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この4月より近鉄久居駅の東出口側に「三重交通㈱」が設置している久居駅東出口のバス停に『ハチ公口』という副題がついた。忠犬ハチ公の飼い主で我が国の近代農業土木の父と名高い久居元町出身の上野英三郎博士(1872年~1925年)とハチ公の銅像が東出口前に建っていることに因み、出口を改名できないかという動きがある中で追い風といえる。今後の改名に向けた盛り上がりにも期待が集まる。
この銅像は平成24年に地元有志らによる「上野英三郎博士とハチの銅像を建てる会」が、久居出身の上野博士の偉業を全国に広く発信し、地域の観光振興につなげるため全国初の博士とハチ公の一対の銅像として近鉄久居駅前の緑の風公園に建立。世界的に有名な東京の渋谷駅前のハチ公像のように地域の新たなシンボルとして受け継がれていくことが期待されている。
そして昨年、三重大学大学院生物資源研究科教授で上野博士の業績にも詳しい成岡市教授による、博士とハチ公像が建つ東出口側を多くの人々でにぎわう渋谷駅にちなんで「ハチ公口」に改名できないかという提案が報道された。それに賛同した銅像を建てる会の元代表である多田滋郎さんは改名を実現させるべく、現三重交通グループホールディングス㈱会長で以前に近鉄の副社長も務めた津商工会議所の岡本直之会頭に理解と協力を呼びかけるなど尽力を続けてきた。
そして、そのような一連の流れがあった中、三重交通㈱が地域の盛り上がりの一助にしたいと、今年4月より久居駅東出口前のバス停に「ハチ公口」と副題をつけるに至った。
今回の三重交通の取組みを成岡教授は「駅の出口の改名に向けた流れに上手く乗ってほしい。多くの関係者たちの気持ちをキャッチした動きは素晴らしい」と喜ぶと同時に、渋谷やハチ公の生誕地である秋田県大館市を結ぶ共通のシンボルとして像の価値への理解がより多くの市民へと広がっていくことを期待する。
多田さんは「非常に嬉しい。もう少し時間はかかると思うが、駅出口の改名も実現させたい」と喜ぶ。
また、像が建つ緑の風公園で定期的にマルシェを開いている久居地域在住・在勤の若者たちによるグループ・久居げんき会代表の石川禎紀さんは「これをきっかけに更に盛り上がっていけば嬉しい」と歓迎する。
今回の三重交通の取組みを受け、近鉄も「行政などから正式な要望があれば検討をしたい」と改名の可能性も示している。そういう意味では、今回のバス停に副題がついたことは、非常に大きな一歩と言えるかもしれない。
今後、駅出口の改名が実現し、渋谷駅に次ぐ「ハチ公口」が誕生するかどうかは行政をも巻き込んだ市民サイドの更なる盛り上がり次第といえよう。
2016年7月28日 AM 5:00