女の落書帖

テレビをつけると、スペインの港町を紹介する番組だった。店をのぞき込み、街の人と話してカメラが進んでいく。こんな風に外国を歩いてみたい。私がたまに行く海外は、いつも忙しいツアーで集合時刻とトイレを気にしてばかり。
それでも訪れた国には親近感を覚える。北欧へ行ってから、北欧ミステリーが好きになった。きれいな場所ばかり観光してきたけれど、社会の暗部はこのようかと、改めて知った。もちろんフィクションだから書いてあるそのままが存在するわけではないが、社会の問題点に目を向けるのはどこの国の文学でも同じだ。
チェコやハンガリーへ行った後には、プラハの春やハンガリー動乱についての本を探した。世界史や地理を勉強するにもフィクションでなら取っつきやすい。
この間読んだアメリカの小説では、オバマ以後の南部について知ることになった。いまだにこんな人種差別があるかとアメリカに幻滅した。アメリカに行きたいと思わない。
今興味があるのはアイスランドだ。アイスランドという国を知ったのもミステリーだ。アーナルデュル・インドリダソンの描く陰鬱な風景をきっかけとして調べてみたら、アイスランドはオーロラと火山と滝の国。何と雄大な自然があることか。
読んでから行くか、行ってから読むか。私の中で旅行と本はリンクしている。   (舞)

にわかに降り出した雨に車のワイパーを動かして信号待ちをしている時、路側帯のバイクのお兄さんに目が留まった。ヘルメットとレザースーツ姿は、お兄さんなのかおじさんなのかわからないが、背筋が伸びていてお腹が出ていないからお兄さんだと思われた。
そのお兄さんが、さっきからバイクのエンジンをかけようと何回もペダルを踏んでいる。バイクの右側に立ってペダルを踏みこむのが、もう十回は超えただろう。なかなかエンジンがかからない。
大型のバイクはハーレーという車種だろうか。雨はみぞれになってきて、お兄さんはさぞ冷たかろうと気にかかる。信号が変わり、私の車は交差点に進んだ。
この寒い日にバイクに乗るとは、よほど好きに違いない。原付バイクになら私も乗ったことがあるけれど、それは車の免許が取れるまでのこと。車に乗るようになってからは、雨風に体をさらして走る人の気がしれない。
普段の私は、ボタンプッシュで車のエンジンをかけている。昔のバイクのエンジンは、ああしてペダルを力いっぱい踏んでかけるものだったと、懐かしく思い出した。
次の信号で止まっていたら、ドッドッドッドという音が後ろから響いてきた。ようやくエンジンがかかったらしい。信号待ちの車の長い列の脇を、お兄さんのバイクがすり抜けて行った。(舞)

本が好きなので図書館をよく利用する。昔は文庫本を買っていたのだが、本が家にたまっていくのが嫌になり、作家さんには申し訳ないが、本は買わずに借りるものと決めた。
本の選び方は人それぞれだろうが、私は作家で選ぶ。一人の作家を気に入ると、その人の書いたものを全部読む。中にはがっかりするものもあるが、好きな作家の本はたいてい面白く読める。
新しい作家の開拓も欠かせない。何かの賞を受賞したり、ベストセラーになったりした作品はまず読んでみる。そういったものに外れは少ない。気に入り作家を見つけ、新刊を楽しみに待つことも多い。
多くのファンを持つ人気作家の本は、図書館に行っても借り出されていることが多い。その時は予約を入れておく。評判の本だと何ヶ月も待つことがあるが、待つのも楽しみの一つだと考える。
図書館には相互貸借という便利なシステムがあるので、所蔵されていない本でも予約できる。申し込んでおけば、図書館ネットワークを利用して県内の図書館から取り寄せてくれるのだ。
いつも私は、新聞の書評やネットの口コミでの評価が高かった本をメモしておく。若い時なら面白くない本でも終わりまで読んだが、もう今はつまらない本を読みたくはない。良い本を見つけて楽しい読書ライフを送りたいと思っている。(舞)

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