特別寄稿

1・会社は欲の塊、欲のない人間は育たない
人口減少・超高齢社会の急速な進展がこれまでの社会常識を大きく変えています。
会社は減少する消費を奪い合う中で生き残りを賭け、お客さまの信頼に応えるために常に「変わらないために、変わり続ける」必要があります。
会社は存続と進化に向けて、お客さまの生活の中の悩みを解決し、期待を実現するうえで「誠実でかつ強欲」でなければなりません。
そのためには「自分の頭で考え、自分の言葉で話し、自分の行動で結果を出す」(意)欲の強い人材が必要です。

2・綱引きの法則(リンゲルマン効果)を克服する
読者の皆さまは綱引きの経験をお持ちのことと思います。同じ人数で綱を引いていても、なぜか息の合ったチームが勝ちます。
また、お神輿(みこし)を担いだ経験をお持ちの方がいらっしゃると思います。大勢でお神輿を担いでいるはずが、自分一人だけ必死になっているのではないかと思うほど重く感じることがあります。
単純作業の場合、集団としての力は個人の力を総合したものより少なくなるということをフランスの農学者M・リンゲルマンが立証しました。
実験の結果は一人の力を100%とすると、二人ではそれぞれ93%、5人ではそれぞれ70%、8人に至ってはなんと一人が49%と半分の力も出していないことが分かり、「社会的手抜きの法則」と呼ばれています。
「1+1=3」にするのが経営だと専門家は唱えますが、現実は「1+1=2」にもならないのが事実であり、責任が明確で依存心のないチーム作りの重要性を痛感します。

3・想いを伝える「関心と言葉の統一」
「会社にとって一番大切なことは何ですか?」とお尋ねすると、箇条書きにしなければならないほど多くの課題を挙げる方がいます。言葉も受売りの難しい言葉や「頭文字英語」や「カタカナ英語」が多いように思われます。
それで、はたして、従業員の皆さまに「想い」が伝わっているのでしょうか?
「社長訓話集」などという書籍が販売され、ご利用されている方もあるかもしれませんが、あなたは愛を告白する時に他人の言葉で話すでしょうか?
誰も関心を持たない話は、独りよがりの「カラオケ」のようなものです。
働く人みんなが毎日興味を持ち、取り組める「関心」を明確にして、分かりやすい言葉で真剣に説得し、納得を求めることが重要です。
会社運営の人間関係の本質は「説得と納得のキャッチボール」です。

4・「美」と「健康」と「人の心」は人類永遠のテーマ
世の中には、「美」と「健康」と「人の心」に関する商品と専門書が溢れていますが、それだけこの3つのテーマはこれまでに解決できてこなかったことの証明です。
化粧水やクリーム、効能・効果があるとされる健康食品、通販では毎日繰り返しコマーシャルが流れています。中にはネズミ講まがいの商品もあり、ご注意ください。
縁あって、化粧品製造業、健康食品製造業の経営者として仕事をしてきましたが、残念ながら、努力をせずに「美」や「健康」を保てる商品に巡り合っていません。
そして、「人の心」についても、経営者として、また労働組合の書記長として「成果主義」や「人材の育て方」、「リーダーシップ」について制度化を進めてきましたが、決め手となる手法は見つけることができませんでした。
しかし、そんな中でも確かに言える「本質」は、
①「美」と「健康」は努力している人としていない人に差が生まれる
②「人は見たいものしか見ていない」「人は聴きたいことしか聞いていない」「人は自分の意思でしか動かない」
責任は与えられるものではなく、感じるものです。
人は育てるものではなく、期待と責任を感じる環境の中で育つものです。
(㈱ブレーメン再健本舗代表取締役)  大 西   肇

1・売上高=客数×客単価=(既存のお客さま+新しいお客さま)×(買上点数×一品単価)

この方程式は製造業、卸売業、飲食業、小売業等すべての業種に共通します。
「今月はよく売れた。みんなよく頑張った!」というのが一番危ない経営です。
なぜなら、「売れる」という「受け身」の考え方で経営をしていては、すべてがお客さま任せ、お天気任せ、成り行き任せになります。
「売れる」時のために沢山の在庫を持ち、人員も補強し、販売促進に大変な経費を使い、ひたすらお客さまを待っていることほど不確かなことはありません。
もし、売れなかった時には経費と在庫だけが先行し、多大な損失が生じます。
「今月はよく売った。商品も改良したし、既存のお客さまに出したDMの反応も良かった。そしてその口コミにより新しいお客さまも僅かだけれど獲得できた。お客さま一人当たりの買上点数も増えて、計画した売上高を実現できた」
売上高は会社経営のスタートラインです。そして、どれだけ「売る」ための根拠を作ることができるか、不確定な要素をなくすことができるかが経営です。

2・売上高-利益=費用(売上原価+経費)

損益計算書では「売上高-費用=利益」となっていますが、残ったものが利益という意識では会社を強くすることも進化することも、社会に役立つこともできません。
会社は必要とする利益を計画的に確保し、存続し成長しなければなりません。
付加価値を生まないすべてのモノや仕事を「ムダ」と言いますが、それらをすべて削ぎ落し、計画した利益を生みだします。利益を上げることができれば、設備や研究開発や人材への投資が可能となり、さらに売上高を伸ばすことができます。
費用とは多ければ多いほどムダを生み、少なければ少ないほど知恵が求められます。
そして、何よりも費用のムダを取り除く努力は成り行き任せではなく自律的です。
今ある損益計算書を発想を変えて作り直し、まず、売上高から目標とする利益を差し引き、残された費用もさらに倹約し、スリムな経営体質となって「明日の準備」を進めたいものです。そして、その利益は競争力を向上するために、お客さまには商品の品質の向上で、従業員には福利厚生の充実と教育によってお返ししたいものです。

