特別寄稿

ゴールデンウィークは日本の映画興行界が産んだ和製英語だったが、今にちでは4月末から5月初旬にかけての大型連休の事を指す。三重県は5月9日、今年のゴールデンウィーク(4月28日~5月9日の9日間)の、21の県内主要観光施設や場所の観光入込客数を公表した。
調査協力施設は、ナガシマリゾート、御在所ロープウェイ、鈴鹿サーキット、御殿場海岸、ベルファーム、五桂池ふるさと村、フォレストピア、伊勢神宮、おかげ横丁、安土桃山城下街、鳥羽水族館、ミキモト真珠島、志摩スペイン村、伊賀上野城、モクモク手づくりファーム、伊賀流忍者博物館、赤目四十八滝、熊野古道センター、道の駅「紀伊長島マンボウ」、道の駅「熊野・花の窟」、鬼ヶ城センターで、入り込み総数は延べで21万08418人、1日あたりでは23万4269人、対前年比は98・8%との事である。5月11日の毎日新聞によると、県観光政策課は「昨年は大型連休中に伊勢市で全国菓子大博覧会があり、相乗効果があった。今年は大イベントがない中で、各施設が工夫して体験型イベントなどに取り組んだことで家族連れが増え、前年と比べ微減にとどまった」と話している。
とはいえ、これは延べ数であって実数ではない。観光客とレジャー客との線引も曖昧だ。たとえば、前年よりも10・2%減ったとされる「伊勢神宮」38万7725人の数字は、「内宮」25万3317人と「外宮」13万4408人との重複カウントであり、先の総延べ人数には、更に「おかげ横丁」の人数も加えてあるのだ。
もし貴方が外宮と内宮を参拝し、おかげ横丁にも立ち寄れば、貴方は1人ではなく3人なのである(ちなみに、GPSデータを活用して重複を排した2014年の年間両宮来訪率は48・8%だった)。
そもそも、このようなレジャー客と観光客とを一緒くたにした前世紀のデータベースでは、観光客の入り込み実態に基づいた観光経済を知るには程遠い。観光客数がよく分かる宿泊施設での調査もない。5月15日の中日新聞によると、鳥羽市の宿泊施設はおよそ5万6000人にとどまり、前年よりも4・9%減少した。全国菓子博があった2017年には5万9200人が、沢山のお巡りさんが滞在した2016年には7万5487人の宿泊があった。実態が把握できなければ対策も立たないのだ。
到着と収入を重視する国連世界観光機関の定義によると、観光客=ツーリストは24時間以上滞在するが、レジャー客=ビジターは24時間以内しか滞在しない。三重県の場合は、圧倒的に後者の方が多いようだが、観光客とレジャー客では経済波及効果に10倍以上の開きがある。ディスティネーション・キャンペーンが必要だ。
ちなみに、観光庁の宿泊旅行統計調査(速報)では、2017年の三重県の宿泊稼働率は51・1%。伸び率は(岩手県に次いで)下から2番目のマイナス2・9%。延べ人数は819万0290人で47都道府県中20位だ。そのうちインバウンドは27万7800人で31位だった。
(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)

観光庁の『観光ビジョン実現プログラム』の中には、あたかもシェアリング理論をねじ込んだかの如き怪しい施策がある。『泊食分離』がそれだ。
確かに『一泊二食』は我が国特有のビジネスモデルであり、販売単価はルームチャージに比べると必然的に高くなる。選択肢も限られる。
しかし、地元食材をフル活用した一泊二食の価格は、大浴場と寝泊まりも含まれているため、多くの場合、積上げ式よりもお値打ちである。夕食はレストランに移動する必要のない部屋食なので小さい子供と一緒でも気兼ねなく、ドレスアップやメイク直しの必要もない。そればかりか、テレビを見ながらの食事でもいっこうに構わず、主婦(主夫)にとって、上げ膳下げ膳こそは何よりも魅力だ。
しかも料理はフルコースで、冷たいものは冷たいうちに、温かいものは温かいうちに供出される。『仲居さん』に、土地の見所や汐見を訊くのもいいだろう。
顧客の利益だけではない。一泊二食で部屋食のシステムは、産業の少ない土地では地域雇用を下支えするし、要不要が定かではない生鮮食材の在庫を抱える必要がないので、食材廃棄率の面でも優れている。予め献立が決まっているので無駄な仕入れがないのだ。おそらくそれは、『かんばん方式』に匹敵するぐらい合理性を有するシステムだろう。
にもかかわらず、『観光産業革新検討会』では『泊食分離』を進めたいようである。長期滞在したら高額出費になるというのであれば、旅館よりもホテルや民泊を選択すればいいだけの事であり、一泊二食システムについては、豪華料理による日本式の短期滞在型モデルとして紹介してもいい筈だ。
一泊二食について、もう少し掘り下げてみよう。
『ホテル』は部屋を売るのが主であって、レストランで供出される料理はあくまでもオプションである。
一方、『旅館』の売り物は料理が主であり、部屋は宿泊者数と料理ランクによって割り振られる。したがって、旅館の料金設定は一泊二食が基本となり、それに定員ベースの割り増しやトップシーズン料金、休前日料金などを加算することになる。
定員ベースの割り増しとは、定員4人の部屋ならば一人1万5000円で6万円を得ることができるので、同じ料理で同一タイプの部屋を3人で利用するならば1人2万円で6万円、2人ならば3万円との考え方だ。
また、トップシーズン料金や休前日料金があるのは、需要の増加によってエネルギーコストや食材の卸値、そして季節雇用者の人件費相場などが上がるので、それに応じたコスト回収が必要だからである。
これらは、主に直接予約やネットエージェントの場合に適用されているが、大手旅行代理店に提供されるプランに定員ベースの割り増しはあまり聞かない。
しかし、合理的説明のつくトップシーズン価格や休前日料金については容認しているようである。高額な送客手数料の上に更に上乗せしてもらえるから、ビジネスとしては当然だ。
このように、『一泊二食』とその料金は、戦後日本の高度経済成長期からバブル崩壊迄の間に爆発的に増えた団体客向けの大型旅館と旅行業界との間の取引で形成された、極めて昭和な商習慣である。それ故に、増加傾向にあるインバウンドには分かりづらく、それで儲けたい外資系マッチングサイトも売りづらいようである。単純に価格を比較するのも不可能だ。
とはいえ、『一泊二食』は我が国固有の無形の文化でもある。これをなくそうというのは度が過ぎた日本文化の軽視だ。また、伝統的旅館そのものがディスティネーション(目的地)であるとの声もある。店探しや料理のチョイスに失敗しない『和食』のフルコースが提供されるからだ。
一泊二食の旅館を選択する顧客の『食』に対する関心は高い。それは既に一つのガストロノミー・ツーリズム(その土地ならではの食や自然・文化をたのしむ旅)なのである。

