津市の岩田橋北交差点=津市丸之内=に終点がある『国道163号』は幹線道路の一つとして日々、多くの人の生活を支えている。津市から伊賀市にかけての区間は、江戸時代に津藩の2つの城下町を結ぶ伊賀街道がルーツで、始点は100㎞以上離れた大阪市北区。この国道の終点から始点まで踏破を試みる。(本紙報道部長・麻生純矢)

 

国道163号は岩田橋北交差点の終点と大阪市北区の梅田新道交差点にある起点まで、三重県、京都府、奈良県、大阪府を結び、総延長は約120㎞。津市から伊賀市にかけての区間は、元々は藤堂藩の二大拠点であった津と上野の城下町を結ぶ伊賀街道がルーツ。この区間は元々、国道ではなく、県道津上野線で昭和59年に旧上野市と旧大山田村を中心に津市と旧美里村を加えた二市二村で国道昇格促進期成同盟を結成し、昇格運動を展開。平成5年に昇格が認められ、編入・延伸された歴史がある。ちなみに昭和27年に国道として指定された当初は起点から四日市市を結ぶ路線だったが名阪国道の建設に伴い、旧上野市を終点とする国道となった後、延伸区間が付け足され、今の形となった。
163号は三重県の大動脈といえる国道23号や、同じく津市雲出本郷町に終点がある国道165号や、津市栗真中山町に起点がある国道306号と共に幹線道路として津市民の生活や関西からの物流を支えている。
そんな馴染み深い163号の現道約106㎞を中心に通行に支障がない限り、徒歩で遡り踏破を試みる。伊賀街道と呼ばれた頃より長きに渡り、津で暮らす人々にとって重要な道として利用されてきた反面、現在の伊賀市より先の区間は余り馴染みがないという人も少なくない。
そこで、本紙20年という節目にその道程を辿り〝来し方〟を振り返りながら〝行く末〟に思いを馳せる。徒歩ならではの緩やかな速度だからこそ、気付ける出来事や事象、人々との出会いなどを綴っていく。(次号以降で連載記事を掲載)