2014年8月

 津市大谷町の三重県立美術館で、9月20日(土)から11月24日(月)まで、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」登録10周年記念『カミノ/クマノ─聖なる場所へ』が開かれる。
 本展のタイトルにある「カミノ/Camino」は、スペイン語で「道」を意味するとともに、霊場である熊野の聖性を示している。森林、河川、海浜などからなる紀伊山地の豊かな自然と宗教文化は、古来芸術や文学の源泉となって数多くの作品を生み出してきただけでなく現代においても多くの芸術家達にインスピレーションを与えている。
 この展覧会では、熊野を特徴づけている自然と宗教世界に関心を寄せる国内外で評価されている三重出身の若手作家達が、写真・絵画・ドローイング・映像・建築の異なった分野で「熊野古道」を表現する。
 出展者=荒川朋子・城戸保・水野勝規・渡部雄二・ミエケンジンカイ。
 観覧料=一般900円。学生700円。高校生以下無料。
 開館時間=9時半~17時(入館は16時半まで)。
 休館日=月曜日(10月13日、11月3日、24日は開館)、10月14日(火)、11月4日(火)。
 
                     プレゼント
 本紙読者様に抽選で5組10名に同企画展招待チケットをプレゼント。希望される方は、〒514─0028、津市東丸之内26─12、三重ふるさと新聞「美術館」係まで。締め切りは9月4日必着。

 先日の台風11号による大雨で津市内でも多数の市民を対象とした避難勧告・指示が出され、約1600人もの人が避難した。しかし、「津市避難所運営マニュアル」では、自主防災組織や行政担当者などでつくる『避難所運営委員会』を「平常時から組織し、災害時に避難所運営が円滑に行える体制を築いておくことが重要」としているにも関わらず、行政側が委員会の実数を把握しきれていないことなど様々な課題が浮上した。

橋南中に避難しTVで台風11号の情報を確認する育生地区の住民ら

橋南中に避難しTVで台風11号の情報を確認する育生地区の住民ら

 津市危機管理部・市民部が平成25年1月に策定した「津市避難所運営マニュアル」では、避難所運営にあたっては、地域の自主防災組織・施設管理者・行政担当者などで平常時から『避難所運営委員会』を組織し避難所ごとにマニュアルを作成するとともに、共通認識を図っておくことが重要としている。
 これを実践している育生地区では、各自治会長などでつくる同委員会が、避難所ごとに役割分担を定めたマニュアルを作成。市に提出して情報共有を図っている。その甲斐もあり、今月9日・10日に強い台風11号の影響で同地区に避難勧告が発令され、3カ所の避難所が開設された際は、マニュアルに従い整然と運営することができた。
 しかし、市危機管理部によると、委員会設立時の市への届出は任意であり、届出がなければ、市がその存在を把握できない。現状では委員会の正確な数は把握できていないという。
 今回のように避難所を利用する人が比較的少ない場合は、運営上、予想外のことが起きても大きな問題にはなりにくい。だが、一カ所の避難所で数百人が過ごす場合、避難者の人数が少し増えるだけで大きな混乱に繋がる可能性がある。
 避難所の機能を最大限発揮し、円滑な運営をするためには、日頃から地域と行政が互いに情報交換をすることが不可欠となる。自助・共助・公助という災害に対する考え方に照らし合わせても、マニュアルの有効性は疑うべくもない。課題は運用の徹底の仕方だ。
 市が実数を把握していないとはいえ、現段階で、委員会のある地域は防災意識が高く、ほとんどが設立申請をしているとみられるため、大きな問題には至っていない。だが、これから、更に委員会を設立する地域が増えることを想定し、届け出をある程度、義務化した方が、市にとっても市民にとっても、より有効なものになるはずだ。
 今回の台風11号接近に伴う大雨では、この他にも様々な課題が浮上した。その最たるもののひとつが、防災行政無線の屋外スピーカーによる緊急放送だ。市は改善を試みるが、今回も雨音に消される・聞き取りづらいという声が複数の地区から上がっている。
 このスピーカーは平成20年度から22年度に16億円をかけて486カ所に整備されたが、当初から聞こえない・聞き取りにくいという意見が多く、25年度に行ったアンケートで、6割強の人が音声が一部聞き取れなかった・聞こえなかったと回答した。
 市ではこれを受けて、より伝わりやすい話し方を研究するなど放送の改善に努めており、危機管理部危機管理課が、試験放送に関するアンケートも実施中。結果を元に対応を検討するとしている。 
 市は「無線はあくまで、情報収集手段のひとつ」と位置づけており、実際に今回の大雨では、携帯電話のエリアメールが大きな情報源となったのは印象深い。 市では今後、アンケートの結果を考慮したうえで無線の有効活用を探るが、携帯電話が使えない高齢者など、災害時に情報弱者となり得る世帯を対象に戸別受信機を貸与するなど、柔軟な施策も必要となろう。
 防災対策に終わりはないが、今回の大雨で得た様々な教訓を生かした市の更なる努力に期待したい。 

 

炎の前で祈祷する岩鶴住職(護摩堂にて)

炎の前で祈祷する岩鶴住職(護摩堂にて)

 9日夜、津観音で夏の仏教行事、「十日観音」が行われた。
 十日観音とは本尊聖観世音菩薩が浄土から降臨される日とされ、この日に参拝すると四万六千日お参りしたのと同じ功徳が得られると言い伝えられている。
 毎年、境内に設けた薪を積み上げて作った護摩壇に火を放ち、護摩木(願い事を書いた御札)を投じ、願を煙に変えて観音様の浄土に送り届けた後、残された火の上を裸足で渡る「柴燈護摩祈祷」と「火渡り」が行われるが、今年は台風11号の影響による強風雨で中止。その代りに本来なら夜10時から境内の護摩堂で行われている「息災護摩」が夜7時に繰り上げて行われた。
 護摩堂の中では、炉の中で燃え上がる炎に岩鶴密雄住職が護摩木を投げ入れて息災延命、家内安全、商売繁盛を祈祷していた。
 また、風雨が少し収まった深夜0時前からは、参詣者も訪れ、所願成就を願って列をつくっていた。

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