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津市白山町倭地区の上ノ村で平成18年に発足し、沖縄の伝統芸能で主に青年会が踊る「エイサー」で、地元・成願寺の盆踊りを盛り上げている『エイサーはくさん倭人』=岡田秀之団長(56)。沖縄の青年会のあり方を地域コミュニティの理想形と考え追求しており、現在、上ノ村で地域おこし活動を行う数々の組織の原点となった。同団体の影響で子供エイサー隊も誕生し、次代の人材育成にも繋がっている。
上ノ村地区は人口280名・高齢化率38・2%(今年4月現在)。主な産業は農業だが、高齢化や獣害による遊休農地の増加が深刻な課題だった。そこで、自治会の有志が「地域を何とかしたい」「地元の子供達が大人になったとき郷里を思い起こせる行事を作りたい」との思いで、平成17年、地元・成願寺の盆踊りを復活させた。
そして翌18年、この盆踊りに独自性を持たせ盛り上げようと、地元有志が発足したのが、「エイサーはくさん倭人」(以下、倭人)。
「エイサー」は沖縄の伝統芸能で、主に各地域の青年会が、旧盆に太鼓などを演奏したり踊りながら地元を練り歩く。青年会には、幅広い年代の住民が所属。子供達を年上の人が褒めたり、若いリーダーが組織を引っ張るなどすることで、地域活性化のための人材育成に繋がっているという。
「倭人」では、このような組織のあり方を、地域コミュニティの理想形として模倣。20代~60代の団員約30名が、上ノ村集会所での練習や、津市内外のイベント出演を通じ年齢を超えて交流している。
平成24年には、同団体の影響で地元の子供達のエイサー隊も発足し、昨年の盆踊りで共演した。
さらに同団体の特長として、関係者の主体性を重視すると共に、組織や地域の実情に合わせて柔軟な運営を行っている。 例えば沖縄やエイサーが好きな人の入団を「来るもの拒まず」と受け入れる一方、団体の存続を主な目的とした勧誘はしない。また発足直後、団員が数名のみとなってしまったが、学生や他地域からもメンバーを受け入れることで、組織が活性化した。
岡田団長は「これからも上ノ村の村おこしや、少しでも元気を継続することを目指し活動していきたい」と話す。
そして現在、地元では「上ノ村環境保全プロジェクトの総合的事業」として、倭人や同盆踊りを原点とし平成21年以降に設立した数々の団体が獣害対策や休耕田の活用など多分野で活躍。地区内外の人や行政、大学、企業なども参加し、それぞれが、好きな事や技術を生かし、楽しみながら地域貢献している。
同団体のあり方は、市内や全国各地でも課題となっている、伝統芸能の継承や、農村の地域おこしにおいて貴重な手本と言える。また、現状が組織としての完成形ではなく、地域や子供エイサー隊と日頃からより密接に関わることなどで更なる発展が見込めるだけに、今後にも注目したい。
なお、今年の成願寺盆踊りは、19日19時~21時半に開催される。
2017年8月3日 AM 5:00