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2017年6月
NHKのダウントン・アビーという番組を楽しみにしている。二十世紀初頭の英国貴族の館を舞台に、貴族と使用人の人間模様を描くドラマ。貴族たちの仕事は、盛装して食事をして社交することだったらしい。
登場人物のドレスや立ち居振る舞いも興味深いが、館そのものが魅力的だ。部屋の内装や調度品も煌びやかでゴージャス。シャンデリアや置物など掃除をするにもたいへんそうで、メイドが必要な住居である。食事の後、客と過ごす部屋にはソファやテーブル、飾り棚などがあり、現代の応接間に相当するようだ。
和室中心の昭和の家にも玄関脇に応接間があった。ソファとテーブルと飾り棚。西洋式に憧れての間取りだったろう。
平成の家には客のための応接間はなく、家族の暮らし中心の間取りとなった。ソファは居間に場所を変えた。我が家の居間にもソファがあって、テレビがあって、ピアノがあって本棚があってパソコンがある。
私が家で一番長く過ごす場所である居間は、家事室であり、娯楽室であり、書斎でもある。アイロンをかけたり、ミシンをかけたり、本を読んだり、体操をしたり、音楽を聴いたりする。
客を呼んでの社交はほとんどなく、家族が心地よいことが最優先される。夏は素足でペタペタ歩き廻るのだから、貴族が見たらびっくりだろう。 (舞)
2017年6月29日 AM 4:55
津市が昨年4月から運用している『徘徊SOSネットワーク津』は認知症高齢者が徘徊などで行方不明になった場合、関係機関で情報共有することで早期発見・保護や、本人や家族の負担軽減をめざす。今後更に高齢化が加速していく中、大きな力となる事が期待され、非常に有意義な制度だが、高齢者の登録数が5月末で121名で、協力機関・協力者数も355にとどまり、更なる周知の必要性が浮き彫りとなっている。
認知症の高齢者の徘徊は深刻な社会問題となっており、津署管内でも昨年中に28件発生。今年も1月から5月末で14件と昨年を上回るペースで発生している。そのような背景で、同ネットワークは、徘徊の心配がある高齢者を持つ家族などが津市か、各地域包括支援センターで対象者の基本情報(氏名、住所、身長、体重、歩行の程度など)や上半身の写真などを事前登録(無料、要介護度などの基準はない)を行い、中核的機関の津市、地域包括支援センター、津警察署、津南警察署で共有し迅速な対応を行うのが特徴。もし、登録者で行方不明者が出ると、津市から民生委員・児童委員や高齢者施設など事前登録している協力機関や協力者へメールで情報を配信。従来は電話で連絡を取り合っていたが、これで大きく保護までの時間を短縮できることが期待されているだけでなく、津市が育成している認知症サポーターを始め、一般からも広く協力を募ることで、より多くの目で登録者を見守れるのが最大の長所といえる。また、登録者には、靴に貼る反射ライト用シールを配布し、登録者を見つけやすくする工夫も行っている。
発見が遅れれば、命に係わるだけに、非常に有意義な制度ではあることは疑いようがないが、運用開始1年を迎えて課題も抱えている。それは登録者数で、5月末現在で121名で、協力機関・協力者についても355と、更なる周知の必要性を感じる数値となっている。協力機関と協力者には、認知症の高齢者との接し方や知識が、ある程度求められるため、活躍が期待されているのが津市が平成20年より育成している認知症サポーターだ。現在までに8677人を育成している。津市は市内全域で行っている育成講座で同ネットワークを紹介し、協力を呼びかけている。一方、認知症サポーターも活躍の場が課題となっており、上手くマッチングできれば一石二鳥ともいえる。
津市の総人口約28万人のうち、65歳以上の高齢者は5月末現在で約7万9707人で高齢化率は28・37%にも及ぶ。今後も高齢化が加速していくのは確実で、徘徊が益々、深刻かつ身近な問題となっていくことは確実。現在でも、警察に相談する前に家族が発見しているケースも考えると、想像以上の数が発生しているといえる。
警察や行政などだけでは徘徊の対応を行うにも限界があり、この問題と向き合うには、高齢者を見守る目をどれだけ増やせるかが大きなカギとなることは間違いない。他市ではより情報共有をし易くする取組みも行われており、今後そういった部分の検討も必要となるだろう。
徘徊の恐れがある認知症高齢者を登録したいという人や、協力機関や協力者として参加したい場合は、津市高齢福祉課☎059・229・3156へ。
2017年6月22日 AM 5:00