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老朽化が進むため池は防災上の問題となり、今年7月の豪雨でも決壊による土砂災害で死者が出た。津市では「津市ため池ハザードマップ」を作成し、市民に配布や公開を行っているが、民家の近くのため池では、水の到達予想時間が非常に速い。日頃から身近なため池の被害想定を意識するなど、市民のマップを生かす姿勢も求められる。
全国に20万カ所あるため池は農業者によって管理されてきたが、農業をやめる者が増えるに従って管理不全に陥るケースが増加。地震や集中豪雨で決壊した際には、土砂災害を引き起こす。
国では、決壊した場合に下流の住宅や公共施設などが大きな被害を受ける貯水量10万トン以上のため池を「防災重点ため池」に指定し、優先して改修を行ってきた。しかし、今年7月の西日本豪雨では32カ所のため池が決壊。土砂災害で広島県福山市では3歳の女児が死亡した。このため池は防災重点ため池には指定されていなかったこともあり、国は規模に関わらず下流に民家や公共施設がある場合は防災重点ため池として認定できるよう基準を見直す。
津市では市内に393カ所のため池があり、うち70カ所が防災重点ため池に認定されている。特に老朽化しているものに関しては随時改修を進めているが、対処できる箇所が限られるため、「津市ため池ハザードマップ」を整備。今年7月より市民に配布したり、ホームページ上でも公開中。このマップでは決壊した場合に下流に民家や公共施設がある200カ所以上のため池を規模を問わず網羅。浸水予想範囲や深度、到達までの時間が記されている。
掲載されているため池は、地域住民の生活圏内に近いものが多く、水の到達予想時間は速い場所で1分以内、30分もあれば広範囲に被害が及ぶ可能性が示されている。浸水予想範囲外の指定避難所まで避難する時間が確保できない場所も多く2階などに上がる垂直避難が有効になるケースも。
ため池の老朽化は深刻で、中山間地域でも被害発生の可能性があるが、沿岸部の津波と比べると危機意識が薄い。ため池の改修や使わなくなった池の廃止という対策が重要となる一方、市民自らの暮らす地域にどのようなリスクが潜んでいるかをマップを通じて普段から認識し、どのように行動すべきか考える必要があろう。
2018年12月14日 AM 5:00