2017年6月

私たちが暮らしているここ日本では、とても目まぐるしい変化が見られます。地震などの大きな自然災害や、少子高齢化といった問題。このように大きく変わり続ける日本で、私たちはどのようにして生きていけばよいのでしょうか。ここで私は、家族のつながり、地域のつながりについて考えてみました。
私の家族は4人、母と兄と私、そして厳しい父で成り立っています。幼稚園のころからやんちゃ者だった私と兄は、家の中を走り回ってはいつも物を壊してばかりいました。父を怒らせようものなら家の中は大惨事です。気が短くてすぐ暴力をふるい、自分の子どものことを何一つ可愛がろうとはしない、まるで悪魔のような存在。幼いころの私は父にそんなイメージを持っていました。そんな父に反抗することもできず、従うことで精いっぱいの毎日でした。しかしそんな毎日を送っていた私に、父と対立する時がやってきました。それは高校の部活選択の時でした。父と私の、お互いの意見の食い違いから口論に至ってしまったのです。父はこう言いました。「それではあとで後悔することになるぞ」と、私の意見は見事に反対されてしまったのです。それでも私は、自分の意見を押し通しました。言い争いの中で、父は怒鳴ったり、手を出すといった行動を一切しませんでした。だからこそ私は、父に怯えることなく、言い返すことができたのだと思います。「後悔してもいい、後悔してもいいから自分の意思を貫き通したい」そんな私の言葉を聞いた時の、父の驚いた顔は今でも忘れられません。その後、私は父を避け続け、言葉を交わすこともないまま二週間の時が流れていました。しかし、この葛藤の中で私は、父の行動の本当の意味を知ることになったのです。
数年前まではちょっとしたことでも怒っていた、そんな父の性格がそう簡単に変わるはずがありません。だからあの二週間の間、父はイライラし続けていたのでしょう。でもあえて何も言わずに、ただじっと私を見守っていた。私が私自身で考えて行動している姿を、感情を押し殺してまで見守ってくれていたのではないでしょうか。我が子を成長させるための行動だったのでしょう。自ら悪魔役を演じていたのは、根はやさしい一人の父親だったのです。
そして今こうして、あの日の出来事を思い出したことによって、父の厳しさの裏にあったやさしさに気が付くことができました。では、父がいなかったら、いったい誰が私にこのようなやさしさを与えてくれたのでしょうか。
これは最近になって聞いた話ですが、両親が幼かった頃は、自分の親だけではなく、近所の人にもよく叱られていたそうです。父も幼いころはやんちゃ者で、学校では先生に叱られ、近所ではおじさんに怒られ、家では親にたたかれる。そんな日々の繰り返しだったそうです。しかし、こういう経験を通して父も成長してきたのだと聞きました。だからその厳しさを、自分の子どもにも与えることができたのでしょう。先生も近所のおじさんも、わが子のように接してくれていた、昔はそんな光景がもっと多く見られていたはずです。
ところが今となってはどうでしょう。私の近所では厳しく叱ってくれる人どころか、すれ違っても挨拶すらしない、昔と違って、近所付き合いが少なくなってきました。自分の子どもには甘く、他人の子どもには無関心。さらに我が子の区別なく厳しくしてくれる、そんな大人が減りつつあります。これが今の日本です。私はこの現状を変えたいと思います。他人から与えられる厳しさは決して無駄なものではありません。厳しさの中に、本当のやさしさがあるからです。厳しいだけでなく、すれ違う時に優しく言葉をかける、そんな些細なことからでもいいのです。そこから他人を思いやることができ、人と人とのつながりが生まれます。
このように一人一人が地域とのつながりを大切にしていく、そうして生きていくことが今の日本に求められるのだと私は思います。そして私は自分自身を含め、皆さんに訴えます。近所に住んでいる子どもたちにもっと、関心を持って接してくださいと。

全国高文祭・弁論大会県予選    津商生徒が上位入賞

5月21日に、県総合文化センターで開かれた「第41回全国高等学校総合文化祭(全国高文祭)」の弁論部門・第63回文部科学大臣旗全国高等学校弁論大会三重県予選で、津商業高校3年生の田中侑希さんと小辻愛佳さんがそれぞれ最優勝賞と優秀賞を受賞した。
高文祭は、運動部の全国高校総合体育大会(インターハイ)と並ぶ文化部の全国大会に位置づけられるもので、演劇や合唱をはじめ、弁論部門など22部門がある。
弁論部門は8月2日と3日にわたり宮城県東松島市で開かれ、田中さんが県代表の一人として出場する。
同校は、弁論部門への指導を「課題研究」の授業で行っており高文祭弁論部門へは3年連続の出場となった。
ここに、本人から掲載の承諾を得た小辻さんの弁論を紹介する。

野澤絹枝さんと、洋服や小物など力作が並ぶ作品展

野澤絹枝さんと、洋服や小物など力作が並ぶ作品展

津市美里町北長野の美里ふるさと資料館で、今月1日から7月30日9時~17時(最終日は午前中まで)、同町在住の野澤絹枝さん(79)が指導する「編み物サークル 絹の会」による作品展が開かれている。
月曜休館(月曜が祝日の場合は翌日休館)。
野澤さんは大阪出身で、阪神百貨店にイージーオーダーの婦人服担当として務めた経験を持つ。編み物を本格的に習い始めたのは、30歳で美里町に嫁いでから。亡き夫が当時、区長として企画した各種教室の中に編み物教室があり、野澤さんはそこで出会った講師に今に至るまで師事している。
そして同サークルのメンバーは、現在、野澤さんが、津市榊原町や鈴鹿市で指導している50代~80代の生徒たち。洋服をはじめ、小物や敷き物など個性溢れる力作を出品した。
作品を会場に搬入し陳列した際は、野澤さんが、百貨店時代に培ったセンスを生かし、生徒に自分の作品だけではなく展示全体のバランスを考えるようアドバイスしたそう。
「教室では皆さんと友達同士のような感じで楽しく活動しています。展示のためのマネキンを貸して頂いたり、周囲の尽力に感謝しています」と野澤さん。問い合わせは同館☎津279・3501へ。

決意の言葉を述べる向井さん

決意の言葉を述べる向井さん

津市栄町の三重県勤労者福祉会館で1日、(公財)介護労働安定センター三重支所=津市羽所町、上村秀作支所長=による「介護労働講習」の開講式が行われた。
同講習は、2025年には三重県で介護職員が3600人不足すると予想されているなか、質の高い介護人材を育成することなどを目的に毎年開かれている。対象は雇用保険を受給中の人。介護福祉士国家試験受験に必須の資格「実務者研修修了」が取得できる。
5年目の今年は、定員ちょうどの40名が受講。11月10日までの約6カ月間の日程で、座学だけでなく実技や職場実習も行われる。
開講式では、上村支所長が「講習修了後は、介護施設などへ一人でも多くの方に就職して頂き、実務経験を3年積んで、『介護福祉士』の試験に合格して頂くことを期待しております」などと挨拶。 また受講生代表として、津市の向井美波さん(21)らが決意の言葉を述べた。
向井さんは、祖母の介護をすることになったのを機に介護職を目指し、3年間務めた企業を退職して同講習を受講。「利用者さんと信頼関係を築き、沢山の人の笑顔が見られるように頑張りたいです」と目標を話した。

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