運転中、ベシャッという音が聞こえたような気がして目をやると、フロントガラス上部に白い紋があった。鳥にフンを落とされたのだ。
 すぐにウォッシャー液を出して、ワイパーでこすったが落ちない。太陽に熱せられたガラス上でフンは速乾したらしい。
 白い紋をつけたまま帰宅して、汚れを落とそうと駐車場にブラシを持ち出したが、「ちょっと待てよ」と思った。鳥にフンを落とされるというのは、幸運の予兆ではなかったか。
 実は、しばしば鳥にフンを落とされるのである。家の周りに鳥が多いのか、車だけではなく、頭に落とされたこともある。
 だからと言って、私の人生が幸運続きだったかというとそうでもないような気がする。玉の輿に乗ったわけでもないし、大儲けしたこともなかったし、華々しい仕事もしていない。
 いや、幸運続きで今があるような気もする。大きな病気も事故もすり抜けて、ひとまず元気に毎日を過ごせている。そこそこの仕事運とそこそこの金運はあるようだ。何より、家族が何事もなく暮らせていることが幸運とも言える。
 とりあえず、しばらくは白い紋を残しておくつもりだったが、翌日の大雨でフロントガラスはきれいになった。そうなると、宝くじでも買っておけば良かったと、欲どしく思ったりしている。
         (舞)