投資のおはなし

 4月から資産運用講座が始まり、「暮らしの中で経済はどのように関っているのか」をテーマに学習しました。
 アベノミクスが提唱され1年が経過しましたが、経済や社会はどのように変化したのでしょうか。13年末の日経平均は1万604円から1万6291円と57%上昇、ドル円は86・6円から105・2円と21・4%円安に、10年国債利回りは0・82%から0・75%の0・07%低下しました。国内投資家から見て、日本株は100万円で57万円上昇、米国投資商品は100万円で21万円上昇、債券は100万円で0・6万円上昇となっています。株式・債券・通貨共に上昇した1年間であります。
 物価は昨年夏以降それまでのデフレから前年比1・5%のインフレに変わっています。企業業績も過去最高の07年と比べ売り上げで9%上回り、経常利益で9割の回復予想となっています。
 賃金は昨年冬のボーナスや残業手当は増加し、今年4月のベースアップも大企業中心に実施されました。失業率も前年比0・1ポイント改善の3・6%と07年7月以来の低い水準です。 デメリットでは、円安により輸入価格が上昇し、輸出が思ったほど増加しない中、貿易赤字が13・7兆円と過去最大に拡大。1・5%の物価上昇により10年国債利回り0・6%との比較で、実質金利がマイナス0・9%となり、預貯金はマイナスに転じています。税金や各種社会保障費も増加しています。いよいよ物価上昇に強い金融商品に移行する必要が出てきました。  5月のテーマは「新聞の経済面を理解する方法」です。お金の流れを書いたレポートと認識。基本的にお金が流入している国の通貨や株価は上昇、流出している国のそれは下落します。 このように、いつの時も絶え間なく低い国から高い国にお金、人、モノが流れています。またそれらは今後も流れるのか、それは増加するのか、又は減少するのか。どのような理由で現在の流れが変わるのか、変化を探すには新聞のどの記事を見ればよいのかなどをこの講座で学習します。  経済面がスラスラ読めるようになるコツは、この「経済は自分の生活に直接関係あるもの」ということを頭に入れておくことです。だから経済面を開いたら、「この経済記事は自分の生活にどのように影響するのだろう?」と考えるといいでしょう。常に「日本の経済が今どういう位置にあるのか」「今の日本の景気がいいのか、悪いのか」ということを頭に入れておくと、記事の内容がぐんとわかりやすくなります。経済統計にも注目してください。GDP・物価上昇率・金利など景気の良い国は統計数字が上昇しています。
 また、ヒトよりも早く変化を見分ける事が重要になります。新聞にある小さな記事が載っています。その記事が重要であればある程、その後、何回となく繰り返され掲載されます。大きな相場になる前のどの水準で投資行動をとるかによって、投資のリターン幅が大きく違ってきます。その差がプロ・セミプロ・アマチュアの違いになります。
 何年以来・何年ぶり・過去最高・過去最低と書かれた見出しに注目してください。その期間が長いほど、変化率が大きいほど、今後の変化も大きいと判断されます。
 今後の相場を見通す場合、ある事に関し現在、市場関係者はどのような見通しをしているのかを「市場コンセンサス」といいます。このコンセンサスに対し、実際に発表された記事内容が想定内の場合と想定外の場合により相場が変化します。
 掲載された情報が大相場に発展するかどうかは、最終的に投資家の大部分が上昇すると判断し行動するかどうかに関わってきます。その為その情報が大相場になるかどうか、つまり大儲け(大幅上昇)出来るかどうかは、いかに早い段階から投資するかどうかに関わってきます。
 このことがプロ投資家とアマチュア投資家の違いに明白に出ます。その段階をプロ・セミプロ・アマの3つに分けます。相場上昇最終段階を100%とすれば、例えばプロは30~40%の水準で投資します。セミプロは60%、アマは85から90%の水準になります。
