2021年5月

幻想的に光るヤコウタケ

幻想的に光るヤコウタケ

㈱シエン(本社・津市。隅谷利光代表取締役、以下シエン)は、きのこへの関心を高めてもらおうと、「光るきのこ!ヤコウタケ栽培キット」(製造・㈱岩出菌学研究所)を販売している。
ヤコウタケは、小笠原諸島、伊豆大島の八丈島に自生し、降水量の多い5月~6月に緑色に発光することで知られる。
栽培キットは、自然発光する珍しいきのこを自宅でセッティングして栽培することで、きのこの成長の過程を観察してもらい、きのこへの関心を高めるのが目的。具体的には、付属の容器に種菌を仕込み、温度と湿度を管理することで、約3週間で成長し、2日~3日間光るという(観賞用のきのこのため食べられない)。
キット内容は=種菌、腐葉土(保湿用)、スポイト、栽培容器、栽培説明書。
価格は税込2750円(送料別途)。同社店頭で販売。販売時間は平日(月~金)9時~12時、13時~17時。
問い合わせはシエンへ☎059・213・0404。

講師の岸博幸氏

講師の岸博幸氏

(公社)津青年会議所=森本晃圭理事長=は6月18日㈮18時45分から20時15分(受付は17時45分から)、三重県総合文化センター中ホールで公開例会として講演会を開く。講師は岸博幸氏。演題は「パラダイムシフト~斬新的なアイデアで時代を動かせ!」。
対象は津市および津市周辺の在住者。定員500名(未就学児は参加不可)。参加費無料。
岸氏は、1962年9月1日生まれ。東京都出身。一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)入省。通産省在籍時にコロンビア大学経営大学院に留学し、MBA取得。資源エネルギー庁長官官房国際資源課等を経て、2001年、第1次小泉純一郎内閣の経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏の大臣補佐官に就任。
その後、江田憲司衆院議員や元財務官僚の高橋洋一氏らと共に「官僚国家日本を変える元官僚の会(脱藩官僚の会)」を設立。以降、「脱藩官僚」としてテレビや雑誌でも活躍。地域再生をはじめ、政治経済についてわかりやすく語り、おもしろく誰にでも理解できるような解説が好評。
当日は、ニューノーマルの中、変化に対応する力、柔軟な思考力を高めるためのヒントを探る。
申し込みはパソコンの場合は「津青年会議所」でホームページにアクセスし「岸博幸講演会」のバナーをクリックして必要事項(氏名・電話番号・参加人数・メールアドレス)を入力して応募。
スマートフォンからはQRコードを読み込んで登録画面から必要事項を入力して応募。
問い合わせは、同会議所☎059・227・3806(平日10時~15時)。

国道165号沿いの風景(奈良県桜井市吉隠)

国道165号沿いの風景(奈良県桜井市吉隠)

美しく整備された棚田(奈良県桜井市吉隠)

美しく整備された棚田(奈良県桜井市吉隠)

奈良県桜井市吉隠(よなばり)。趣深く美しさを感じる地名で彩られたこの地は、大和国の最南端に当たる。国道165号のルーツである大和と伊勢を結ぶ伊勢街道(初瀬街道)沿いにあったため、江戸時代には長谷寺へ参詣する人やお伊勢参りへ行く人の往来でも賑わっていた。更に時代を遡ると都からほど近いこともあり、695年に持統天皇も御幸した記載も日本書紀に残っている。地名の由来は一帯に広がる初瀬谷の奥まった(隠れた)ところにある良い(吉)場所という意味があるらしい。
万葉集には、この地を詠んだ歌が収められている。

降る雪は あはにな降りそ 吉隠の 猪養の岡の 寒からまくに

現代語に訳すると、「雪よ、そんなに降らないで。吉隠の猪養の岡に眠る愛しい人が寒がるから」といったところだろうか。この歌を詠んだのは持統天皇の夫、天武天皇の息子である穂積皇子。歌に詠まれた彼の想い人は、同じく天武天皇の娘で異母妹である但馬皇女。そして、彼女は穂積皇子と自身の異母兄にあたる天武天皇の長子・高市皇子の妻であったとも言われている。持統天皇は彼らの母親ではない。ちなみに、彼女は夫の兄・天智天皇の娘で夫の死後に発生した後継者争いで自害することになった大津皇子は異母姉の息子にあたる。少し遡ると、壬申の乱で天武天皇に破れた大友皇子(弘文天皇)は持統天皇の異母弟である。かいつまんで説明しただけでも、登場人物たちの余りに濃密な血縁関係がお分かり頂けるだろう。
血を分けた者同士が文字通り血で血を洗う争いを繰り広げた時代。背徳の香りは漂うものの、亡き想い人への純粋な愛が込められたこの歌の存在が際立つように思う。猪養の岡と推定される場所は国道のすぐ北にある吉隠公民館付近で、この歌を刻んだ碑も建てられている。旅路が美しい物語に彩られていく。
また、吉隠は棚田も有名で、奈良県景観遺産に登録されている。地元住民によるプロジェクト会議のメンバーが休耕田を解消するために、棚田で取れる米を「吉隠米」としてブランド化している。国道沿いに広がる棚田は空の状態だが、心血を注いで手入していることが一目でわかる。万葉集に詠まれた景色は今も損なわれること無く美しさをたたえている。
スマートフォンで時間を確認すると、16時10分。目的地の長谷寺は、もう目と鼻の先とはいえ、冬季拝観の受付時間リミットの16時半までわずかしか時間が残されていない。だが、何度もお伝えしている通り、国道には危険がいっぱい。歩道も途切れがちで、片側しかない場所も多い。出来るだけ安全を確保するために、対向車線沿いの歩道に向かって、横断歩道のない場所を渡らなければならないこともある。ここで無理して事故をしては目も当てられない。こんな時こそ、焦らず、御仏のお導きを信じることにしよう。もし間に合わなくても改めて訪れれば良いだけ。
なんとか長谷寺の門前町にたどり着いたが、16時半まで残り数分…。
ちょうど紙幅が尽きたので、私が拝観時間に間に合ったかどうかは次回に譲ることとしよう。(本紙報道部長・麻生純矢)

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