女の落書帖

 隣に座ったとたん、友人が「飴ちゃん食べる?」と勧めてくれた。ありがとうと受け取りながら、「近頃は大阪のおばちゃんしてるん?」
 大阪のおばちゃんのバッグには必ず飴が入っているらしい。大阪には飴メーカーが多く、また人懐っこいおばさんも多いからだという。出かける時には「火消した。鍵閉めた。財布持った。飴ちゃん持った」と確認するとかしないとか。
 この、飴を人にあげるという行為は、優れたコミュニケーション手段なのだという。飴を差し出されて不快になる人はいない。突然差し出されて戸惑ったとしても、相手がコミュニケーションをとりたがっている事は理解する。「いや、飴食べないんで…」と断ったとしても、両者はすでに会話モードに入っている。 近頃、ビジネスの場で雑談の効用が見直されているそうだ。事務的で効率的な会話ばかりだと、ぎすぎすして仕事も円滑に進まない。営業に雑談をとりいれることで、売り上げが伸びたとも聞いた。と言っても、会話の第一声が難しい。天気の話、スポーツの話、当たり障りのなさそうな質問。独り言という手もあるが、相手が乗ってくれないと困る。
 「飴ちゃん食べる?」は、それを簡単に乗り越えるキーワードとなる。見知らぬ人にも飴で話を始める大阪のおばちゃんたちはコミュニケーションの達人である。(舞)

 イタリア土産として貰ったのはシチリア産ドライトマトだった。カピカピに乾いたトマトは軽くて、小さな袋に何個分も入っていた。
 ずっと前にトルコへ旅行した時に、埃っぽいバザールでヒモに通された干しナスが売られているのを見た。トマトも同じように干されているのだろうか。
 おしゃれなイタリア料理は私のレパートリー外なので、クックパッドでレシピを検索した。イタリア風煮込み料理やスープに使ってみたら、普通においしいかった(今どきはこれが誉め言葉だという)。思わぬおいしさだったのは、にんにくとオリーブの香りトマトの旨みいっぱい炊き込みご飯だ。
 トマトが出汁になるということは、テレビで言っていた。ドライトマトなら保存性も良く、出汁として便利である。夏になったら自作してみたいと思う。難しそうだが、お手本もある。近年、干し野菜のブームが来ているらしく、ネット上にさまざまな体験談が公開されているのだ。
 干し野菜は甘くなったり、独特の風味が加わったりする。その上、調理時間が短くて済むし、野菜を無駄にせずエコでもある。レタスやモヤシ以外なら、どんな野菜でも干し野菜にできるそうだ。干し大根、干ししいたけ、干ぴょうなどは昔からやっていたこと。干し野菜ブームは伝統的食文化の見直しとも言える。      (舞)

 テレビをつけるとよく韓国ドラマを放送している。見続けると日本のドラマより面白い。美男美女が出てくる上に俳優も脚本も新鮮だ。
 ただ、現代劇だとちょっとした違和感がある。顔も衣服も日本と似ているのに、気持ちの表現方法が違うのだ。家族のあり方や風習の違いも大きい。正直なところ、嫁という役回りは遠慮したいなと思う。
 食事に関する場面も、いろいろ違っていて面白い。まず、出会ったら「ご飯食べましたか」と聞く。まだと答えれば、「では食べなさい」となる。他人の食事まで気遣うお国柄らしい。
 食卓の品数の多さにも驚く。朝ご飯から何皿もの料理が並び、鍋物まであって豪華。野菜料理がおいしそうだ。
 テーブルを囲むと、「たくさん食べなさい」と相手の皿に取ってやったり、スプーンを口元に運んで食べさせてやったりする。大人が「あーん」とするのも、珍しくはないようだ。同じ器から食べたり、一つのスプーンが行ったり来たりすることに抵抗はないらしい。 ご飯や汁物の器は手に持たず置いたまま。食事中の箸は食器の中に入れておく。女性の立て膝は当たり前で、誰もがテーブルに肘をつき、背中を丸めた姿勢で食べる。
 日本で行儀が悪いとされることも、所変われば品変わる。日本の常識が世界標準ではないとドラマで確認しているみたいだ。      (舞)

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