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雑誌「和樂」が今年末までに申し込んだ定期購読者への特典品として「おぼろタオルのタオルハンカチ」を選定した。 同誌は、小学館から発刊されている隔月女性誌で、「『和』の美しさ、素晴らしさを読者と分かち合う」をキャッチフレーズに、日本美術、京都、茶の湯、工芸などをテーマとして扱っている。
「おぼろタオル」は、「今治タオル」「泉州タオル」と並ぶ日本三大タオルのひとつとして名を馳せる津市の老舗タオルメーカー。創業者で画家だった森田正三郎氏が考案した「おぼろ染め」でも知られる。
同誌は、創業100年を超えるおぼろタオルの芸術性に着目。先々号(2月・3月号)で同社のヒストリーを特集。「おぼろ染め」が、横糸だけに柄を染める画期的な染色法で、白いパイルの下におぼろげな模様を描き出し、濡れると鮮明に浮き出すその変化が「おぼろ月夜の空が晴れるように見える」ことから「おぼろ染め」と名付けられた歴史などを紹介した。
定期購読の特典は、和樂とおぼろタオルがコラボして製品化した「UKIYO─Eおぼろタオルハンカチ」。店頭で購入することができない特注品で、葛飾北斎の赤富士をイメージした柄は、濡らすと色が鮮やかに変化する。
また、やわらかく、吸水性や吸湿性にも優れ、舞妓さんや芸者さんをはじめ、女性に愛用された日本初の「ガーゼタオル」の技術も惜しみなく投入している。
ちなみに、和樂は単品購入だと1冊税込1530円。定期購読は1年間(6冊発行)で1冊税込1400円と、2年間(12冊発行)で1冊税込み1300円の2コースがあり、支払いは一括と毎月のいづれかが選べる。送料は無料。
申し込み・問い合わせはフリーダイヤル0120・462946(月~金9時半~17時半。土日祝休み)へ。
2020年5月14日 PM 3:35
発達障害のリアルを当事者・専門家らが語る対談連載。発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違うために幼いうちから現れる様々な症状。出生率は数十人に一人と少なくないが社会の理解がまだ不十分で、同調圧力もあるため生きづらさを抱えている当事者は多い。最終回は当連載のコーディネーターで、言語聴覚士として発達障害を持つ子供の支援を行う新谷麻衣さんが語った。 (敬称略。聞き手は本紙記者・小林真里子)
(前号からの続き)
──発達障害の相談に対応する時、どんなことを心がけていますか?
例えば、保護者からの「集団で遊べない」という相談には生活背景をしっかり聞き取り、今その子が集団で遊ぶ必要がある段階なのかどうかや、集団ではなく一人で遊ぶ理由やメリット、必要性も考えながらお話させて頂いています。「遊べない」と、「遊ばない」では、事情が異なってくるからです。
また「言葉の発達が遅れている」という相談には「周りと比べて遅れている」ではなく「今、この子の発達がこの段階」という視点で、普段の生活の中でどうやって伸ばしていこうかと一緒に考えるように働きかけます。
そして、今のその子の生活に適した支援がもたらすメリットをお伝えしたり、私がこれまでの支援活動で出会った事例を話してみる。すると、先の見えない不安が少し和らぐ方も少なくありません。これは、前回お話しした「雑談という宝物」が与えてくれるものですね。
一方、お子さん自身からの相談では、とにかく日々のエピソードを沢山聴いて、その中から頑張れている姿やユニークな姿を見出し、ポジティヴな言葉で伝えるようにしています。
特に発達障害のグレーゾーン(「発達障害の特性を持っているが、診断基準は満たさない状態」を指す通称)のお子さんの場合は、友達との発達や興味の差が開いてくる学齢期に「今までみたいに遊んでもらえない」「誘ってもらえなくなった」という相談や、ケンカなどのトラブルも聞きます。この場合には、出来事や、本人と相手との関係性よりも、「その時のあなたの状態」を聞きます。答えが「しょうがないから一人で遊んだ」なら、相手の気持ちを尊重できたことが素晴らしいですし、別の方向性の友達ができる可能性を示したりもします。
また少し前に、「忘れ物をする」「うそをつく」「言っちゃいけないことを言う」などのいわゆる困った行動を「妖怪がのりうつった」とコミカルに表現したテレビ番組がありましたが、この表現が相談に対応する際、大変役立ちました。
発達障害を持つ子供の中には、感情のコントロールが難しい子やこだわりが強い子も多いので、衝動的に行動してしまい、後からひどく自分を責めて落ち込むというケースもあるんです。そこで、例えば落ち着きがなく椅子に座っていられない子には、「妖怪ソワソワが暴れ出してるから、ちょっと静かにするように言おうか」と話しかけたりしました。
このような表現は、「努力などの根性論ではどうにもコントロールできない自分」というものを見つめて付き合っていく力を育てるのに有効です。何よりも、困った行動が出た時に直接的に本人を責めることなく、穏やかに注意を促すことができるんです。ちなみに、うちの子の場合は遠足にリュックサックを忘れて行く猛者ですので、「忘れん坊将軍が現れた!」とユーモアを交えて声かけしています。
──発達障害を持つ人とそのほかの人が理解し合いながら共生するために、それぞれができることは何でしょうか?