 当然プロは儲けが大きく、セミプロは中程度、アマは購入後上昇するが手数料を考慮すると儲けが少ないために結局売り逃すことが多く、損失になってしまうわけです。
 投資の基本原則は相場の流れの見極め、商品の選択、売買タイミングがポイントになります。他には投資コストをいかに低く抑えるかも重要です。投資コストが少なければ投資判断ミスを犯しても、即売却し次の証券に切り替えられます。 
 我が国の投資家の多くが、商品選別・売買タイミングを業者に任せ、その分高い投資コストを払っています。米国では価値のある相場情報に高い情報料を払うが、我が国の業者セミナーは無料でしかも粗品がついています。その分後日、セミナーで紹介された商品を勧められ、高い手数料で商品を購入しているのが現状です。
 6月以降も各種テーマが続きます。関心のある方は参加ください。
資産運用アドバイザー・宮﨑  英壽
(昼は第2木曜日・センターパレス4階10時~12時、夜間は第2金曜日同2階18時半から20時。連絡先090・5008・0874)

 年初からの各国主要株価の下落率は日本14・3%、米国7・5%、ドイツ6・4%、中国5・8%、インド4・7%、ブラジル10・6%、ロシア11・1%となっています。
 日本株の下落率はなんと新興国より大きい。日本株=日経平均の出来高の6割以上を海外勢が占めています。世界の年金や投信などの長期資金のほか、最近では短期売買のヘッジファンドが日々の相場に大きな影響を与えています。
 年末の海外勢のスタンスは日本株上昇と円安のセットに早期の日銀の追加緩和の実施が期待されたものですが、その期待が徐々にはがれ、円高の進行との相乗で下落率が大きくなったようです。
 海外勢は一部、日本株から欧州株に切り替えているようです。海外勢の買い付けのピークを見極める参考指標として日経平均先物に伴う裁定取引の現物株の買い残高の推移があります。 今後の日本株の上昇要因として、日米の景気改善指標、円安水準の是正がポイントになります。
◆なぜ円高が持続するのか 昨年までのドル高円安傾向は、米国景気回復による金利上昇と日銀の量的緩和継続による金利低下に伴い日米金利格差が拡大したためでした。年初からは寒波の影響もあり日米経済の停滞・悪化指標が相次ぎ発表されたこと。12月に次ぎ1月のFOMC米連邦公開市場委員会でも量的緩和縮小が実施され、投資マネーが新興国から先進国、特に米国に流入、その資金が米国債に流れ利回りを低下させ、日米金利差縮小を招いたことが要因です。
 昨年一年間の新興国から先進国に流入した金額200億ドル相当が年初から既に新興国から流出していると云われています。今後、米国の経済改善指標発表や新興国の落ち着きが確認されれば、ドル高円安に戻る時期は速まると思われます。
 ドル高円安の目先ピークを見極める参考指標としてシカゴ通貨取引のドル円の残高状況があります。
◆世界経済の大きな転機である米国の金融緩和縮小が開始
 昨年12月、FOMCで毎月850億ドルの緩和金額を100億ドル減少、1月のFOMCでも同金額が減少し650億ドルに、今後も会合ごとに減少させ秋口にはゼロにする方針が予測されています。
 新興国がこの決定に困惑と戸惑いを抱き、その不安が新興国から先進国への流出につながっています。今回の措置は突然ではなく、昨年5月に金融緩和縮小実施の可能性を示唆し、その後半年が経過しています。 米国は新興国に緩和縮小の準備期間を与え、新興国各国はその影響を和らげるための政策を実施した国とそうでない国によって、株価や為替の下落に差が出ています。
 世界経済はこれまでの異常な超金融緩和政策から適度に金融を引き締めた経済成長にソフトランディングを試み始めています。
◆金利上昇時の株価動向  過去の米国の金利上昇時の比較では、94年以降が相当とみなされます。米国の政策金利は94年3%から95年6%、96年5・25%、NYダウは94年から96年まで約1・7倍になっています。勿論単純に比較はできません。
