

検索キーワード




あまりに気持ちのよい天気だったので、海風に吹かれながら海岸を歩いた。砂浜には浜昼顔がピンクの花を並べていて、「今日砂山にただひとり来て浜昼顔に聞いてみる」のフレーズが頭に浮かんだ。「君の名は」をリアルタイムで聞いたはずはないが、私は歌える。
口ずさみつつ歩いていたら、バケツを持った人たちに行き合った。潮干狩りのシーズンだ。海を見れば、潮は引き始めたところ。私は家に取って返して、潮干狩り道具とともに海岸に戻った。 この浜での潮干狩りは何十年ぶりだろう。子どもが小さい頃は、水遊びに来たり、潮干狩りに来たりしたものだ。もうずいぶん前から貝が少ないと聞いていて、潮干狩りしようとは思わなかった。
でも、このコロナ禍に出かけられるなら、貝の多寡など関係ない。海に入ってヤドカリや小蟹を見るだけでも楽しいだろう。風が通る。人がいない。バケツとクマデを持てば、おばさんが海で遊んでいても違和感はない。
しゃがみ込んで砂を掘る。ドンビが時々出てくる。一応バケツに入れる。小ぶりのバカガイも一応バケツに入れる。アサリはいない。目の前を三センチほどの蟹が横切る。すかさずクマデで通せんぼ。そんなことが楽しい。
食べるに至らぬものは海に返してやった。潮が良ければまた潮干狩りに行こうと思う。
(舞)
2021年5月13日 AM 11:43