女の落書帖

「秋の蚊の油断もスキもない攻撃」 俳句みたいなものが頭に浮かんだが、これは川柳だろうか。はっきり言いすぎて風情がない。
秋の蚊は死に物狂い。洗濯ものを取り込むために少し外へ出ただけなのに、首筋に一匹、足首に一匹蚊が貼りついていた。我が家の周りにたくさんいる蚊は、イエカと呼ばれる種類だと思う。
蚊は卵を産むために雌だけが血を吸うと言われているが、イエカの仲間には血を吸わなくても一回は卵を産める蚊がいるそうだ。だから、この辺りに蚊が多いのだと納得する。あれほど多くの蚊を発生させるほど、この地区には人が住んでいない。
その蚊が、また寒さに強くて、秋どころか冬までも生きている。我が家は、一年のほとんどの季節を蚊と共存する羽目となっている。
しっかりと網戸を閉めていても、蚊はどこからか部屋の中に入ってくる。寝ている時に耳元でブーンと羽音が聞こえると、本当にイライラする。
どこかの国で蚊を不妊症にする研究がなされていると聞いた。蚊を媒介とする感染症対策として、遺伝子組み換えで不妊化した雄を散布し、蚊を生まれなくするという。
感染症の怖さを感じる今は素晴らしい研究に思えるが、突然変異など起こらぬかと心配にもなる。秋の蚊に刺されて、痒い痒いと言っているぐらいで終われば平和である。
(舞)

 待ち合わせに遅刻した。間に合う時刻に家を出たはずが、いつも見るテレビの上の時計が遅れていた。遅くなったと気づいたのは車に乗って時計を見てからである。
家にある時計のほとんどが電波時計。自分で買ったものは一つで、他は何かの記念品だったり、引き出物だったり。古い時計は捨ててしまった。電波時計でも電池が減れば遅れるだろうが、長持ちするのでいつも正確な時刻を表示している。
今回のトラブルで、時計が遅れるなんて考えもしなくなった自分に驚いた。時計は進んだり、遅れたりするもので、一日一度はテレビの時報と時計の時刻のずれを確認したものだ。
そういえば、テレビから七時の時報がなくなったのはいつだったろう。ピッピッピッピーという耳になじんだ音を久しく聞いていない。アナログ時代の記憶だ。
パソコンもスマホもインターネットにつながっていれば、サーバと同期して正確な時刻を表示する。web時報というものもあって、117と同じような声で時刻を教えてくれる。時刻合わせの必要はない。
目覚まし時計を五分進めておいたことが懐かしい。五分進めても、五分余裕があると思ってしまうから同じことなのに、段取りがうまくいくように思ってそうしていた。電波時計には五分進める機能はない。そこのところが少し残念だ。  (舞)

スーパーで尾鷲の干物を買ってきた。タチウオのみりん干し。オーブントースターでさっと炙ると甘くて柔らかくて美味しい。
袋を開けようとして、裏に詩のようなものが書いてあるのに気が付いた。「干し魚 カンピンタンの うたうたふ 国の恋ほしさ 妻がふるさと」うーん、よくわからない。
でもカンピンタンの意味はわかった。子どもの頃「カエルのカンピンタン」と言ったことがある。車に引かれたか、道路でカピカピに乾いたカエルの死骸を見つけたときのこと。もう今では使わないカンピンタンという言葉が懐かしい。
尾鷲では干し魚のカンピンタン。あの塩辛くて少し硬いサンマの丸干しにはカンピンタンという表現が似合っていると思う。身をほぐしてご飯に乗せ、お茶漬けにするととても美味しい。昔は安く買えたものだが、サンマの不漁が伝えられる今年は高級品となるかもしれない。
どうもカンピンタンは三重県限定の言い回しらしい。どんな漢字なのかも知らないし、若い人にはもう通じない言葉かもしれない。三重には他にも、ささって、机つり、ぎなぎな、とごるなど、他県に通じない方言がいろいろある。
アラートだディスタンスだと、外来のカタカナ語が増えているのに、方言も標準語も覚えてはいられない。方言は次第に消えていくだろうと思う。
(舞)

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