津城跡の北面

 1月1日より、津市のふるさと納税制度「ふるさと津かがやき寄附」の使途に「津城跡の整備」に関する項目が盛り込まれた。この項目宛てに集まった寄附金は独自の基金として積み立てられていくが、これから津城復元を具体化させていくために、民意の盛り上がりを示す重要な指標にもなる。寄附額や所得に応じた税金の控除もあり、少ない負担でより効率的な寄付ができるのも特徴。記者も実際に手続きを行ってみた。

 元々、「ふるさと津かがやき寄附」は納める際に希望する使途という項目があり、その中に「津城跡や北畠家氏城館周辺などの歴史文化を未来に伝えるまちづくり」という項目があったが、この1月からは、更にそれを細分化する形で「津城跡の整備」と「多気北畠氏城館跡周辺のまちづくり」というより具体的な使途が加えられた。この2項目への寄附はそれぞれ独立した基金として積み立てられ、特化した形で使われる。
 この項目新設のきっかけは先月、『NHK大河ドラマ「藤堂高虎」を誘致する会』、『津市議会お城をいかしたまちづくり議員連盟』、『藤堂藩五日会』、『ときめき高虎会』が来たるべき津城復元時に向け、寄附者の意向が、より明確に反映される受け皿の創設を前葉泰幸市長に要請したこと。
 築城の名手として知られる津藩祖・藤堂高虎公が大改修を加え、自らの居城とした津城は広いところで幅100mに及ぶ堀と高石垣、更に鉄門と多門櫓が本丸を取り囲む難攻不落の要塞でありながら、太平の世には政庁として優れた機能性を誇っていた。その素晴らしさは国内城郭研究の第一人者である広島大学大学院の三浦正幸教授をして「江戸城や大坂城など、江戸幕府の権威を示す大城郭の規範となった天下の名城」と言わしめるほど。更に津城は図面、石垣、古写真と文化庁が定める城郭復元の基準を満たしている。
 前述の4グループが復元の第一歩として提案しているのは、一般的な城の天守閣に匹敵する大きさを誇る丑寅櫓と戌亥櫓とそれを結ぶ多門櫓で構成された北面部分。三浦教授の試算によると費用は6億円程度という。現時点で前葉市長は、基金の使い道はあくまで整備と慎重な姿勢を見せており、復元は今後の盛り上がり次第といったところ。つまり、この基金にどれだけ寄附が集まるかが民意の高まりを示す重要な指標になることは間違いない。
 そこで記者も早速年明け早々、実際に寄附の手続きを行ってみた。まずは検索サイトで「津市 ふるさと納税」と入力し津市の「ふるさと津かがやき寄附」のページへ。オンライン申し込みのバナーをクリックし、氏名・住所・寄附する金額など必要な項目を入力。希望使途は「津城跡の整備」をチェック。更に1万円以上の寄附で、三重テラスの商品券を含む津市の特産品を10種から1つもらえるのでその項目もチェック。入力はあっという間に完了した。後日、市役所から送付されてくる納付書に従って入金すれば手続きは全て終了。オンライン以外では、市役所4階の財政課に連絡をすれば必要書類を送ってもらえるほか直接、手続きもできる。
 ふるさと納税制度の特徴として、納付額や所得に応じた所得税と住民税の控除が受けられるため、額面よりも少ない負担で、効果的な寄附ができる。目安だが、年収500万円で夫婦と子という家庭ならば、3万2千円の寄附で3万円の控除がある。年収・寄附額・家族構成などで変動するが多くは、実質2千円程度の負担ですむ。ただし、控除を受けるには市役所が発行する寄附の受領証明書を基に、確定申告を行う必要があるので要注意。
 まずは地元の津市市民が一丸となって盛り上がり、全国の城郭ファンなども巻き込みながら、津城の復元を実現させていきたい。
 制度についての問い合わせは財政課財務担当℡059・229・3124。