投資のおはなし

(前回からの続き) 
 一つ目の予測として、昨年の9月以降、世界の更なる金融緩和により債券と株式が同時に上昇する金融相場が続いていますが、今年は世界景気の改善が注目されますと、良い意味の金利上昇により、株式上昇の本格化と債券相場の下落がより明確になる事が予想されます。そうなると債券を含む資産については売却を考える事が必要となります。二つ目では、為替相場の見通しです。現在ドルは90円を、ユーロは120円を超えています。ターニングポイントとなった昨年の衆院解散発言の11月14日以降の上昇率は、ドル12・1%、ユーロ17・4%、豪ドル13・7%、インドルピー14・9%、ブラジルレアル13・4%、南アランド11・5%、トルコリラ15・4%となっています。
 最近の安倍首相以下、政府高官の円高修正発言によれば、為替は当分この方向に進むと思われます。ポイントは海外、特に米国や欧州からのドル高やユーロ高を懸念する発言が多く出てくる時です。円安により日本の輸出企業の業績は好転しますが、海外、特に米国などの輸出企業は逆に悪化します。それまでは米国や欧州が今の円安を容認していると判断しても良いと思います。円の全面安により先進国や新興国の通貨はどれも昨年の3月時点を上回ってきていますが、一部新興国でまだ割安な通貨もあります。中でもブラジルレアルが面白いと思われます。ブラジル政府は一昨年のレアル高への対抗措置として外資の流入規制を昨年12月に見直し外資流入政策(ブラジルレアル高円安)にカジを切ったという記事がポイントになります。
 昨年の資産運用は金融緩和と円安により久しぶりに投資リターンが全ての金融資産で上昇し、投資家は久しぶりに嬉しい気持ちになっていると思います。しかし投資というものは、皆が幸せになっている状況の時には、相場は新たな対象を求め、現在の保有証券には下落リスクが首をもたげてくるものです。
 ここでアメリカの著名投資家ジョン・テンプルトンの相場格言、「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」という言葉に注意が必要です。現在の状況下で、どの証券が更に上昇し、どの証券が下落するのかを見極める必要があります。従って現段階で保有する有価証券の見直しが必要です。今年の相場予測をもとに、運用対象証券を決めたら、自分の保有証券をシフトさせることです(例えば債券重視から株式・リートに)。
 次に海外証券を多く持たれている場合、為替の見通しをもとに、円安水準で利益確定を行う必要があります。特に海外証券の中で、運用リターンに占める円安の影響は大きいものです。 そこで、円高になっても為替面で資産の下落をある程度抑制できる為替ヘッジ付きの商品に切り替える必要があります。昨年9月か10月頃の日経夕刊に「為替ヘッジ証券が人気化し、その残高が増加しています」という記事が掲載されていましたが、それらの投資家は11月以降の一番おいしい円安のメリットを受けていない訳です。今後の為替水準を勘案し、どこかで為替ヘッジ無しから、為替ヘッジ付きに切り替える時期が非常に大事になります。
 次に同じ投資対象証券では、年間トータルリターンの比較的高いものを選択することが重要となります。保有していなければ切り替える必要があります。見直しは売却で損が発生する場合でも必要です。年間の価格の推移を見れば、どのように運用利回りが低い証券でも、高値と安値の価格差は1割を超えています。高値を売却し、その後の安値を1割以下で購入すれば売却時に比べ、1割口数が多く買えるわけです。リーマンショック前の高値を購入している投資家でもこの作業を2回から3回繰り返せば、買い付け価格を下げ、結果的に損失は大幅に減少することになります。
 この方法は、自分の買い値を下げる工夫であって、次々と別の商品を売買することではありません。今年も投資のチャンスが多くあると期待できます。投資の学習をしっかり行ってください。買い付ける証券の価格の水準をチェック、どの状況で上昇又は下落するのかを理解し、常に買い付ける商品は他社の同じ対象証券と比較検討を行い、売買のタイミングを逃さないことを頭に置き、資産増加に励んでください。
 今年こそ不満・不安・後悔する運用から納得・安心・楽しみの出来る運用を目指してください。必ずそれが出来ます。
(資産運用アドバイザー 宮﨑 英壽 質問や学習を希望される方は連絡ください。連絡先℡090・5008・0874)

