小野平の滝

 11月29日、自転車の旅も3日目。芸濃町から、次の目的地である安濃町へ向かうコースを走る。11時頃、この日のスタートとゴール地点に設定した安濃中央総合公園に到着。早速、車のキャリアから自転車を降ろし、前輪を取り付け軽く試運転。ペダルを回し、調子を確かめていると、М君が「タイヤの空気圧とかブレーキは大丈夫?」と声をかけてくる。大雑把な私と対照的に、М君は細かいところまで良く気が付く。携帯用空気入れで私の自転車のタイヤの空気圧を確かめ、六角レンチであちこちのボルトを締めてくれた。
 ようやく準備が整ったところで出発。公園からグリーンロードを芸濃町方面に進み、県道42号から河内ダム方面へ。前回走った辺りまでくると、途中で安西橋を渡り、県道28号亀山白山線を北神山工業団地を見上げる形で南進する。
 この道はグリーンロードと並行する形で走っているが、道幅が狭いこともあり地元の人以外が通ることは少ない。そのおかげで、気持ちよく走れる。山間ののどかな景色を楽しみながらのサイクリングと洒落込みたかったが、緩やかな上り坂がしばらく続くこともあり、運動不足の私には辛い。 息を切らしながらしばらく進むと、右手に「小野平の滝」と書かれた小さな白い看板を発見。看板に従い細い脇道を進むと、舗装されていない砂利道に至る。スリックタイヤは衝撃にデリケートなため、パンクを心配し、自転車を押しながら進む。生い茂る森に沿って走るこの道が本当に正しいのか、少し不安になるが滝を見るまではこちらも引き下がれない。ちょうど見えてきた橋の下を流れる滝川の上流に向かって耳を澄ませ、まだ滝が近くにないことを確かめると、ここで自転車を駐輪。
 更なる悪路を進む覚悟を決めて再び出発すると、間もなく綺麗に舗装された道と合流した。まるでコメディのような展開に二人で苦笑い。自転車を取りに戻ろうかとも思ったが、滝の付近は悪路である可能性も高いので、そのまま徒歩で川の上流をめざすことに。
 この辺りは旧芸濃町と旧安濃町の境目で、安濃町の墓地公園や三重県企業庁の安濃調整池の前を通り過ぎると、滝まで500mという看板を発見。荒れた林道をしばらく進んだ先で、ようやくお目当ての小野平の滝に到着した。落差6mと大きくはないがすっきり美しい姿が印象的。夏場には涼を求めて訪れる観光客がいるのも頷ける。上流から流れてきた丸太が滝壺にかかっていたが、崩落したと報道されていた岩は今では無くなっている様子。流石に滝の周囲には季節柄、私たち以外は誰もいない。しばし、美しい景色を独占しながら昼食を味わった。(本紙報道部長・麻生純矢)