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7月2日㈯、津市高野尾町に県下最大級の農産物直売所などを備えた施設『朝津味』がオープンする。同地区の住民が中心となって設立した『㈱フューチャー・ファーム・コミュニティ三重』=赤塚充良社長=が展開する一連の地域活性化事業『高野尾花街道』の中核施設で、隣接する赤塚植物園の『レッドヒル ヒーサーの森』(9月下旬オープン予定)との相乗効果で大きな集客をねらいながら農業を軸とした新たな地域振興の形を示すことも期待されている。
ここに至るまでの経緯を説明すると、高野尾地区は昭和40年代には日本に名をとどろかせるサツキの一大生産地だったが、需要低迷に伴い衰退。地域住民からの声をきっかけに、ふるさとへの強い思いから立ち上がったのが㈱赤塚植物園の赤塚充良会長。後継者不足など農業の抱える問題を解決しようと、地域住民らが中心となり『㈱フューチャー・ファーム・コミュニティ三重』を設立。赤塚会長が社長に就任している。
同社は三重大との共同研究を進めながら農業の持つ様々な可能性を学術・事業の両面から共同研究を進めている。その一連の高野尾地区活性化プロジェクト名を「高野尾花街道」とし、3つの事業を柱としながら進めていく。
その1つ目の柱となるのが、今週末の7月2日にオープンを迎える施設「朝津味」。施設の中心となる県下最大級の大きさを誇るファーマーズマーケットには、6月20日現在で412件の出荷登録がある。そのほか、加工施設では三重県産大豆を使った豆腐や高野尾産の無農薬よもぎを使った草餅や地元女性部による惣菜を販売。更にフードコートでは相可高校の村林新吾教諭の監修によるファーマーズマーケットの野菜をふんだんに使ったカレー・ピザ・うどんなどや地元の牛乳と野菜や果物を使用したイタリアンジェラートを販売する。また、注目を集めるエディブルフラワー(食用花)を使った三重短大学生のアイデアを基に津市の老舗菓子店「とね菓子館」の協力で商品開発。花々を散りばめたオリジナルスイーツの第一弾として『ジュレ・ド・フルール』を販売する。これらの事業によって農作物の生産から販売(加工)までを一元化し、地域ブランド化をめざしていく。
残る2つの柱の内の一つは、朝津味に隣接する『レッドヒル ヒーサーの森』(9月下旬オープン予定)。赤塚植物園の栽培見本農場で現在、整備を進めており、観光面での集客増をねらう。最後の柱は「花・夢街道構想」。施設周辺の休耕地などに地域の高齢者たちが花を植えて、2施設の魅力を高めるだけでなく人々の交流促進や花を使ったビジネスなど観光農業化も視野に入れている。
これら民間主導の農業振興策によって、高野尾を中心に津市やその周辺地域の農家の所得増に繋げながら後継者問題などの解消をめざすことの意義は大きい。そういった意味では、朝津味のオープンも非常に大きな一歩といえる。
今後の展開でも注目なのが同社と北海道で人気観光スポットを運営する「㈲フラワーランドかみふらの」と地域農業の発展のための協定を結ぶ。北海道開拓でつながりがある津市と上富良野町の友好都市提携は平成9年に行われているが、それに先立つ平成5年に赤塚植物園が同社へジャーマンアイリスの球根提供と栽培技術協力を行ったという経緯から実現。記念事業として朝津味でメロンなどの販売を行うほか、将来的には特産品化をめざしている高野尾のサトイモ・さつまいもなどの農産物の販売を上富良野町でも行うといった発展も期待される。
その他、エディブルフラワーの商品開発だけでなく自社による水耕栽培や、農産物の更なる販路拡大のため、介護食の開発なども積極的に実施。豊かな自然を生かした環境学習の場としても活用するなど、農業と共に歩んできた高野尾地区にふさわしい形で多面的な役割を果たす施設へと成長させていく。
直近のイベント日程は以下▼7月2日…9時半~50分、オープンセレモニーとして地元の子供たちによるオープニング、花火、美里龍神太鼓の演奏など。井村屋と四日市酪農のアイス販売。県立図書館による本の紹介や塗り絵▼9日13時半~14時、久居農林高校吹奏楽部演奏会▼10日13時~、キッズダンス・コーラス等▼13日~18日、ふらのフラワーランドWEEKとして富良野のメロン等を販売▼7月下旬、伊勢湾漁協による鮮魚販売▼7月中、「朝津味ギャラリーとっておきのEight∞」と題し、伊勢別街道沿いの風景や人々の写真を展示(8月以降の出展者も募集中)。
駐車場は300台以上を備えているが混雑時に満車となった場合などは、芸濃インター側は芸濃総合支所に、中勢バイパス側からはサイエンスシティ内に特設駐車場を開設。バスによるピストン輸送を行う。
問い合わせ☎059・230・8701へ。
2016年6月30日 AM 5:00