女の落書帖

夕方仕事から帰ると真っ先にパソコンの電源を入れる。メールとSNSをチェックしながらお茶を飲む。お菓子を一つつまんだりもする。
それから、夕食の準備だ。冷蔵庫にキャベツと豚肉があるから……料理サイトで豚肉とキャベツで検索をする。今夜はホイコーローにするかと決めて、ざっと調味料を確認する。
パソコンの中には知恵が詰まっている。百科事典を持ち出していたような調べごとなら、キーボードをちょこっとたたくだけで回答を引き出せる。レシピを調べるにも、料理カードや料理本を探す手間がいらない。
夕食後は、またパソコンに向かう。ニュースを読んだり、動画を見たり。テレビはきょうのニュースぐらいしか見ない。以前テレビを見ていた時間はパソコンに置き換わった。いつからこんなに私の生活にパソコンが入ってきたのだろう。
私が学生の頃にはまだパソコンを触ることもできなかった。それが今や、職場や大学で一人一台のパソコンが当たり前。家庭でも大人一人にパソコン、他にもタブレットやスマホがある。
パソコンはいつからこんなに現代人の生活の中に大きな位置を占めるようになったのだろう。とにかくパソコンなしの生活は想像もできない。もはや依存しているという段階だろうか。             (舞)

子どもたちが家を離れて久しいのに、まだいろんなものが残っている。消しゴムやかわいい小物やプラモデルや陶器のオルゴール。
オルゴールのネジを巻いて鳴らしてみた。曲目は「エリーゼのために」。子どもはそんなには喜ばず、長らくおもちゃ箱の底にあった。私がそれを拾って、今は飾り棚に。
子どもの頃、私もオルゴールを持っていた。木製の小物入れで、箱のふたを開けるとトロイメライが流れた。姉からのお下がりだったけど、大事にしていて、何度もネジを巻いてポロポロロンと流れる音を聞いたものだ。
その頃は子どものおもちゃのほとんどにゼンマイが使われていた。ブリキの自動車、お風呂の舟ももちろんゼンマイで動いた。おもちゃだけでなく、柱時計も一日に一度ネジを巻いた。
ネジを巻く、そのエネルギーをゼンマイに蓄えて、小舟のスクリューを回す。オルゴールの筒を回す。時計の針を動かす。
人のエネルギーを蓄えるシステムもすごいと思うが、一気にエネルギーを放出するのではなく、少しずつエネルギーを使って正確な時を刻む振り子時計の制御システムは素晴らしいと思う。
ゼンマイの「ネジを巻く」作業は、今では私の日常から姿を消し、慣用句として存在するだけとなった。ゼンマイはなかなか面白い仕組みだと思うのだけど。 (舞)

曇り空の下、半袖ジャージ姿の小学生たちが歩いてくるのを運転席から見た。男の子たちだから要注意。男の子はふざけて突然車の前に飛び出すことがある。
それぞれランドセルを背負い、傘を持ってだらだらと歩いてくる。傘の先はアスファルトの上をずるずると動いていて、先端のプラスチックが擦り切れるのも時間の問題だと思われた。
そういえば、小学生男子はあんなものだった。他人に向けて傘を振り回さないだけお利口さんとしよう。
では、私なら雨上がりの傘をどのように持っているかと振り返ってみる。私はステッキのように、傘の先をコツコツとアスファルトに打ち付けているようだ。今まで意識していなかったが、それもまた、傘の先を傷つける。あの先端の部品は石突きというのだったか。
実をいうと、私が愛用している傘は十年も前のもの。置き忘れることもなく、色柄が褪せることもなく、骨を折ることもなく、石突きもつゆ先もしっかりしている。ステッキのように使う分には、傘への負担が少ないとみえる。
ただ、木製の柄がくたびれてきた。そろそろ買い替え時期だろう。安いビニール傘や子どもの傘は消耗品だけれど、大人はやはり良い傘を持ちたいもの。次の十年を過ごす傘との出会いを待っている。    (舞)

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