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愛知県の一宮競輪の廃止が発表されたりと、公共ギャンブルは冬の時代だが、国道23号沿いにある津競艇の外向発売所『津インクル』=津市藤方=の一日当たりの平均売上げは1945万円、3月末に過去最高の1日4300万円を記録するなど絶好調。昨年度は津競艇事業全体で黒字に回復し、今年度も好調な滑り出しだ。11月には8年ぶりにSGチャレンジカップも開かれ、更なる経営改善に向けた展望が期待される。
津競艇の売上げは平成2年度の503億円をピークに年々減少。更にスタンド改修費の償還も重く、赤字による市の一般会計繰り入れも発生しており、津市政が抱える大きな課題の一つとして、度々議論されている。そんな苦境にあえぐ津競艇が〝起死回生〟の一手として、一昨年9月にオープンしたのが『津インクル』だ。
国道23号を松阪方面に走ると、津市藤方の大型ショッピングセンターのすぐ隣に見えるのがこの施設。外観は開放感のあるガラス張りで外からも内部の様子を見ることができる。
営業時間は朝7時半頃からナイターレースが終了する20時半頃までで、営業日は年間最大360日(今年は359日)。津競艇で開催されるレースを含め、一日最大4場(昼2場・夜2場)48レースの舟券を券売機で販売。室内の大型モニターでレース中継を観戦しながら楽しめる。
国道23号から直接出入りできるという立地の良さや利用者に配慮した営業時間や営業日数もあって、朝や夜には現役で働く若い世代も多く足を運んでおり、営業日はほぼ一日中、利用客が絶えない。84台ある駐車場も、常に満車状態が続いている。
売上げは当初目標の一日1100万円に対して、平成23年度は1770万円、平成24年度に1945万円と予想を大きく上回る数字をたたき出している。また今年3月31日にはビッグレース開催日でなかったにも関わらず、過去最高となる4300万円を記録するなど好調ぶりを見せている。
津インクルの盛況に伴い本場の入場者数や売上げは減少したものの、トータルでは黒字転換。一昨年は3700万円の黒字。昨年度は2億4000万円の黒字にまで業績改善している。
もちろん、競艇事業全体で見れば、決して楽観視できる状態ではないが、平成26年度で施設改修費の償還のピークが過ぎるので、ここからが正念場といえる。
今年は本場でも11月に8年ぶりとなるSGチャレンジカップや多彩な企画レースも開催するなど話題も十分。また、通常レース開催時に、レースの合間に利用者を退屈させないよう他の競艇場の舟券を買うことができる併用発売を増やしたりと、利用者の声を最大限取り入れた取り組みも行っている。その他、もっと色々な人に競艇場へと足を運んでもらおうと、市民団体と協力してチャリティイベントや婚活イベントなども開催。競艇ファンの裾野を広げる努力を続けている。
愛知県の一宮競輪の廃止発表など、公共ギャンブルを取り巻く環境は厳しいが市財政への寄与だけでなく様々な形で約300名もの雇用を生み出している競艇事業の意味は大きい。更なる業績アップに向けた取り組みを期待したい。
2013年6月20日 AM 5:00