女の落書帖

 子どもの頃、遊びから帰りながら靴を飛ばした。靴を半脱ぎにして夕焼け空に向かって蹴り上げる。飛んで行った靴が裏返ったら明日は雨。表だったら晴れ。横になったら曇り。それが天気予報。
 天気予報天気予報と三度唱えれば交通事故に合わないフグに当たらないとも言った。テレビの天気予報より、おばあちゃんの言葉の方が合っていた。「西の山が見えたら晴れる」
 それが今は、天気予報がよく当たる。「明日の朝には雨が止むでしょう」と言えば、朝起きたら雨が止んでいる。「折りたたみ傘を持って出かけましょう」と言えば、雨がポツポツ降ってくる。
 この頃の天気予報は進んでいる。お天気衛星から雲の動きを見るのだから、あの雲が移動したら降り出すと分かるだろう。
 それでも近年の急激な気候変動のせいで難しいこともありそうだ。線状降水帯がどの位置にできるか。十キロ違えばそこに住む人には大きな違いとなる。雨の降り出しも厳しく求められる。夜には雨ではなく、九時にはこの地域に雨雲がかかるというように。私も二週間先の天気や気温まで調べてしまう。
 それで、天気予報が当たらないと言う人が今もいる。大気の動きには変動があるだろうし、温暖化で過去のデータも頼りにならない。そんな中で未来を予測するのだから、少々のずれはあると思う。
       (舞)

右折車に轢かれそうになった。信号のある交差点の横断歩道を歩いていた時である。
 車に気づいた私はヒッと言って固まってしまった。機敏に衝突を避けるなんてできない。車は数十センチのところで私の身体に触れずに止まった。びっくりした。
 運転席の女性が拝むようなしぐさをした。私は頷いてそのまま横断歩道を進んだ。交通事故はこんな風に起こるのだと思った。
 右折は危ない。対向車の来ないうちにとアクセルを踏む。つい数週間前のわが身を振り返った。その日は強い雨が降っていた。交差点を車で右折したのは私。車を進めて横断歩道に差し掛かった時ドキッとした。車の右に傘をさした人の背中が見えた。
 もちろん接触はしていない。しかし右折する時にその人の姿が見えていなかった。十秒違えば轢いていたかもしれない。横断歩道に人がいるのに気づけなかったことにショックを受けた。交通事故はそんな風に起こる。
 これからのことを考える。信号のある横断歩道でも車の運転者と視線を合わせてから渡ろう。運転する時はどうしよう。それはもう注意深く運転するしかない。雨の日や夜の運転をできるかぎり避けよう。
 免許を取得して何十年にもなるが、これまで人に怪我をさせたことはない。私も怪我をしたことがない。このまま交通事故と無縁でいたいものだ。
       (舞)

 近所に建売の住宅ができた。新しい人が来るのは嬉しい。新築の家は見ていて楽しい。スタイリッシュ住宅というのだろうか。黒っぽい外壁のおしゃれな外観だ。
 この頃の新築には、黒っぽい外壁が増えているように思う。黒い家は和風にも洋風にも合う。おしゃれに見える。雨の汚れも目立たないだろう。でも夏の暑さは増すのではないだろうか。今の家は断熱効果が高いから大丈夫なのかも。
 窓が小さくて少ない。家の南側には掃き出し窓があるのが普通だったけれど、南側に腰高窓だ。家具を大切にする西洋では、家具が陽で焼けない北向きの部屋が好まれると聞いたことがあるが、日本でもそういう傾向が出てきたのだろうか。窓が少なければ夏の暑さ対策にもなる。温暖化が窓の大きさに影響を及ぼしているのかも。
 それ以上にプライバシーの問題かもしれない。広い庭がある豪邸ならともかく、街中の家なら大きな窓は隣から丸見えになる。我が家も一日中レースのカーテンを閉めている。暗くなったら外から見えないように雨戸を閉める。大きな窓を作らない方が良かったかもしれない。
 壁が多ければ、家具の位置も自由に決められる。絵やタペストリーを飾る場所も取れる。外から見る小さな窓はおしゃれだ。今度家を建てるなら、黒い外壁に小さな窓になるだろうか。     

       (舞)

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