3・成果=知恵+カネ(経営資源)

「今はまだ小さな会社」にはカネ(経営資源)が不足しています。
しかし、これからの人口減少・超高齢社会による売上高減少の中を生き抜いてゆくには、持てる資源を何倍にも活用し、経営資源の不足を知恵で補わなければなりません。
知恵は現場での気づきや創意工夫から生みだされます。無意識に蓄積した「潜在能力」も知恵に換える必要があります。今、自分の会社が置かれた状況を正しく把握し、「不安感」ではなく「危機意識」をもって、創意工夫を積み重ねてゆきたいものです。
お客さまからの信頼のために「変わらないために、変わり続ける」知恵と努力は決して裏切ることはありません。

4・経営はすべてが「自己責任」、依存心は進化の敵
東日本大震災といった天変地異や急激な為替変動はお客さまの生活と購買心理に大きな影響を及ぼし、売上高と利益の減少に繋がります。
しかし、会社経営においてはそれすらも従業員の給与を払えない、借入金を返済できない言い訳にはなりません。どのような事態が起ころうとも、お客さまからの信頼と従業員の生活を守りぬく責任があります。
そのために、いつも最悪の事態を想定して準備をしておく。
その方法は過剰在庫や遊休設備・資産など会社内にある付加価値を生まないすべてのムダを徹底的になくし、身軽であり、変化に俊敏に対応できる事、お客さまの生活の中で「困っていること」と「期待していること」を見抜き、「特異と得意」を伸ばし素早く先手を打てることです。
進化の本質は変化への対応、チャンスも危機(ピンチ)も変化の中にあります。
「準備をしておこう、チャンスはいつか巡ってくる(エイブラハム・リンカーン)」

大 西   肇(㈱ブレーメン再健本舗代表取締役)

1・大企業の時間、「今はまだ小さな会社」の時間
「ゾウの時間 ネズミの時間(本川達雄著)」という書籍があります。
ネズミとゾウの生涯の心拍回数はなぜか同じ20億回だそうです。
そして、心拍時間はハツカネズミ0・1秒、ネコは0・3秒、ヒトは1秒、ゾウは3秒、身体の大きな動物ほど心拍時間も呼吸も筋肉の動きもゆっくりしています。
時間という尺度は人間が地球の自転周期から考え出したものですから、生き物としての1日の長さは同じです。とすれば、ネズミはヒトやゾウより生きる時間が短いのではなく、生きるスピードが速いのではないでしょうか?
ネズミはヒトと比べると同じ1日を10日分生きていることになります。
どうりで追い回したって捕まえることができないはずです。
この1日が10日分というネズミのスピードが私たち「今はまだ小さな会社」の最大の武器です。
2・スピードを失う3つの原因
「今はまだ小さな会社」から「大企業・大組織」の変化のスピードを見た時、動かないモアイ像のように見えても不思議ではありません。
大きな会社や行政は多くの人間という細胞に支えられて、「慣習」や「しきたり」や時には「忖度(そんたく)」に縛られ、その統率に多くの時間と労力を必要とします。
大きな会社や行政がスピード(時間)を失う3つの原因があります。
①過ぎ去った過去の常識に囚われる
②表面的な間違った情報に囚われる
③モノ事の本質ではなく、枝葉末節に囚われる
「今はまだ小さな会社」はこの「大企業病」という過ちを犯してはなりません。
常にモノ事の本質を見抜き、時代と共に変わりゆく常識を疑い・否定し、お客さまの要望と商品が出会う現場のナマの情報を信じて、さらに決断のスピードを高めなければ、シャープや東芝やダイエーのように、人口減少と老齢化、そして日々進化する情報・物流革命によって暴力的に変化する社会から置き去りにされてしまいます。

3・織田信長の情報戦略に学ぼう
わずか3000人の兵力の織田信長が、4万人ともいわれた今川義元の軍勢を破った「桶狭間(田楽狭間)の戦い」を分析すると、確かな情報とスピード(時間)の大切さを学ぶことができます。
合戦の前日、合戦現場の地の利に詳しい土豪・簗田正綱は「今川軍の勢力は2万人」「今川軍の本陣は地元民が運んだ食事内容から、桶狭間ではなく田楽狭間である」「田楽狭間の兵力は2~300人」「明日の午後、合戦場を嵐が襲う」という活きた現場情報を伝えました。
合戦の結果は、読者の皆さまがよくご存知の通り、信長軍は今川義元を打ち取り、名門今川氏はこれをきっかけに衰退、信長は一躍天下取りに名乗りを上げることになりました。そして、この合戦の最大の功労者は今川義元の首を取った者ではなく、土豪・簗田正綱でした。彼が信長に伝えた情報は誰かに命じて調べさせた内容ではなく、日頃から住民と深い信頼関係を築き、常に自分の目で現場を見続けた者にしか分からない貴重な情報でした。この生きた情報が織田信長の素早く確かな決断と行動を導き、7倍もの兵力差にも関わらず歴史的な勝利に導きました。
お客さまのご要望と商品が出会う現場は事業の存続と進化の基本です。
机の上や会議の中には付加価値や生の情報はなく、コストしかありません。
お客さまと従業員からの生きた情報は、「現場主義を貫く経営」だけに集まります。
大 西   肇(㈱ブレーメン再健本舗代表取締役)

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