平成27年中に三重県内で発生した自転車が起こした人身事故で過失の割合が高い第一当事者のうち、15歳以下が28・4%と最多。16歳~19歳と合わせると未成年者が48・7%を占めている。通学などで自転車に乗る機会の多いこの層だが、近年では小学生が乗る自転車と歩行者の衝突事故で高額の損害賠償が求められる事例も発生。学校や家庭での交通安全教育を通じて〝自転車は車両〟で加害者にも成り得るということも改めて理解してもらい、新たな事故の発生を防ぐことが重要だ。

 

昨年、県内全体の自動車を中心に全ての人身事故は7169件発生した。そのうち自転車が起こした人身事故は197件。これら事故の発生における過失の割合が高い第一当事者のうち28・4%に当たる56人が15歳以下。次いで、70歳以上で20・8%で41人。16~19歳が20・3%で40人となっている。つまり、通学や普段の足で自転車に乗る機会の多い中高生を中心とした未成年者だけで全体の半数近くを占めているという実情が分かる。
交通弱者であるこの層がいかに交通事故の被害にあわないようにするかというのは交通安全教育における最も大きな課題である。しかし、ここ近年で自転車を取り巻く環境が変わりつつあり、更に大きな観点で捉える必要が出てきている。
環境の変化をもたらした大きなきっかけは、平成20年に神戸市で発生した当時小学5年生の少年が運転する自転車と女性が衝突した事故。女性は意識不明のまま、寝たきりの生活を長年にわたって余儀なくされていることもあり、神戸地裁が少年側に9500万円の損害賠償を求める判決が出されている。これ以降も自転車の加害事故で、高額賠償を課す判例が相次いでいる。言い換えれば、はっきりと自転車は、〝車両〟であり、運転している者の年齢を問わず、加害事故を起こした場合には、社会的責任が問われる司法判断が出ているということだ。
そういった流れの中、昨年、道路交通法が改正され安全運転規定14項目に違反し、3年以内に警察に2回以上検挙された14歳以上の自転車搭乗者に安全講習を義務付けられるようになった。東京や大阪では実際に講習を受ける者も出てきている。
未成年者の自転事故を防ぐには、社会・学校・家庭などが一丸となった交通安全教育が重要だ。前述の県内の人身事故の第1当事者197人の内、事故の原因は安全不確認が83件(42・1%)と最多。これらは、正しく交通ルールを学び気を付けていれば、事故を起こさなくても済んだ可能性があるともいえるはずだ。
三重県警でも改正以降、危険運転をする自転車の取締りにも力を入れており、昨年よりも約600件多い3275件の指導警告を実施。学生に対しても登下校の時間に合わせて、県内各地の街頭で交通指導を行うなど事故の減少に繋げようと努力を続けている。
一方の教育では、津市教育委員会も春の交通安全週間に合わせ、小中学校や幼保育園で交通安全教室を実施。加えて模範となる安全運転パイロット校の認定もしながら、交通安全教育に取り組んでいる。
では、残る家庭はというと『自転車の安全利用促進委員会』=東京都=が自転車通学をする子供を持つ保護者に「子供の自転車利用について気になる点」を調査したところ、「遅い時間の帰宅」や「通学路の危険性」など通学環境への関連項目が最も多く、「左側通行」「危険運転」などルールやマナーに関する項目に対する関心が余り高くないことが分かっている。
そもそも親自身が普段自転車を運転する機会が少なく、街中で大人が運転する自転車を見ていても、右側通行・無灯火・傘差し運転…と危険行為を平然と行う者が後を絶たない。本来、子供たちの規範となるべきはずの大人たちが交通ルールを実践できていない実情が浮き彫りになっている。
4月から新たに自転車通学をする子供たちが交通事故の被害者や加害者になっては悲劇である。まずは大人たちが自転車の交通ルールを把握し、自ら実践をしながら伝えていくことが事故を減らす第一歩になることは間違いない。