仏式の葬儀を実演

仏式の葬儀を実演

8月21日、津市栄町の四天王寺で伊勢国際宗教フォーラム津大会夏期講座「葬儀とは何か」が開かれた。 仏教・神道などの宗教の壁を超えた新しい価値観の創造を目指して活動をする同フォーラム。今回は聴講者70名ほどが集まった。
曹洞宗岐阜県青年会による仏式作法による葬儀の実演と解説が行われた。同会では、葬儀の在り方が大きく変容しようとしている現代社会において、改めて曹洞宗の葬儀と供養の意味を知ってもらいたいと書籍「おくる」を発行している。このために組まれた祭壇や棺を前に、故人を仏弟子にする最初の儀式である剃髪から、これまでの行いを見つめなおす懺悔、釈迦の教えを水を介して伝える酒水、仏弟子となった証を受ける血脈、故人の安らかな旅立ちを祈る読経と焼香まで、各儀式や経が持つ意味を丁寧にひも解いた。そして、葬儀は故人が釈迦に弟子入りして迷いの無い世界に送ること、生きている者の思いを贈ること、心に故人を憶ることという3つの「おくる」で成り立っていることを説明した。
続いて、皇學館大学教授の松本丘さんが「神道式の葬儀とその実際」をテーマに語った。松本さんは江戸時代後期の国学者・平田篤胤の幽冥論によって、死者の霊は身近にあるという日本古来の祖霊観と神道思想の融合が図られたことで、現代の神道における死生観が確立したことを解説。神道式の葬儀「神葬祭」は、神仏習合が廃された明治時代にほぼ形式が定まったが地域差なども大きく、統一的な儀礼が肯定されていないことなどや主な儀礼の意味について説明をした。その後、文筆家の千種清美さんと同大教授の櫻井治男さんが様々な事例を紹介しながら総括を行った。