この一年、一度も着物を着なかった。和ダンス二本分の着物があるのに、出番はめったにない。自分の着物と親の着物の、すべてがタンスの肥やしとなっている。紬や小紋の美しい布に見える手仕事のすばらしさ。それぞれ選び抜いて買ったはずのものを、もったいない話だ。
毎年防虫剤を入れながら、誰も着ない着物を何とかしたいと思っていたが、流行りの着物リメイクにも踏み切れなかった。まだ着られるものを切り刻むことに抵抗がある。
そこで、端切れでスカートの試作をしてみた。男物大島紬に女物紬を継ぎ合わせて、ウエストゴムのスカートを作成。渋い色合いのスカートは味のある一着となって、和柄でも普通に着られそうだと思った。
でも、端切れで作ったのでは、着物は一着も減っていない。断捨離のつもりが一着増えた。
思い切って母の着物を一着解いた。ついでに義父の黒紋付も解いて、これを組み合わせることにした。着物の柄をそのまま使ったスカートは、コーディネートが難しそう。黒ベースならトップスと合わせやすくなると考えた。二着からスカート一着となり、一応断捨離は成功である。
次の課題はこのスカートを着ることだ。絹のスカートだから家庭着にはできない。友人とのランチなど、ちょっとしたお出かけに使えるだろうか。頑張って着ようと思う。
(舞)