(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)

総務省統計局によると、終戦当時1945年(昭和20年)の日本の人口は、沖縄(約59万人)を除くと7199万8104人だった。それが戦後復興期と高度経済成長期、バブル期を経て、2010年には1億2810万人と頂点に達した。
だが、それが減少に転じた事が、2015年の国勢調査で明らかになった。日本は人口減少社会に突入したのである。これは労働人口のみならず、顧客が減るという事でもある。
国立社会保障・人口問題研究所は3月30日、2045年までの地域別将来推計人口を公表したが、これによると、2045年には65歳以上の高齢者の割合(高齢化率)が19道県で40%以上となり、秋田県は50・01%に到達。また、総人口は2030年から2035年の間に全都道府県で減少に転じるとされる。3月31日の中日新聞によると、日本の2045年の予測人口は1億642万1000人。三重県の予測人口は143万1000人で、2015年の181万6000人よりも38万5000人減少するとしている。
ところで、増加傾向にある北朝鮮の人口は2537万人(2016年)、韓国は5125万人(同年)で、合計すると7667万人となる。
これは、終戦当時の日本の人口を既に上回っており、中国の後ろ盾で南北統合を達成することで経済成長の段階にまで漕ぎ着ければ、その国力は日本を越える可能性がある。国家統一による特需は、ドイツのように民主化の場合は、即効性とそれに伴う反動があり、ベトナムのように社会主義化の場合は、効果が緩慢のようである。だが、何れにせよ、かつての日本なみのマーケットの誕生は、とりわけ貿易面において、多くの国で歓迎される可能性がある。新興市場としてだ。
一方、日本の総務省は2017年10月1日現在の人口推計を4月13日に発表したが、総人口は前年度から22万7000人(0・81%)減少して1億2670万6000人となり、7年連続の減少となった。65歳以上の高齢者人口は56万1000人増加の3515万2000人で、人口全体の27・7%を占めるようになった。
少子高齢化による急速な人口減少は待ったなしである。
思い返せば、かつての日本には力強い内需の力があった。日本でしか通用しないモノでも、国内市場だけで充分食べていけたぐらいである。この内需の強さは、次世代の人口増加を背景に経済成長を支えたが、成長期待によって物価や地価も上昇した。それが社会保障の担保だったし、右肩上がりの根拠だったのである。
国の存続の為に、日本人を再び増やす必要がある。
例えば、1人当たりの出産時に国から1000万円の奨励金が支給されればどうか?
これが生涯消費額2億1705万円として21・705倍に膨らみ、国内を循環するに違いない。もちろん、使途についてはルール作りは欠かせないし、海外移住についても再考が必要になるかも知れない。親の搾取や産みっぱなしは論外である。
財源は、これまでの受益者である大企業の内部留保406兆2348億円(2017年9月現在)からが相応しい。年間200万人の出産を目標にするならば20兆円、つまり5%の出資に過ぎないのだ。
その結果として、雇用と仕事はベビー産業から順を追って年々増加する。更に急速な市場の成長は、貿易面の安定と経済の安全保障にとっても有利だ。投資として安いものである。企業業績が好転すれば株主の利益にもなる。
ちなみに、自動車産業への収益は18年後に始まり、観光産業へは11ないし12年後の小学生の修学旅行から始まるだろう。

(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)

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