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津市河芸町影重にある児童養護施設『里山学院』院長で、三重県児童養護施設協会会長も務める鍵山雅夫さん(57・名古屋市出身)は長年の現場経験を生かし地域の児童福祉向上に尽力している。
鍵山さんは大学で福祉を学び、卒業後、同学院に就職。本園で17年間勤務した後、65人が暮らしていた本園が手狭などの理由で近くの借家に移り、10年間、6人程の小規模グループの子供と共に寝泊りした。
鍵山さんは借家に移った当初、少人数で暮らす落ち着いた環境になり子供達は喜ぶと思ったが、違っていた。虐待を受け保護された子供達が、同学院での生活や社会への強い不満、鍵山さんへの不信感を露にしたのだ。当時を振り返り、「虐待の重さに、そのとき初めて自分の中で気付きました。自己満足的なところがあったなと。もっと子供の声を聞かなきゃならないし、65人の生活を小規模にして職員と子供の接点を増やすのが必要かなと思いました。
我々が子供達に対し責任を持てるのは18歳までであり、やはり早く親元に帰すべき。なので一定の距離が必要ですが、なおかつ親御さん以上のことをしないと子供には伝わらない。小規模グループにすると、子供に目が届きやすい反面、このバランスが一層難しくなります」と語る。
平成19年に院長に就任。その後、同学院の施設を整備し、子供達の生活環境を大幅に向上させた。施設運営の苦労は少なくないが、児童を思う熱意が活動を支えている。現在、県内に小規模グループ向けの児童養護施設を新設することなどを検討中。やりがいを「嬉しいのは担当した子が社会に出たり家庭を築いて会いに来たり、結婚式に呼んでくれたときです」と話す。
2014年11月27日 AM 4:55