特別寄稿

7月18日の岐阜県多治見市の最高気温は40・7度、同月19日の京都市の最高気温は39・8度を記録した。気象庁は現在の異常高温は『命に関わる暑さ』だと警告している。このような状況では、もはやサイトシーイングどころではない。
7月20日の読売新聞によると、世界気象機関(WMO)は20日の記者会見で、北半球で7月中旬以降、記録的な高温を伴う異常気象が相次いでいると強い懸念を表明している。
WMOによると、ノルウェーでは北部の北極圏で7月17日に33・5度を記録、スウェーデンでは7月中旬に、高温と乾燥による森林火災が約50件発生したとの事である。
どうやら、ヒートドームが発生したようだ。
ヒートドームとは、比較的低い高度で高気圧の壁が発生し、上空の高熱気を地表に吹き付け、遮断された熱気のドームを形成する事で、原因は地球温暖化だとされており、米国の海洋大気局は、ヒートドームを以下のように定義している。
『高気圧の下で、空気は地表に向かって沈下するが、この下降気流は、大気をキャップするドームとして働く。
このキャップは、熱を上に逃がすのではなく閉じ込める役割を果たす。揚力なしで対流が殆ど或いは全くないため、積乱雲も殆ど或いは全くなく、雨の可能性が殆どない。最終的には、人々が熱波として経験する暑さが地表に連続的に蓄積される』
各国のニュースによると、今年はそれが北半球規模で発生しているという。日本列島だけではないのだ。
ワシントンポストは、北緯70度で北極圏に属するフィンランドのケボの最高気温が、7月17日に31・6度に達したと伝える。ここの7月の平年気温は15・5~21・1度だが、今は26・6~32・2度の範囲で推移しているのだ。
シビア・ウェザー・ヨーロッパによると、7月17日のスウェーデンやノルウェーなど北欧諸国の最高気温は32度を超え、ノルウェーのトロンハイム空港では、16日に32・4度の史上最高気温を記録した。フィンランド南部のトゥルクも33・3度。そして、スウェーデンのウプサラも34・4度だった。更に、スウェーデン全域44カ所では乾燥と猛暑による大規模な山火事が発生、スウェーデン国立気象庁は国全体に火災警報を発令している。
また、カナダのモントリオールでも7月2日の気温が36・6度、体感温度が46度まで上がった。 モントリオールのケベック州では暑さのために、7月7日までに少なくとも89人が死亡したと集計。地中海に面するアルジェリアにあるウアルグラでは、7月5日の気温が51・3度となり、アフリカ大陸史上最高を記録した。
ペンシルバニア州立大学の地球システム科学センター長は「異例なのはヒートドーム半球の規模であり、どこか一つの場所に影響を与える規模ではなく、広い地域で高温現象が観測されている」と述べている。
そして、7月23日、埼玉県熊谷市では41・1度を記録し、東京都青梅市でも40・8度を記録。7月24日、米ウォールストリートジャーナルと英ガーディアンは、夏に東京五輪を開催することについて懸念を表明した。  (O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)

7月13日の英国サン紙によると、トランプ大統領は、EUとは離脱後も緊密に連携したいとするメイ政権の方針について、米国との自由貿易協定(FTA)に悪影響を及ぼすとの見解を示し、ロンドン近郊での共同記者会見ではメイ首相に、(貿易に)制約を設けないようにと呼び掛けた。
メイ政権は、農業製品の安全基準などに関してEUが決めたルールを離脱後も順守する方針であり、EUが輸入規制を緩和しない限り、英国が譲歩できるわけないからである。
農業製品は、米国とのFTAにおいて中心を占める公算が大きい。7月6日に決まったこの方針について、EUからの独立を重視する与党・保守党のEU懐疑派からは、これで米国とのFTAがほぼ不可能になったと首相を批判してもいた。
私は日本の状況を踏まえ、JETOROの『EUにおける食品流通関連規制について』を確認した。7月17日に、EUの経済連携協定(EPA)に調印したからだ。
確かに、EUへの輸出には、原材料、食品添加物、残留農薬/重金属、ラベル表示、容量/容器、放射性物質の検査項目に加え、HACCPに関する記述も含まれており、米国のそれよりも遥かに厳しいものである。
米国は、1997年より順次、州を越えて取引される水産食品、食肉・食鳥肉及びその加工品、果実・野菜飲料については、HACCPによる衛生管理を義務付けてはいるが、米国内で消費される食品を製造、加工、包装、保管する全ての施設には、2011年1月に成立した『食品安全強化法』によって、アメリカ食品医薬品局 (FDA)への登録とその更新を義務付け、対象となる施設にはHACCPの概念を取り入れた措置の計画・実行を義務付けている。限定的なのだ。
一方、EU諸国では2004年より、食品製造、加工、流通事業のすべてにおいて、HACCPの概念を組み込んだ衛生管理を一次生産者以外に義務付けている。全てにだ。
つまり、米国は世界一インバウンドが多い国だが、全ての飲食店にまでHACCPを強要しているわけではない。もし、国が『基準B』をゴリ押ししようものならば、移民系の飲食店は政治力を駆使して抗うだろう。早くからHACCPを取り入れたマクドナルドは、グローバル展開上必須だったに過ぎないのだ。
ひるがえって、日本では伝統的な日本の食文化にもHACCPを強制しようとしており、東京五輪が開催される2020年を目標に、EUと同じ『HACCPバリアー』を築くつもりでいる。調理中に職人が記録を付けることなどできっこないにもかかわらずだ。何しろ、食材が29品目ある彩り豊かな松花堂弁当だったら、29冊の記録用ノートが必要なのである。
この懸念は、日本では一切ニュース報道されてはいない。そして、HACCPのみならず、EU発であるGDPRについてもである。
(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)