◆今後も生成・崩壊を繰り返すバブルとその見極め方 08年のリーマンショック後の世界危機に対し各国の超金融緩和対策で景気は底を打ち回復してきました。世界の株式の時価総額の07年高値を昨年10月以降更新しています。
 各国は、これまでバブルが崩壊した後、世界的な危機を救済するために更なる大きな金融緩和実施によって新たなバブルを作り出しています。現在のワールドマネーの規模は、金融危機前の2兆ドルから7兆ドル超に急拡大しています。その為、数年後に到来するバブル崩壊の衝撃はリーマンショックを更に上回る大きいものになることが予想されますので十分に注意が必要です。バブル絶頂期の見極め方として、これまでの投資層以外の投資家に買い付けてもらわないと更なる高値は更新しないわけです。 相場上昇時は売買金額も増加するため、さらなる高値更新には膨大な買い付けエネルギーが必要となります。高値時の1・5倍から2倍以上の買い付け資金が必要となるため、その資金が縮小・枯渇すればバブルの崩壊が近くなります。これまで見向きもしなかった人々が相場に参加するような状況になれば要注意、本屋さんで相場を煽るようなタイトルの本が多く積み上がっている状況も要注意です。
◆世界の投資マネーの動きと資産運用の変化
 これまでも今後も世界の投資マネーは常に上昇すると予測される投資対象を求めて流れ続けていきます。リーマンショック後は先進国から新興国に、一昨年からは新興国から先進国に。金融商品では景気低迷時は株式から債券に、景気回復時は株式も債券も共によい状況に、景気上昇時は債券から株式に資金が流れます。今後も数年は先進国への流入が続くと予想されます。グローバル時代を迎え、世界の投資マネーは瞬時に大きく投資対象を変化させます。海外の株式や債券、リートを保有する国内投資家は以前に比べ増加してきましたが、まだまだ国内株式を保有した投資家が多い状況です。有価証券運用は長期投資が基本であるとして、一度買い付けた商品を状況の変化にも関わらず長期に保有したままの投資家が多いことに驚かされます。長期投資と長期保有とは違います。個人投資家の6割が未だに損切ルールを持たないで投資を行っているというアンケートもあります。投資対象の収益力に変化が生じ下落しても売却できず含み損を抱え、結果的に資産形成の失敗を繰り返している現状が多くあります。投資マネーは常に動いていますが、大きな変化の時には自分の保有商品の見直しが必ず必要になります。
 資産運用の手法でヘッジファンドの運用を参考にしましょう。ヘッジファンドはどのような状況下でも投資リターンを確立する運用を心掛けています。勿論絶対ではありませんが、その運用手法や考え方を参考にすることが今後の相場の変化では大事になります。
 もしそのような考えをお持ちなら、一度勉強会に参加ください。
(毎月第二木曜日10時から11時45分・津中日文化センターセンターパレス4階、毎月第二金曜日午後6時30分から8時まで津公民館センターパレス2階、連絡先講師宮崎☎090・5008・0874)

 
 団塊の世代を含め退職者が急増しています。一般的に退職世代である50代後半から60前後の人々は退職金を含め、人生でまとまったお金を手にする時期になります。その時に初めてこの大事なお金をどのように運用すればよいのかと人々は頭を悩まします。ある人はこれまで通り銀行に預ける、別の人は自分のしたいことにお金を使う、または大事なお金の運用を真剣に考えるなど様々です。
 これまで我が国では、有価証券の運用は上手くいってこなかったように思われます。その理由に、日本の株式が1990年以降20年以上の長期にわたって下落低迷した事実、資産運用を客観的に学ぶ場所・方法がない事実、我が国の有価証券運用のコストが世界的に見て割高な事実などがあります。
 しかし、今後はこれまでの有価証券運用の失敗を克服する状況が到来することが予測されます。
