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三重県立美術館県民ギャラリーで2日~6日、三重大学工学部建築学科主催の「建築展2017」が開催。
同学科4年生の「卒業設計」と、工学研究科建築学専攻の院生による「修士設計」が展示された。出展者たちは、様々な分野の建築物をそれぞれのコンセプトのもと設計。模型や、写真・文章でその特徴を表現した。
そのうち、4年生の原理花子さん(21)の作品は、津市白山町上ノ村の地域おこし活動に参加してきた経験を活かし、地域の活動拠点施設を設計したもの。テーマは「頑張る農村のための建築─上ノ村活動拠点施設」。
上ノ村地区は、人口280名、高齢化率38・2%(今年4月現在)。主な産業は農業で、高齢化や獣害による遊休農地の増加が課題だった。そこで、地域の課題に対応するだけでなく、活性化に繋げる「上ノ村環境保全プロジェクトの総合的事業」がスタート。同事業では現在、地区内外の人や三重大学の学生・行政・企業などによる、様々な分野の団体が主体性を持って活躍している。
一方、原さんは山梨県出身で、元々、農業に関する建築に興味があったという。大学2年の夏頃から、同地区での地域おこし活動に参加。稲作などに取り組み「地域の人と関わりが持てて、知らない人も気軽に話してくれる」と、楽しみながら住民と交流している。
卒業設計は、これらの活動を通じて学んだ、地域の実情やニーズをもとに企画。 具体的には現在、活発に利用されている上ノ村集会所の約110㎡の敷地を、約4770㎡に拡大。新たな集会所や農作物の加工所・直売所、町民の交流の場となるレストランなどを設計した。 農地を守るために、その運用だけでなく地域のあり方も重視した、建築専攻の学生ならではの提案は、住民からも好評。 原さんは「将来は、施設を建てる人としっかり話せる設計士になりたいです」と笑顔で話した。
2017年8月10日 AM 4:55