女の落書帖

シューズボックスの片付けをしたら、ほとんど履いていない靴が何足か出てきた。近頃ハイヒールを履いていない。痛くはないけれど、疲れるから履きたくない。楽が一番のこの頃なのだ。
そういう私なので、ロンドンの受付業務の会社に採用され、会計事務所で働く女性が、ハイヒールを履いていないことを理由に無給で帰宅を命じられたというニュースに驚いた。ヒールが原因で給料をもらえないとは。
服装規定が必要な職場はあるだろう。しかし、五センチから十センチのハイヒールという規定は行き過ぎだ。きちんとした形の靴なら三センチでも変わりないはず。ハイヒールで一日仕事をする大変さを、規定を作った人は知らないに違いない。
窮屈な靴から連想されるのは、中国のてん足である。幼児期から足に布を巻いて変形させ、小さな足を美しいとした。ヨーロッパでもバレエの流行で小さな足が貴族階級の証であったという。女の足は観賞用で、歩いたり踏ん張ったりするものではないという認識だ。
歩きやすい靴で男は闊歩し、女は不安定な靴でよろけて誰かに支えられる。そんな昔ならともかく、男と同等の仕事を求められる現代の職場にハイヒールはそぐわない。女性差別だと声高に言うつもりもないが、疲れる靴は誰でも嫌だよねと、社会の理解を求めたいところだ。    (舞)

ジムにいたら、音楽が漏れ聞こえてきた。何かのレッスンが始まったらしい。
ジムのエアロビクスやアクアビクスに使われるエクササイズ曲は、テンポよくアレンジされたナツメロが多い。きょう聞いたのは、「こんにちはぁ。こんにちはぁ。世界のぉ国から」三波春夫の曲だった。
「この曲でエクササイズを?」多くの人が知っている曲だろうけれど、がっかりしてしまう選曲である。たぶん高齢者を喜ばせるつもりだろうが、高齢者なら三波春夫が好きだというわけでもない。エクササイズ曲ダンス曲にはもう少し合うものがありそうに思う。
昭和の音楽は歌謡曲だけではない。大阪万博の年はビートルズ解散の年。それより前からロックはあったし、聴いたり演奏したりしていた人も多い。他にもジャズやフォーク、イージーリスニングなど様々なポピュラー音楽があった。
また、昭和の人は平成の曲も知っている。モーニング娘。の曲もAKB48の曲も巷にあふれていたから。馴染み深いのは昭和の曲だが、平成の曲を拒んでいるわけでもないだろう。新しい曲で踊ったり動いたりができれば楽しいと思う。
近年、分かるようになったのだが、年を重ねても内側は存外変わらない。心は楽しく新しいものを求めている。昭和の歌謡曲なら高齢者の心をつかめると思うのは短絡にすぎると思う。(舞)

二月も終わりに近づいて、庭の草が気になってきた。元気なのがハコベ。太陽の光を受けようと緑の葉を広げている。おひたしやナムルにしたら美味しい野草だと聞いているが、食べるにはまず引かなくては。
家の影になる北側にも目をやると、こちらにはハコベはなく、いくぶん黄色くなった苔が土を覆っている。
夏にゼニゴケが生えていた場所はと見ると、茶色い。てらてらと青光りして旺盛に繁殖していたゼニゴケが枯れかかっているようだ。
確かゼニゴケは、寒さにも強いはず。去年、ゼニゴケの駆除方法を調べたら、繁殖力が強くて駆除が厄介だと書いてあった。葉で空気中の水分を吸収しているので、湿気があれば増える。
そのゼニゴケが弱っているなら、この機に乗じてやっつけてしまおう。茶色くなった葉状体を土ごとベロリと剥がしていく。他のきれいな苔と混じっている場所では、もったいないけれどきれいな苔も一緒に剥がす。
土が露わになって寒々しいが、仕方がない。ゼニゴケ駆除が優先だ。こうしておいても夏になれば、たぶんまた復活するだろう。ゼニゴケだから。
春になったら、きれいな苔を移植してみよう。梅雨の頃には増えて、ゼニゴケに負けずに土を覆ってくれるだろうか。家の北側の小さな場所を、いつの日か憧れの苔庭にしてみたい。(舞)

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