 それはまず我が国の株式が一昨年の11月からのアベノミクスや2020年の東京オリンピックの招致でこれまでの下落低迷から脱する可能性が出てきたこと、いろいろな考えのアドバイザーがインターネットや会場でセミナーを開催していること、資産運用のコストを軽減するためにネット証券利用が増加していることです。一昨年11月からの日経平均株価は、今のところ安倍政権の政策が上手くいっているために、8千円台から1万6千円手前まで2倍近く上昇しています。
 為替においても同様、ドル円で80円以下から104円台(12月23日現在)と3割以上ドル高円安となっています。海外の株式や債券、リートなど有価証券を保有している投資家は十分海外通貨高円安効果で保有資産が上昇しています。
 今後の株式の騰落を判断するポイントを申します。5月23日の1万6千円までの上昇後、日経平均株価は6月から10月まで1万3500円から1万5千円のボックス圏で、1割の幅を上下しています。その後11月から12月にかけて1万5千円のボックス圏を上離なれ、1万6千円を目指しています。
 この間の騰落判断の基準は25日移動平均線と株価との関係にあります。実際の株価がこの基準を5%以上かい離した場合は売り、この基準を下回れば買いとの判断が今の所、適正になっています。今後も一本調子の上昇とは考えにくいのでこの判断基準は重要です。 次にセミナーなどの投資学習について、金融機関でのセミナーは今や盛んにおこなわれています。このような業者のセミナーは商品販売が目的のため、参加される投資家は自分が何を知りたいのかをはっきり認識して参加する必要があります。セミナー内容は相場の現状と今後の動向、現在取り扱っている外債や新発の投信の説明などです。
 一見大事なテーマのように思われますが、内容的にはおおざっぱな説明が多いようです。証券投資ではすぐに結果が分かるものです。セミナーの内容や業者の相場観が良いか悪いか、提案された商品のタイミングが良かったか悪かったかなど、提案されたタイミングと商品をシュミレーションしてください。その結果が良ければその業者やセミナーの提案を参考にすれば良いと思います。そうでない場合は、いろいろなセミナーの機会を増やしてください。
 次に実際の資産運用を行う場合、証券取引のコスト軽減ではネット証券活用が一番ですし、最近のネット証券利用者は株式だけではなく投信でも急増しています。ただしネット証券利用のメリットはコストの安さ、デメリットは自分の判断のみということです。
 有価証券での資産運用を行う場合、相場の見通しと商品選択、売買のタイミングが大事になります。相場の見通しでは、国内外の株式・債券・リートの騰落を期間別に調べる事です。商品選択は今後上昇すると予測される資産を、前記の状況で判断することです。
 売買タイミングで一番大事なポイントは、株式と債券の逆相関関係を理解し、そのタイミングを計ることです。景気が回復すると企業業績が良くなり株価が上昇、金利も徐々に上がり始めるために債券は下落します。景気が低迷すれば、企業業績は悪化し株価は下がり、金利は徐々に低下するために債券は上昇します。要は景気の見極めがポイントになります。07年の最高値株価を米国やドイツで昨年次々と更新しています。次は日本が更新する可能性が高いといわれています。アベノミクス推進と企業業績改善、我が国の超金融緩和と米国の金融緩和縮小が日米金利差を拡大させドル高円安が進展、株価上昇の環境が整ってきています。今年から始まるNISA、少額投資非課税制度も大いに影響してくるでしょう。
 最後に有価証券運用で重要なポイントは、自分の保有商品の見直しを年に1、2回行う必要があります。相場上昇時には反応の良い商品や銘柄に集中させましょう。
 (宮﨑 英壽)
 セミナー参加希望者は連絡ください。毎月第2金曜日夕方6時半から8時まで津市センターパレスの2階と、第3木曜日午前10時から11時45分まで同4階で行っています。
 連絡先℡090・5008・0874。

[ 3 / 4 ページ ]1234