女の落書帖

秋の夜長を読書で過ごす。日本の小説を読むことが多いが、時々は海外ミステリーにも手を出す。翻訳ものは、コナン・ドイルやアガサ・クリスティに始まり、現代作家まで英米のミステリーを読んできた。
ところが近頃はいろんな言語の翻訳がされ、北欧のミステリーなどもブームとなっている。一度だけ旅したことのあるスウェーデンやノルウェーの風土を思い出しながら小説を読むのも楽しい。
北欧ミステリーの特徴は、まず背景が暗いこと。霧、雨、雪、長い夜。その陰鬱な気候の下で、事件が起こる。事件の物語と並行して家族の物語も展開する。児童虐待、ドメスティックバイオレンス、政治腐敗、性差別など、現代社会の抱える問題が続々出てきて、その中で人間の弱さ、愚かさ、哀しさ、可愛らしさが、丁寧に描かれる。北欧ミステリーは社会批判を含んだ文学であると言える。
実際の地名が使われることが多く、地図で確認してみるのも面白い。今、読んでいるのはカミラ・レックバリの小説で、フィエルバッカという町の地図を何度も見ることになった。ただ、人の名前も地名も日本人にはなじみのない発音が多くて、それを覚えるのが一苦労である。
小説の主人公たちは、個人的な悩みを抱え、もがきながらも社会の悪に立ち向かう。その姿勢には、どこの国の読者も共感できるだろう。(舞)

朝は携帯のアラームで目を覚ます。どうも私は、朝の眠りが深いタイプらしく、自然に目が覚めることはほとんどない。毎朝電子音に起こされる。
ぎりぎりの時間にアラームをセットしているので、すぐに起き出さなければならない。半分目を閉じた状態で着替え、台所に立つ。お茶を沸かして、朝ごはんを用意してとするうちに、昨夜の頭痛も不快感も消えていることに気が付いた。
睡眠は素晴らしい。確か昨夜は、いろいろな体調不良が重なって、寝付くまでふとんの上でころころしていたのに、朝になれば体調がリセットされている。まだ眠いのを除けば、快適な朝だ。
とはいっても、左の頬に枕カバーの跡がくっきりと残っているのはいただけない。深く眠るその間、寝返りもせず、頬をカバーに強く押し付けていたらしい。
忙しい朝にひとつ仕事が増えた。頬の寝癖を消さないことには恥ずかしい。上半身のストレッチ。それから頬のマッサージ、蒸しタオルと、とにかく血行を良くして、解消に努める。
しかし若くはない肌は弾力に乏しく、回復が難しい。いくぶん薄くなったぐらいで出かける時刻になった。
考えれば、頬の寝癖ぐらい取るに足りないこと。痛くもかゆくも気持ち悪くもないのだ。私の頬なんて、誰も注意してないに違いない。元気に感謝の朝である。
(舞)

息子の結婚が決まったと、友人から嬉しげな報告があった。息子たちも娘たちも結婚したがらないこの時代に、よく決心したとほめてあげたそうだ。私もうらやましい。我が子もそろそろ結婚してほしいものである。 それでそれでと、私は聞く。結婚式には留袖を着るの?ドレスを着るの?近頃晴れやかな場所にとんと無縁な私は、そこが関心事。どこのどんな娘さんがお相手かとは、あまりに踏み込みすぎで聞けないので、それぐらいの話題がちょうどよい。 向こうのお母さんと一緒にドレスを見に行ったと友人は言う。紫のフリルのやら、バラのついたのやら、いっぱい着てみて楽しかった。でも、やっぱり花嫁さんより目立ってはいけないので、黒のシンプルなドレスにしてきたわ。 私は友人の舞い上がりぶりがおかしくなる。彼女は無謀にも若い人と競い、場合によっては勝つつもりだ。少し水をかけてやる。だいじょうぶ。いくら派手にしても、きれいなおばさんになるだけだから。 えっ、おばさんなん!悲鳴のように返ってきた。おばさんと呼ばれるのがご不満らしい。おばさんがおばさんで何が悪いと私は思う。りっぱなおばさんとして花婿の母の存在感を示してほしい。 若さばかりが価値ではない。きれいなおばさんなら上等じゃないかと言ってやった。 (舞)

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