この連載の第1回にもご登場頂いた金井先生(三重県立子ども心身発達医療センター長)が「人類みな発達障害」とおっしゃっていましたが、これは本当に共感できる言葉で、人は必ず何かが得意で何かが苦手なんですよね。先ほどお話した、「忘れ物をする」「うそをつく」など困った行動をする「妖怪」は発達障害の有無に関わらず、皆さんにのりうつります。ただ、それをうまく飼い慣らせるタイプの人と、手こずってしまうタイプの人、妖怪の存在に気づけないというか、自分の姿が見えないタイプの人がいます。
タイプの異なる人同士が理解し合い共生するためには、「それぞれのタイプがどのようなものなのか」という情報を共有することももちろん必要ですが、お互いの「寛容さ」「柔軟性」「ユーモア」が鍵になると考えています。例えば、私にも忘れん坊将軍がよくのりうつりますが、「片付けてしまうと忘れるが、見えていれば忘れない」という飼い慣らし方を発見しましたので、仕事机は多少の散らかり感を覚悟の上で色々なところに書類がマグネットで留めてあります。
もちろん、社会には深刻な問題もあります。例えば「数字の処理がとても苦手な人と同じ職場で働く人が、苦手な人の分の仕事もフォローしているのにお給料が同じ」という状況は寛容さだけでは乗り越えられませんよね。一部の人にだけ寛容さや柔軟性を求めるのではなく、この例だったらその職場の経営者や、働き方・お金の流れを司る国の機関にも対応が求められるわけです。
話が大きくなりすぎてわかりにくいように思えるかもしれませんが、「常識的に考えて、〇〇をするのが当たり前なのだが、それが行われない場面に直面した」という場合の適応能力や、「じゃあ、どうすれば良いのか」という発想力が健常者と呼ばれる人にも発達障害(自閉症スペクトラム)の人にももっとあると、色々な問題が問題ではなくなるのではと考えています。
──「常識」や「普通」といった人によって尺度が異なるものに捉われず、互いを尊重し合いながら、快適に共生するための方法を一緒に考えることが大切ですよね。
社会の発達障害への理解を広めるには、どのようなことが有効でしょうか?
それぞれの発達の個性やスピードに適した場で学ぶことは重要なのですが、そうすることによって特に学齢期から青年期、発達障害者は定型発達者と生活環境自体が離れてしまうケースが多いんです。進路が就労移行支援事業所や障害者雇用だと、一生関わりがないことも。
一方、同じ空の下、同じ社会で暮らしていますし、街中などで出会うことは当然あります。しかし、テレビのCM・ドラマ・アニメや映画、漫画で不特定多数の人が登場するシーンに、発達障害者だけでなく障害者が「当然の存在」として描かれることはめったになく、逆に「主人公は発達障害の少年」のように特別に扱われることはありますよね。
こうしたことにより既に社会の印象が定められると言うか、絞られているように感じています。ここが変わってくると、当事者との具体的な接点を持つことが難しくても理解は大きく進み、社会が変わると思います。
そういった点では、米国の某番組で自閉症の女の子がレギュラーのキャラクターに採用されたことはとても大きな意味があります。日本でもこういう動きが出てくるといいですよね。
SNSでは、「#発達障害あるある」などのタグがついた当事者の本音や、日常のネガティヴエピソードの投稿を目にすることがあります(ポジティヴなものも、もちろんあります)。また、一つのことにやたら詳しい人やこだわる人に対して、親しみを込めて「アスペかよ」とツッコミを入れるやりとりも見られます。人によっては驚いたり、いじめのように感じるかもしれませんが、私はむしろ、これまでの社会から当事者への腫れ物に触るような扱いよりもこうしたやり取りの方がオープンで、多様性社会の可能性に満ちていると考えています。タブー視せずに、もっともっと絡んでほしいと思うくらいです。
「人類みな発達障害」という言葉はちょっと刺激的かな?でも、これは言い換えると「わたしもあなたもみんな凸凹」ということなんですよね。凸や凹がまぜこぜになって、組み合わさったりはまらなかったり……。そうしてこの社会ができているんですよね。
──どうもありがとうございました。 (この連載は今回で終わりです)
2020年5月14日 PM 2:36