女の落書帖

鉄道オタクではないけれど、列車を見るのが好きだ。踏切で遮断機に止められると、どんな列車が通るかと待ち時間を楽しむ。乗客がどれぐらいいるかなと見る。
きょうの特急の席はバラバラと埋まっていた。なるべく密にならないように席を取っているようだ。ひと頃からすると乗客はずいぶん増えたように思う。
特急ひのとりやしまかぜが通るとうれしい。GoToトラベルで伊勢志摩へ行く人も増えたようだ。しまかぜの席がほとんど埋まっている。
JRの特急南紀も時々見る。この特急はたいてい空いている。南紀への自動車道が整備されてきたので、列車より車やバスを使う旅行が増えただろう。GoToトラベルの効果も限定的かもしれないと、列車が通り過ぎる短い時間に分析をしてみる。
昔々、通学に列車を使っていた頃、車内ではいつも寝ていた。揺れに身を任せてうとうとガクッとしては、誰にも見られなかったかと周りを見たものだ。あの頃はどうしてあんなに眠かったのだろう。
列車で通ったのは人生のほんの数年間で、その後は車ばかりの生活である。でも、見て楽しいのは車でなくて列車だ。いろんな人を乗せてどこかへ行く夜の列車の明るい窓にロマンを感じる。コロナが終わったら、特急南紀で熊野に行ってみようか。でもやはり車が便利だろうなと思ってしまう。    (舞)

世の中の人はGoToに出かけているというのに、私は相も変わらず自粛中で遠出はしない。近場に行くには車ばかりだ。でも先日、何カ月ぶりかで電車に乗った。新鮮だった。
平日の昼間の電車にもそこそこ人が乗っていた。電車の窓が少し開けられていて、涼しい風が頭の上を通っていく。私はマスクしてうつむいて、秘かに乗客を観察した。皆さんスマホを見つつ、静かに座っている。
並んでいる足元を見ていて気が付いた。若い女性がパンプスを履いていない。十人のうち八人までがスニーカーで、一人はブーツで、残りの一人がパンプス。電車に乗って出かけるならパンプスが普通ではないのか。パンプスは足がかわいく見えるから、オシャレ女子御用達だと思っていた。
この頃こそ私もウォーキングシューズを履くようになったが、シューズボックスにはパンプスが何足も並んでいる。普段履きにはフラットパンプスがちょうど良くて、十代の頃からずっと愛用している。
いつのまにか時代が変わっているのかもしれない。#KuToo運動の成果かも。ともかく平日の昼間の電車に乗っていた学生さん風の女の子たちはスニーカー族だった。
今度は通勤電車で観察してみたいが、混雑した電車でのパンプス率調査はしばらくお預け。「コロナが終わったら」といつもの落ちになる。    (舞)

「秋の蚊の油断もスキもない攻撃」 俳句みたいなものが頭に浮かんだが、これは川柳だろうか。はっきり言いすぎて風情がない。
秋の蚊は死に物狂い。洗濯ものを取り込むために少し外へ出ただけなのに、首筋に一匹、足首に一匹蚊が貼りついていた。我が家の周りにたくさんいる蚊は、イエカと呼ばれる種類だと思う。
蚊は卵を産むために雌だけが血を吸うと言われているが、イエカの仲間には血を吸わなくても一回は卵を産める蚊がいるそうだ。だから、この辺りに蚊が多いのだと納得する。あれほど多くの蚊を発生させるほど、この地区には人が住んでいない。
その蚊が、また寒さに強くて、秋どころか冬までも生きている。我が家は、一年のほとんどの季節を蚊と共存する羽目となっている。
しっかりと網戸を閉めていても、蚊はどこからか部屋の中に入ってくる。寝ている時に耳元でブーンと羽音が聞こえると、本当にイライラする。
どこかの国で蚊を不妊症にする研究がなされていると聞いた。蚊を媒介とする感染症対策として、遺伝子組み換えで不妊化した雄を散布し、蚊を生まれなくするという。
感染症の怖さを感じる今は素晴らしい研究に思えるが、突然変異など起こらぬかと心配にもなる。秋の蚊に刺されて、痒い痒いと言っているぐらいで終われば平和である。
(舞)

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