あと一品ほしい。テーブルに夕飯の皿小鉢を並べて思った。パッと見た感じが寂しい。何か簡単なものを追加したい。
そういうとき便利なのが、パック入りのお惣菜。年末にもらったごま豆腐詰め合わせを思い出した。プリン型みたいなのに入っていて、ぱかっと皿に出して、添付の味味噌を掛けたら一品の出来上がり。
東京の名店のごま豆腐は、つやつやと美しく、粗末な小皿に乗せても料亭の一皿のように見える。食べてみれば、もっちりなめらかで香り高い。
でも、いかにせん小っちゃい。二口でなくなってしまった。あと一品の皿だからこんなものだろうが、少し物足りない。上品な方はともかく、ごま豆腐好きの私には大いに物足りない。このような高級品でなくとも、せめて五口ぐらいは食べたいものだ。
ごま豆腐はもともと精進料理。テレビでお坊さんがごま豆腐を作るのを見たことがある。大きなすり鉢でごまを摺り、それに昆布だしと吉野葛を合わせ、鍋で何十分も練り上げる。とても大変そうで、私にはできない。お坊さんにはそれもまた修行だそうだ。
手っ取り早くなら、やはりパックを開けるのが一番のようだ。似たようなものなら、練りごまと片栗粉で作れるという情報もあって、少し心惹かれる。練りごまを買って試してみようか。 (舞)