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今年12月に改選を控えた『民生委員・児童委員』は、高齢者の孤独死や児童虐待などの身近に起こり得る問題に対して最も身近な〝守り手〟として地域住民の暮らしを支える一方、熊本地震の被災地でも最前線で活躍するなど非常時にも重要な役割を果たす。しかし、津市では〝なり手不足〟が課題で、改選に向けた人材の確保に苦慮している。
民生委員は非常勤で特別職の地方公務員扱い。各市町村ごとに定数が定められており、その区分けに沿って設置されている。児童福祉法により児童委員も兼任しており、任期は3年。担当地域の一住民として暮らしながら、高齢者から子供まで全ての住民の生活を見守るという重要な役割を担っている。必要があれば、介護から子育てまで様々な相談を受けたり、然るべき公的機関との橋渡し役にもなってくれる。
少子高齢化と人間関係の希薄化に伴う高齢者の孤独死や児童虐待などの防止にも貢献。更に近年では国が進める在宅介護の推進にもその力は欠かせなくなっている。また、災害発生時などの非常時には、地域のことを知り抜いているその性質から、いちはやく地域住民の安否確認を行うなど非常に大切な役割を果たす。先日発生した熊本地震の被災地でも、行政とボランティアの橋渡しを務めたり、炊き出しを行うなど最前線で活躍。その重要性が再認識されている。津市でも災害発生時に利用するために作成した「津市避難行動要支援者名簿」の提供を受けるなど、その活躍が期待されている。
そのように活躍の場を広げる一方で、なり手不足が顕在化している。津市でも600名の定員に対し、現在13名が欠員。隣接する地域の委員がカバーをしている。また、新任者の中には1任期限りでやめてしまう人も多く、津市では約40%以上が1任期で職務を離れてしまうという状態が続く。このような状況の中、今年12月には一斉改選があるため、両委員の適任者を推薦する立場にある各自治会は人選に苦慮している。
この根底には、プライバシー意識の高まりに伴う住民同士の人間関係の希薄化や地域コミュニティの弱体化、それに伴う活動のしづらさがある。両委員の仕事を全うするには、各家庭の構成や家族を取り巻く事情などを知っておく必要があるため、ある程度のところまでは、プライバシーに踏み込むことが必要とされる。しかし、個人情報保護法の成立も影響し、そこを強く押し出された上で拒絶されてしまうと非常に動きづらくなってしまう。目の前でなんらかの問題が起こっているのではないかと感じていても、手を差し伸べにくい状況が起こり得る。
その一方、強いやりがいを感じて長年、何任期も職務に当たっている人も少なくない。活動の障害となる問題も最終的には人間関係に起因するので、活動を続けていくうちに解決することも多い。最初は冷たくあしらわれていた家でも、任期を重ねる中で人間関係が出来上がり、歓迎してもらえるようになるケースもある。
今年で10年目になる津市民生委員児童委員連合会会長の速水正美さん(68)は「民生委員・児童委員の仕事は、世間で言われているほど辛いことばかりではない。なによりお年寄りとのふれあいや、子育て中の母親をサポートする際に子供の純真さに触れられるのも魅力。本当の自分の仕事ができるようになるのは2任期目以降なので、3任期までは努めてほしい」と呼びかける。また、速水さんの所属する自治会では両委員の仕事をサポートする福祉委員を独自に設置。自治会長と合わせて3つの目で地域を見守ることで、より多くの情報を把握しながら地域住民への支援を行っている。同じく速水さんが会長を務める修成地区民生委員児童委員協議会では、子育てサロンを運営しており、地域の若い母親たちや子供たちのふれあいの場として親しまれている。担当地域の事情を見ながら自分のペースで計画を立てて職務に当たり、更に同地区内の他の委員とも力を合わせるなど、様々な方法で地域を良くするための取組みを行うことも活動の醍醐味という。
とはいえ、県内の他自治体と比べると、津市からの津市民生委員児童委員連合会に対する支援は、決して十分とはいえない実情もあり、行政の支援体制強化も急務。より活動がし易いよう環境整備を行うことも非常に重要といえる。
大きな責任が伴う一方で他とは代えがたい魅力もある両委員の職務。そういった部分をより多くの人に伝えていくことが、なり手不足解消のカギになることは間違いない。
2016年5月12日 AM 5:00
南朝の忠臣・結城宗広卿を祭神とする津市藤方の結城神社で、1・3・4日に春祭が執り行われた。
1日の例大祭には、全国各地から集まった結城宗広卿の子孫による結城同族会代表や、神社関係者と、地元選出の県議会議員、市議会議員など約120名が列席。伊勢神宮楽師が奏でる雅楽が流れ、宮司が開扉して神饌を捧げ、祝詞を奏上した。続いて、本庁からの献幣使も祭詞を奏じた。
その後、神宮舞楽の男舞「蘭陵王」と女舞の「胡蝶の舞」を奉奏。最後に列席者が玉串を奉奠し、忠義に生きた宗広卿を偲んだ。
3日は三重県少年剣道大会、4日には三重県少年相撲大会も行われた。
2016年5月12日 AM 4:56