 昨年の大きな変化としてまず1つ目は世界的に更なる金融緩和が起きたということです。それは主要各国の10年国債の利回りの低下にはっきり現れています。08年9月に勃発したリーマンショック時も世界的な金融緩和が生じましたが、今回は更に金利が低下しています。
 具体的には、リーマンショック時(08年)と昨年(12月中旬まで)の各国の利回りを比較しますと、日本1・7%→1・2%、1%→0・7%。米国4%→2・3%、2・2%→1・5%。ドイツ4・5%→3%、1・8%→1・4%。豪州6・5%→4%、4%→3%、ブラジル17・5%→13%、11%→9・25%。インド9・5%→5・5%、8・5%→8・1%となっています。
 つまり金融資産としてはリーマンショック後、債券相場は大幅な金利低下により上昇し続けたわけです。 昨年、いかに債券が買われたかという出来事として2年以下の国債にマイナス金利が付いたことです。
 本来債券を保有すれば利息を受け取れますが、マイナス金利の付いた債券保有者は、利回り分だけ元本が減少するという異常事態が夏頃に起きています。
 このマイナス金利の付いた国は、米国や欧州のドイツ・フランス・オランダ・フィンランド・ベルギー・スイス・オーストリア・デンマークなどです。
 ただし財政危機にあったイタリアやギリシャでは逆に信用不安から債券が売られ、利回りが上昇(債券単価は下落)しました。イタリアでは昨年7月に5%→7%に、ギリシャで同15%→36%に利回りが上昇しています。
 その後、イタリアは4・5%、ギリシャは16%まで低下しています。いかに南欧国の国債が売られ、利息を払ってでも安全な国の国債を保有したい投資家が多かったかがわかります。
 2つ目は、12月に世界株式指数が円ベースで3月の高値を更新したことです。つまり昨年は債券も上昇したが、同時に株式も上昇しているわけです。
 本来この2つの資産は株式が上昇すれば債券は下落し、債券が上昇すれば株式は下落するという逆相関関係にあるものですが、昨年は両資産とも上昇しています。背景には、世界的な超金融緩和により有価証券すべてが買われ上昇したということです。
 このような状況は金融相場といわれ、景気回復が無くても市場にお金があふれている場合に起きる現象です。ここで国内投資家から見て(円ベース)、国内外の金融資産の昨年の騰落を見てみます。期間は年初から12月中旬の計算です。国内株式指数15・6%・先進国株式指数23・6%・新興国株式指数22・5%、国内債券指数1・8%・先進国債券指数15・3%・新興国債券指数23・4%、国内リート指数31%・先進国リート指数29・3%となっています。
 このように国内投資家にとってはどの金融資産も上昇しています。なかでも国内外のリート・国内外の株式・海外債券の上昇は結構なものです。そのため皆さんの保有証券も上昇していることと思われます。特に後半の上昇に影響を与えたのは為替の円安によるものです。
 3つ目は昨年3月にも円安水準がありましたが12月に入り更に円安が進みました。通貨についても年初から12月中旬までの円と主要国の為替を検証します。  円の対ドル9・1%・対ユーロ10・4%・対豪ドル12・4%・対インドルピー6・2%・対ブラジルレアルマイナス3%・対南アランド1・4%・対トルコリラ15・6%となっています。先進国とトルコは1割以上の円安に対し、新興国通貨はまだ円安水準が低いと判断できます。 
 昨年の3つの流れをもとに今年の相場はどの様に予測できるのでしょうか?参考として昨年12月に証券分析のプロである世界の証券アナリスト6700人を対象にした今年の相場見通しに関するアンケート結果が出ていました。
 株式市場では最も有望な対象として米国株回答比率32%、次に中国株17%、ブラジル株10%と続きます。 もっとも高い運用利回りが期待できる金融資産は、株式で50%、次に貴金属22%、債券8%となっています。株式は、前年比9ポイント上昇、貴金属や債券は前年比2から3ポイント低下という結果でした。全体的にリスク資産に強気な背景には世界景気見通しの改善があるようです。
 (資産運用アドバイザー 宮﨑 英壽 連絡先℡090・5008・0874)

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