ゴールデンウィークは日本の映画興行界が産んだ和製英語だったが、今にちでは4月末から5月初旬にかけての大型連休の事を指す。三重県は5月9日、今年のゴールデンウィーク(4月28日~5月9日の9日間)の、21の県内主要観光施設や場所の観光入込客数を公表した。
調査協力施設は、ナガシマリゾート、御在所ロープウェイ、鈴鹿サーキット、御殿場海岸、ベルファーム、五桂池ふるさと村、フォレストピア、伊勢神宮、おかげ横丁、安土桃山城下街、鳥羽水族館、ミキモト真珠島、志摩スペイン村、伊賀上野城、モクモク手づくりファーム、伊賀流忍者博物館、赤目四十八滝、熊野古道センター、道の駅「紀伊長島マンボウ」、道の駅「熊野・花の窟」、鬼ヶ城センターで、入り込み総数は延べで21万08418人、1日あたりでは23万4269人、対前年比は98・8%との事である。5月11日の毎日新聞によると、県観光政策課は「昨年は大型連休中に伊勢市で全国菓子大博覧会があり、相乗効果があった。今年は大イベントがない中で、各施設が工夫して体験型イベントなどに取り組んだことで家族連れが増え、前年と比べ微減にとどまった」と話している。
とはいえ、これは延べ数であって実数ではない。観光客とレジャー客との線引も曖昧だ。たとえば、前年よりも10・2%減ったとされる「伊勢神宮」38万7725人の数字は、「内宮」25万3317人と「外宮」13万4408人との重複カウントであり、先の総延べ人数には、更に「おかげ横丁」の人数も加えてあるのだ。
もし貴方が外宮と内宮を参拝し、おかげ横丁にも立ち寄れば、貴方は1人ではなく3人なのである(ちなみに、GPSデータを活用して重複を排した2014年の年間両宮来訪率は48・8%だった)。
そもそも、このようなレジャー客と観光客とを一緒くたにした前世紀のデータベースでは、観光客の入り込み実態に基づいた観光経済を知るには程遠い。観光客数がよく分かる宿泊施設での調査もない。5月15日の中日新聞によると、鳥羽市の宿泊施設はおよそ5万6000人にとどまり、前年よりも4・9%減少した。全国菓子博があった2017年には5万9200人が、沢山のお巡りさんが滞在した2016年には7万5487人の宿泊があった。実態が把握できなければ対策も立たないのだ。
到着と収入を重視する国連世界観光機関の定義によると、観光客=ツーリストは24時間以上滞在するが、レジャー客=ビジターは24時間以内しか滞在しない。三重県の場合は、圧倒的に後者の方が多いようだが、観光客とレジャー客では経済波及効果に10倍以上の開きがある。ディスティネーション・キャンペーンが必要だ。
ちなみに、観光庁の宿泊旅行統計調査(速報)では、2017年の三重県の宿泊稼働率は51・1%。伸び率は(岩手県に次いで)下から2番目のマイナス2・9%。延べ人数は819万0290人で47都道府県中20位だ。そのうちインバウンドは27万7800人で31位だった。
(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)

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