城郭の規範となった天下の名城」と言わしめるほど。更に津城は図面、石垣、古写真と文化庁が定める城郭復元の基準を満たしている。
 前述の4グループが復元の第一歩として提案しているのは、一般的な城の天守閣に匹敵する大きさを誇る丑寅櫓と戌亥櫓とそれを結ぶ多門櫓で構成された北面部分。三浦教授の試算によると費用は6億円程度という。現時点で前葉市長は、基金の使い道はあくまで整備と慎重な姿勢を見せており、復元は今後の盛り上がり次第といったところ。つまり、この基金にどれだけ寄附が集まるかが民意の高まりを示す重要な指標になることは間違いない。
 そこで記者も早速年明け早々、実際に寄附の手続きを行ってみた。まずは検索サイトで「津市 ふるさと納税」と入力し津市の「ふるさと津かがやき寄附」のページへ。オンライン申し込みのバナーをクリックし、氏名・住所・寄附する金額など必要な項目を入力。希望使途は「津城跡の整備」をチェック。更に1万円以上の寄附で、三重テラスの商品券を含む津市の特産品を10種から1つもらえるのでその項目もチェック。入力はあっという間に完了した。後日、市役所から送付されてくる納付書に従って入金すれば手続きは全て終了。オンライン以外では、市役所4階の財政課に連絡をすれば必要書類を送ってもらえるほか直接、手続きもできる。
 ふるさと納税制度の特徴として、納付額や所得に応じた所得税と住民税の控除が受けられるため、額面よりも少ない負担で、効果的な寄附ができる。目安だが、年収500万円で夫婦と子という家庭ならば、3万2千円の寄附で3万円の控除がある。年収・寄附額・家族構成などで変動するが多くは、実質2千円程度の負担ですむ。ただし、控除を受けるには市役所が発行する寄附の受領証明書を基に、確定申告を行う必要があるので要注意。
 まずは地元の津市市民が一丸となって盛り上がり、全国の城郭ファンなども巻き込みながら、津城の復元を実現させていきたい。
 制度についての問い合わせは財政課財務担当℡059・229・3124。

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