「アライグマ」の被害が広がり続けている。繁殖力旺盛で食べる物を余り選ばず、ねぐらとなる空き家の増加などもあり、農作物の食害だけではなく、市街地での住宅の侵入などの被害が増加しているという部分で他の獣害と一線を画す。特定外来生物にも指定されていることもあり、津市では捕獲用の小型檻を毎年増やし、貸し出しているが、被害拡大を防ぐためには市民の協力は不可欠となる。

 

捕獲されたアライグマ(津市提供)

捕獲されたアライグマ(津市提供)

アライグマの足跡(津市提供)

アライグマの足跡(津市提供)

北米原産であるアライグマは、虫や小動物から植物まで食べるものを余り選ばない雑食性で雌は生後1年ほどで成熟し、一度に3~6匹も出産できる。国内に天敵もいないため、全国で生息域が拡大しており、許可なく飼育や移動などができない特定外来生物にも指定されている。環境省の調査でも10年前と比べると生息域が3倍に拡大。三重県内でも生息域の拡大が確認されている。
津市では平成24年に香良洲地区のナシ畑が被害にあうまで目立った被害が無かったが、あっという間に市内全域へと被害範囲が拡大。ナシ、スイカ、ラッカセイなど、果物や野菜への農業被害に留まらず、最近では観音寺町や上浜町などの市街地で、住宅への侵入被害が増加している。
アライグマは手先が器用で高所に上ったり、狭い場所から侵入するのはお手の物。雨風がしのげる住宅の天井裏や屋根裏に侵入し、ねぐらとしたり、繁殖することが多い。津市でも天井裏にねぐらをつくられ、多くのアライグマの排泄物で酷い状態になったケースも。
また、市街地では餌となる残飯が季節に関係なく手に入るだけでなく、ねぐらにできる空き家が増加。むしろ、山中など純粋な自然環境下よりも市街地周辺はアライグマが住みやすい環境が整っているともいえる。
津市は対策として、平成27年に防除計画を策定し、捕獲用の小型檻の市民への貸出を開始。当初60基だったが、ニーズに追い付かず、現在では約160基まで増加。それでも絶えず、貸し出しが行われている状態。捕獲頭数も平成28年度に89頭、平成29年度は135頭、今年度は8月末で56頭と檻を増やせば増やすほど、増えている。
アライグマはねぐらさえ特定できれば、檻をしかけて捕獲することは比較的容易だが、市街地周辺で不特定多数の人々が通る場所は危険が伴うため、設置場所を選ぶ。シカ、イノシシ、サルとは違った意味での対策の難しさを抱えている。
環境省のシミュレーションによると100頭のアライグマの群れを捕獲せずに放置した場合、6年後に5倍、10年後に50倍にまで増えると想定されるほ繁殖力は驚異的。生息場所が市街地周辺に移行し、市も檻の貸出と被害発生地域の把握といった現行の対策以上に踏み出し難いのが実情。
その一方で最大の対策となるアライグマにとって住みにくい環境づくりには市民一人ひとりの協力が不可欠となる。津市でも広報などを通じて啓発活動を行っている。
例えば、アライグマの餌となる生ごみを外に置く際も鋭い爪や牙で破られるネットは避けて密閉できる容器入れたり、家の内部に入り込まれないように外壁や軒下の隙間をくまなく塞ぐ、アライグマの好物であるカエルが集まり易く隠れ場所になる庭の草をこまめに抜いたり、生け垣の下部を地面が露出するようにしっかり刈り込むといった日常的な対策は効果的。その上でアライグマを見かけたり、屋根裏などから聞きなれない音が聞こえたり、見慣れない足跡を見かけた場合は、市に通報し、然るべきアドバイスを受けた上でしっかりと捕獲し、数を減らすことが重要となる。
ただし、アライグマは爪や牙が鋭く、気性も荒い。病原菌を媒介している可能性があるので、捕獲には危険が伴う。無理をせず専門業者に依頼するのも得策といえる。
中山間地域に被害が集中していた従来の獣害と比べると、地域に関係なく被害が発生する可能性があり、今以上に大きな問題へと発展するのはほぼ確実とみられる。
アライグマ関連の相談は津市農林政策課獣害担当☎059・229・3238へ。