検索キーワード
津市阿漕町津興の津市橋南市民センターで1日~3日、毎年恒例の文化祭が催された。主催は津市橋南市民センター運営委員会(長谷川之快会長)。
同センター利用者や育生・修成地区の住民が文化活動を通じ交流することなどが目的。作品展示や囲碁大会、演芸大会が行われた。
作品展示では、幅広い世代の180名が、書道や押し花など計350点の作品を出品。来場者は、丁寧に制作された力作を見て感嘆の声をあげていた。
津市藤方の小牧一三さん(76)は、木や石などを使い、出身地である津市美杉町の棚田の風景を表現した作品を出品。また育生幼稚園の園児が、小牧さんらの指導で制作した木工作品も展示された。小牧さんは、「作品を見た人から、発想が面白いと言ってもらいました。こういう田んぼを残してほしい」と話した。
このほか、1日の囲碁大会には27名が参加。3日の演芸大会では、同センター利用者がカラオケや詩吟などを披露した。
2014年11月6日 AM 4:55
思いがけない失敗をしてひどく落ち込むことになった。
私は里芋を煮ていた。シンクに散乱する皮を片づけつつ、火にかけた鍋を横目で見て味付けをと思った。鍋に一匙の砂糖を投入したとたんに、先に砂糖を入れたことに気がついた。砂糖が倍量。
入れたことを忘れて再度入れてしまうなんて。毎日の料理に慣れすぎて、考えずに動いたのだろうか。寝ていたわけでもあるまいし、二度も入れるなんて。思考は堂々巡りをするばかり。自分の行動が信じられない。
そういう時は、笑い飛ばすに限る。こんな失敗をしたと友人に吹聴し、一緒に笑うのだ。そして「あるある、私にも」と言ってもらえば、少しばかり慰めとなるだろう。
コピーライターの糸井重里のサイトに「言いまつがい」というコーナーがある。言い間違いや、やり損いの投稿ページである。
そこに出てくる他人の失敗は面白い。罪のない小さな失敗を読むと、砂糖倍量など何でもないと思える。甘過ぎる里芋もそれなりにおいしいし。
三つのコンロに三つの鍋をかけながら、料理の出来上がりを同じにする。同時に魚も焼きあがり、シンクもきれいに片づいている。
何の苦もなくできていたことが、近頃少しもたつく。それにしても砂糖倍量なんて。当分立ち直れそうにない。 (舞)
2014年11月6日 AM 4:55
以前、この「随想倶楽部」に掲載していただいた後、読者の方から「読んでいて、こちらもほろりと来ました」、「医療や介護に対して、疑問もある。視点を変えて一般の立場から書いて欲しい」などの声をいただいた。そこで、5年先、10年先を見据え、福祉タクシーはどうあるべきかを考えてみる。
具体的には医療、福祉、民間の各分野が行政と一体となって住みよい「住都」をつくり、そこに張りめぐらされる福祉タクシーの需要と供給にバランスがとれること。病院などに専用待機スペースが確保されて、いま以上にお客様の利便性を向上させることが必要だ。広報等でも、このような車輛があることを広く周知してもらうことや、行政の支援、補助を得られるような条例の制定などがのぞましい。
また、三重県には各地域に魅力的な農漁業、商工業がある。観光地と一体になりながら、福祉タクシーが送迎などを主軸とした交通媒体からさらに一歩進んで、地域の交流と活性化に一役買えることが理想だ。
三重県が日本一のバリアフリー観光県推進宣言を表明するのなら、未来志向で社会基盤の一層の充実を望みたい。
話しは変わるが、かつてドイツ国内の福祉施設を見学した際に目についたことがある。それは、ボランティアなども参加して、入所する人と世話する人が施設内で気楽に作業、会話している光景だ。規則に縛られず、自然体の介護の情景が印象に残った。
障害を持つ人やお年寄り、病気の人達でも外出を楽しみ、健康を取り戻そうと思う人が多い。しかし、移動の手段や行き先での介助などを考えると、躊躇し断念するケースも多いのが実情だ。それを解消するためにも福祉タクシーも自然体で気軽に利用していただくことが理想だ。
実際、福祉タクシーは、通院や施設への送迎、患者の搬送などだけでなく、いろんな外出支援に接する機会が多い。車中でお客様が笑顔を浮かべて車窓を楽しむこともあれば、これまでの辛いことを思い出して涙ぐむ人もいる。車に乗ると同時に、疲れや色んな思いが込み上げてくるのだろう。そんな時、「泣きたい時は、車の中で思いきり泣いて下さい。遠慮することはいりませんよ」とお伝えする。その時、その時の状況を的確に判断するのも重要なサービスのひとつだ。
話は時に、怖かった戦中での空襲の体験や親への思い、これからの介護生活への備え、医療体制への疑問など多岐に及ぶ。その都度、運転中から下車されるまで、あるいはベッドへお送りするまで話を聞き、貴重な〝語り部〟と接することができる。
かつて私の母親(故人)は語り部として、小学校の課外授業で児童に空襲などの体験を話していた。私自身に戦争の体験はないが、資料などを読んだり、体験者から得た貴重な話を聞き、お客様と情報交換し合うことも、福祉タクシーの大きな魅力だ。
ところで、車のスタートは朝早い日もあれば至急の依頼もある。ある日、当日の垢を落とし、翌日のお客様を待つ車体も眠りに入ろうとする頃、所轄の警察署から「飲食店からの連絡で、体に不調の人がいる。どのようにして帰宅すればよいかとの電話相談があった。深夜だが、車椅子対応で来てもらえないか」と連絡が入った。
準備もそこそこにアクセルを踏み、深い靄(もや)の中を現地に向かう。距離のある無しに関わらず、医療や介護とはまた別の面で、心身の葛藤が必要な時もあるものだ。
このお客様が乗車して目的地に着いたのは、午前零時を過ぎていた。私は、いつもと同じように淡々と乗降作業を行ったが、この時ふと私が駆け出しの新聞記者の頃にある新聞社の社長(故人)に、「商売は人が寝る時間にシャッターを下ろして同じように休んでいてはだめや。その時にシャッターを上げてこそ、お客様が喜んでくれるのやで」と言われたことを思い出した。
これはサービスの質の向上を図れという意味だ。24時間営業のコンビニが全盛を誇る何十年も前に、商売の基本を教えてくれたのだ。それに応えるように、お客様は下車してからも、帰るタクシーのライトが遠ざかるまで見送ってくれた。これからも、状況に照らして、様々なニーズに対応できる福祉タクシーを目指し、自分自身に課題を投げかけていこうと思う。
(はあと福祉タクシー代表)
2014年11月6日 AM 4:55