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 草津宿橋を渡って少し歩くと、眼前には草津川跡公園が広がっている。前回紹介したが、この辺りは周囲の集落よりも高い場所を流れる天井川だった草津川があった場所で、廃川となった跡地を都市公園として再生。公園は東側のde愛ひろばと西側のai彩ひろばに分かれており、民間企業による指定管理が行われている。旧東海道沿いにあるのはde愛ひろばの方。余り長居はできないが少し公園に立ち寄ってみると、遊具や交流施設などが設置され、四季折々の花が楽しめる庭園といった市民の憩いの場としての機能だけでなく、飲食店なども整備されており、多様なニーズに対応できる非常に洗練された印象を受ける。また、長年に亘って人口が増え続けてきた草津市の勢いを具現化しているようにも感じる。一昔前は公共事業によって作られる施設(ハード)よりも、人(ソフト)への投資にシフトする流れもあったが、優れたハードは地域の付加価値となり、また次代を担う子供や若者たちが地域に愛着を持つきっかけとなると感じる。要はハード、ソフトの区別ではなく、投資の有効性を考えるべきなのである。
 この公園の中に、定期的に水が足元から噴き出て、中で遊べる噴水がある。そこで地域の保育園児が遊んでいる姿を少し離れた場所から眺める。水が噴き出るたびに、満面の笑みではしゃぐ子供たちの姿を見ていると、これまでの疲れが吹き飛ぶ気がする。昨年に息子を授かって以来、色々な考え方が変わった。不妊治療を乗り越えて、結婚9年目にして授かったという経緯もあり、子供を授かることはとても難しいことであると実感した。また、息子の世話をしていると、子育ては大変と感じる一方で、両親や祖父母が愛情を惜しみなく注ぎ、世話をしてくれたおかげで今の私があることを改めて認識できる。息子が不意に泣き出した際など、周囲に迷惑をかけてしまうこともあるが、自分も世間に大目に見てもらってきたのだと考えられるようになって、視野が広がった。元々、子供は好きだが、こういったことを経て、より温かい目で見守れるようになっている。ただ、私は現在45歳。還暦を超えても、まだ息子は高校生なので、様々な心配事もあるが、今後も親子ともども成長していきたいと願うばかり。
 さて、旧東海道に話を戻すと、ちょうど公園の下を中山道と東海道の分岐点となる隧道(トンネル)が通っている。トンネルができる以前は、草津川を渡って北へ進む中山道と、東へと進む東海道という形になっていた。中山道は東海道と同じく東京日本橋と京都の三条大橋を結ぶ街道。その名の通り、海沿いを通る東海道と比較すると、中山道は約40㎞長く、現在の滋賀県、岐阜県、長野県、群馬県、埼玉県といった内陸を通るのが特徴。途中に碓氷峠などの難所もあり、冬季には雪が積もる地域も多かったこともあり、宿場の数は67と東海道よりも多いのが特徴。私は、東海道の影響を大きく受けた文化圏に育っており、中山道とはなじみが薄く、かつての宿場町であった関ヶ原や奈良井宿や馬籠宿などの観光地を訪れたりした程度である。しかし、JR東海道本線や東海道新幹線はその名とは裏腹に、岐阜県から京都府の区間は中山道に近いルートを通っているのが面白い。機会があれば、徒歩旅をしたい街道である。
 また、隧道から南へ進むと草津宿本陣がある。本陣とは、江戸時代に大名、旗本などが宿泊した施設。ここは敷地や建物が現存している本陣の中で最大級の大きさを誇り、国指定の史跡にもなっている。交通の要衝だけに忠臣蔵でおなじみの浅野長矩(内匠頭)と吉良義央(上野介)が事件の直前に宿泊したり、土方歳三ら新選組が宿泊した記録も残っている。
 残念ながら来年の3月末まで耐震工事の実施中で見学はできなかったが、工事をしている職人たちが施設の周囲を行ったりきたりしている光景を見ることができた。この本陣の歴史的なイベントに立ち会えて幸運だと思うことにしよう。何事も前向きに捉えられることが私の数少ない特技といえるかもしれない。(本紙社長・麻生純矢)

みさと化石の会(事務局=津市美里町家所)は、10月20日㈰13時30分~15時、三重県総合博物館(МieМu)レクチャールームで、アンモナイト化石の謎に迫る講演会を開く。
 アンモナイトは、どのように化石として残るのか分かっていない。今回の講演会では、そもそもなぜ遺骸が海底に沈んだのかという初歩的な疑問に立ち返る。
 講師は、化石研究において世界をリードする九州大学名誉教授の前田晴良さん。前田さんは東京大学理学部理学研究科卒業、同大大学院理学系研究科修士課程修了。京都大学大学院理学研究科准教授を経て、平成24年~令和6年3月まで九州大学総合研究博物館の教授を務める。同会との関わりは今回が初。
 前日の10月19日㈯9時30分~15時には、津市美里町南長野の長野川で、化石採取会と研修を行う。8月25日にも同内容で開催し、県外在住者を含む40名が参加。東海化石研究会の蜂矢喜一郎会長を招き、当日採取した化石に自分で名前を付けるなどし、好評だったという。今回は、前田名誉教授も参加予定。
 19日の採取会のみ保険加入のため電話での事前申込が必要。10月18日㈮締切。集合場所は美里支所前。雨天中止。
 問い合わせは、みさと化石の会事務局の杉平さん☎090・3308・7175へ。

固定電話に総務省から電話がかかってきた。「総務省電波監理審議会です。あと二時間で現在お使いの電話機、すべての通信サービスを停止させていただきます。オペレーターにおつなぎをご希望の方は1を押してください」
 なんで総務省からと考えて、すぐに詐欺電話だと思った。そんなお役所から電話があるはずがない。もちろん1を押さなかった。
 でも、あわてて番号を押してしまう人もいるだろう。押したらどうなるか。お金や個人情報を盗られるだろうか。カモリストに載るだろうか。
 詐欺電話を受けた経験はこれで二度目だ。何年も前には娘が泣きながら「お母さん」と電話をかけてきた。ちょうど、娘が目の前にいる時で笑ってしまった。でも娘がいない時なら、あたふたしたかもしれない。電話の声は上手に泣いていた。
 スマホに入ってくるメールにも怪しいものがある。そんな時はメールの文言を検索してみる。すると詐欺だと分かる。知らない電話番号からの電話は取らない。そして相手の電話番号を検索する。詐欺に注意という番号かもしれない。
 テレビのニュースで詐欺の話を聞くたびに、どうしてそんなものに引っかかるかと思うが、実際に電話を受けてみると慌てる。「なんでなんで」とうろたえる。電話が来たらまず疑うなんて、なんとも不穏な時代である。
       (舞)

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