女の落書帖

 今日は味ご飯を炊いた。味ご飯という言い方は、どうもこのあたりだけの方言らしく、関西ではかやくご飯、全国的には炊き込みご飯というらしい。今回は我ながら見事な出来栄えの味ご飯で、とてもおいしかった。
 味ご飯にはゴボウである。ゴボウを入れると入れないとでは香りが違う。それからキノコをたくさん。戻し汁を使う干しシイタケはもちろん、エリンギやシメジを入れると食感がおもしろい。
 だしはひね鶏の肉。ひね鶏とは、卵を産まなくなった鶏のことで、肉は固いがうまみがある。ひねという言葉も方言らしく、転勤族の友人には通じなかった。親鶏というべきだろうか。
 ともかく、ひね鶏はおいしいのである。肉に脂が乗っているので、ご飯粒がつやつやと光る。噛み切れないほど硬かったりするが、スーパーに売られている若鳥のように水っぽくない。味ご飯のだしはひね鶏に限る。
 といっても、スーパーの肉売り場では ひね鶏を買うことができない。卵があんなに売られているのだから、卵を産まなくなった鶏もたくさん出るはずだが、食肉としての流通は少ないようだ。きっと、加工品として利用されるのだろう。
 私はひね鶏を鶏肉に強い肉屋で買ってくる。それを小分けにして、冷凍庫へ。いつでもおいしい味ご飯が炊けるという幸せをストックしている。      (舞)

 「タンプレを買いに行かなくちゃ」若い同僚の言葉にキョトンとしてしまった。「タンプレ?ナンプレ?ゲームか何か?」
 タンプレとは誕生日プレゼントだそうだ。パーソナルコンピュータをパソコンと呼ぶけれど、ドクモ、モンペ、ジツテ、トリセツは難しい。
 ドクモは読者モデルのこと。モンペは農業用ズボンではなく、モンスターペアレントのこと。ジツテは学生さんの実力テストのこと。トリセツは取扱説明書。だいぶ前にはKYという言葉が流行ったけれど、JKもある。女子高生のことらしい。短縮形もここまでくると理解が難しい。
 私たちおばさんも、たくさんの短縮語を使っている。ファミレス、ドタキャン、セクハラ、メルアド。しかし、タンプレ、モンペはないだろうと感じる。
 どこがいけないと問われれば、返答のしようもない。誕生日プレゼントの漢字とカタカナの取り合わせに違和感があるのかも。でもメル友は自分でも使っているし……。
 センスがないと感じるのだろうか。モンペというぐらいなら、面倒でも理不尽な要求をする困った保護者たちと言いたい。セクハラやパワハラは許せるが、アカハラ(アカデミックハラスメント)、モラハラ(モラルハラスメント)は変だ。
 そう感じるのは、私が世の中の流れに乗れないということだろうか。 (舞)

 秋の風に誘われて、秋を感じる街道歩きをしてきた。紅葉にはまだしばしの鈴鹿峠である。
 新名神高速ができてからの国道一号線は、車の数もめっきり減って非常に走りやすい。沓掛の信号で国道を逸れて、旧東海道に車を進めた。
 鈴鹿馬子唄会館に立ち寄ると、木を活かした造りの建物に鈴鹿馬子唄が流れていた。坂は照る照る鈴鹿は曇るあいの土山雨が降る。
 車はゆるやかな坂道を登りつつ、坂下宿に。旧街道にしては広い道である。本陣などの建物は見当たらないが、通りを挟む家々は宿場町の風情であった。車を降りて街道歩きに切り替えた。
 坂下宿を離れると、坂道は狭く急になる。片山神社は鎌倉時代からあったと言われる古い神社。今は荒れ果てているが、いつの時代のものか、りっぱな石垣が残っていた。石段の椎の実を拾ってポケットに入れ、急な坂道を登った。さらに石畳の坂道。峠までは急な坂が続く。何しろ東海道の難所である。
 以前、峠を越え土山まで歩いたが、滋賀県側はあっけないほど普通の道になってしまう。ゆるやかに下る国道歩きは面白くもなんともない。
 坂下宿から片山神社の上の石畳あたりまでが街道歩きとして面白いと決めて、道端に紫や朱色の秋の実を見つけつつ戻ってきた。人が自分の足で旅をした時代を偲ぶひとときであった。 (舞)

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