我が家の居間の入り口は、ドアでなく引き戸となっている。この時期だから引き戸はしっかり閉めなくてはいけない。勢いよく閉めて跳ね返ると、冷たい隙間風がぴゅーぴゅー入ってくる。引き戸は後ろ手でそっと閉める。
でも、そうしているのになぜか引き戸が三ミリほど戻る。柱との間に細く隙間ができてしまう。戸車は快調なので、何が原因だろう。冬場の乾燥のせいだろうか。そろそろこの家にもガタが来たのかもしれない。
それでもたいして不自由はしていない。たかが三ミリの隙間だから、見ないでいれば気にもならない。かえって換気ができて良いかもしれない。「だいたい人生こんなものよね」と私は思う。
昨日、友人から膝痛で整形外科に行った話を聞いた。骨にも軟骨にも関節の隙間にも異常なしで、湿布薬をもらって水分摂取を勧められたそうだ。
ここまで生きて来ると少々の故障は仕方がないようだ。そしてたいていの故障は見なければ済んでいく。膝も肩も腰も、日々の生活も。痛い辛いは嫌だが、少々の違和感なら見ないでおく。白髪にも老眼にも付き合っているのだから、違和感を飼いならすことにも長けてきている。
それにしても、気持ちは若い時と変わらないのに、身体はそういうわけにはいかない。ポンコツ感がじわじわと迫ってきている。        (舞)