津市大門大通り商店街に昭和39年に設置されたアーケードが、老朽化のため撤去される。今月7日から解体工事中で6月末頃完了予定。大門地区は日本三大観音の一つである「津観音」の門前町で、かつては繁華街として賑わったが、津駅前や郊外への顧客流出などにより衰退している。同商店街振興組合の山田和弘理事長(77)らに、アーケードの思い出や、撤去で様変わりする商店街の将来像などを聞いた。

 

 

今月7日から行われているアーケード解体工事

今月7日から行われているアーケード解体工事

山田和弘理事長

山田和弘理事長

山田和弘理事長

山田和弘理事長

山田和弘理事長

山田和弘理事長

大門地区はかつて多くの飲食店や商店が並び栄えていたが、郊外への顧客流出などで衰退。津市大門大通り商店街も、活性化が長年の課題となっている。
一方、昭和39年に同商店街の市道に設置されたアーケードは、全長約330m。津市大門大通り商店街振興組合=山田和弘理事長(77)=が所有・管理している。50年以上、買い物客に親しまれてきたが、老朽化が著しく耐震性も低いため、同組合では、平成27年5月に撤去を正式決定した。
工事費は総額約2600万円。組合の資金は不足しているが、昨秋には強風でつるし看板が落下するなど極めて危険な状態だったことから、安全のため解体工事の実施に踏み切った。
この市道は、撤去後も従来通り車両通行禁止。アーケードがなくなることで、「昼間でも暗い」と言われていた通りが明るくなる一方、強い日差しや雨を防げなくなるため、客足減少を懸念する店もある。そこで、撤去後の商店街の将来像などについて関係者3名に話を聞いた。
まず、工事の実現に尽力した山田理事長は「撤去についてどう思うか皆に聞かれるが、『やれやれ』や。(アーケードがなくなると)観音さんがよく見えるようになる。これを背骨にして頑張っていかなあかん」と力強く話した。今後は、「まちなか健康づくりの商店街」として市民への貢献を目指していく。
また津市議で、同商店街で家業の「うどんの幸助」を営む岩脇圭一さん(39)は、子供のときアーケードの下で友達と遊んだ思い出があり、「こういった形でなくなるのは感慨深いものがある」と話した。一方、以前、三重大の建築学科の学生が同商店街の将来像を提案する企画で、アーケードを設置しない案が多数だったこともあり、「一つの時代の中で、アーケードの役割は終わりつつある」とも感じていて、「これから、新しいまちづくりをしていきたい」と前向きに話した。
十数年程前から、毎日11時に同商店街を訪れてラジオ体操を行い、参加する地域住民の健康に貢献している東海良成さん(80・津市半田)は、「アーケードがあるので天気に関係なく思い切りやって来られた」と感謝し「なくなってからも、体操は一人でも二人でも参加してくれる人がいたらやってかなあかんと思うので、天気が良ければ行います」と話した。
同商店街が様変わりする今は、新たな将来像を描き活性化に取り組む好機。市民や顧客のニーズや、時代に即した取り組みが期待される。