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新型コロナウイルスの第三波によって三重県も独自の緊急警戒宣言を発出中。休業や失業など経済的なダメージを受けた人を対象とした国の生活福祉資金貸付制度を受け付ける津市社会福祉協議会には昨年夏のピーク時より減少したものの、連日相談者が訪れる状態が続く。すでに県内の同制度の支給決定総額は45億円以上にものぼる。コロナ禍の長期化と先行きが見通せない現状に市民の不安が広がっている。
三重県では緊急事態宣言と同じ期間である2月7日まで、桑名市、四日市市、鈴鹿市の飲食店に対して時短営業を要請している。津市は対象となっていないが、外出を自粛する人の増加から、飲食店や観光産業を始めとするサービス業などが深刻な打撃を受けている。昨年から厳しい経営が長期化しており、なんとか踏ん張っていた企業も、休業や廃業に追い込まれて収入を失ったり、非正規労働者は雇止めも継続的に発生している。
そこでコロナ禍による影響で生活資金が不足する人を対象に昨年3月に新設されたのが1世帯当たり20万円を上限に貸し付ける「緊急小口資金」と、1カ月最大20万円3カ月分を借りられる「総合支援資金」。どちらの特例貸付制度も無利子で保証人不要で併用可能。当初の受付期限は昨年の7月末までだったが、コロナ禍の長期化と二度目の緊急事態宣言が出されたこともあり、受付期限が3度延長され、今年3月末までとなった。返済の開始時期も世情を加味し、来年の3月末まで延長されている。
両特別貸付制度の利用状況は、全国で今年1月始めの時点で約142万5000件、支給決定額は約5500億円(速報値)。三重県内では昨年末で、緊急小口資金が8660件16億5735万円、総合支援資金が4480件約28億845万円と計45億円以上。
津市の両貸付制度の受付窓口は津市社会福祉協議会。電話や窓口対応を行っており、ピーク時の夏頃には600件~700件の相談が毎月寄せられていた。その後、早急に必要な人達にはある程度、行き届いたとみられ、相談数は減少。現在の相談数は月150件前後で推移しているが、それ以下に減る気配はない。
津市の両制度の昨年末までの利用状況は1600件5億2400万円。相談者の約半数は外国人で雇止めの影響も多い。また、食糧支援や教育支援の利用も増えており、この1年間に同社協が受けた相談件数は、例年と比べて20倍にまで膨れ上がっている。
また、両貸付制度を最大限利用してもなお、生活が立て直せない人も現れており、実際に生活困窮者に対する支援や、その先の生活保護を所管する津市援護課にも相談が寄せられている。同課によると現時点では、まだ生活保護の受給自体は、昨年度と比べて微増レベルにとどまっている。しかし、現在も感染者は増え続けており、緊急事態宣言延長の可能性もあるなど、問題の長期化によって、ギリギリのところで耐えている人たちが限界を迎え、生活保護を受ける状態に陥る可能性も否めない。サービス業以外にもダメージは広がっており、貧困は誰にとっても身近な問題に。健康面だけでなく、経済面でもしばらく不安な日々が続くことになる。
生活福祉資金貸付制度に関する問い合わせは津市社会福祉協議会本部☎059・246・1165。その他の生活困窮に対する相談は、津市援護課☎059・229・3541へ。
2021年1月28日 AM 5:00