津市の中心市街地を形成する「大門・丸之内地区」。モータリゼーションや郊外型の大規模店舗の台頭、新型コロナウイルス感染症の影響によって個人店が徐々に減るなど、新たな形での活性化が求められている。4月下旬には津センターパレスのホテルがリニューアルオープンするなど明るい兆しもある中、国土交通省の事業で官民が連携して新たな将来像を描く未来ビジョンづくりが動き始めている。

廃止された国道23号の丸之内交差点

廃止された国道23号の丸之内交差点

未来ビジョンは国土交通省の「官民連携まちなか再生推進事業」に基づくもの。「居心地がよく歩きたくなるまちなか」の形成を始め、都市再生をめざし官民が連携しながら、様々な人材が集積するエリアプラットフォームの構築も行われるが、未来ビジョンはエリアの将来像の共有を目的に策定される。津市では中心市街地の大門・丸之内地区58㏊が対象で都市計画の観点からの調査が始まっている。

時代の流れとともに、両地区にある商店街も活気を失っており、津市の顔ともいえる中心市街地の活性化は大きな課題。今期の津市議会定例会でも複数の議員がこの事業について、様々な観点から質問を行った。前葉泰幸市長も「何かイベントをやるという形だとこれまでと同じ一過性で終わってしまう。そうではなくまちの姿を議論して先のことまで考えていく。そのために都市計画まで踏み込み、変えていくとかマスタープランに反映するとか用途地域の議論をするなどしなければならない」と語り、新しいまちづくりの礎となるエリアプラットホームの構築と未来ビジョンの作成に意欲を見せている。
今後官民で話し合いを続けていく中、民の一角を担う丸之内商店街では、今年2月に国道23号の「丸之内交差点」が廃止された。60mほど北にある三重会館交差点との距離が近く、信号を見落とす人も多く交通事故や違反が頻発したことが原因での〝改良〟だったが、従前の形で30年以上利用していた交差点が消えたことはメリットばかりではない。そこで丸之内商店街振興組合では、未来ビジョンの策定に携わっていく中で、片側5車線という23号の区間でも珍しい特性と中勢バイパスの全線開通による交通量の緩和を見込み、1車線でイベントを定期的に開催したり、一時的な駐車スペースにして商店街の利便性を向上させられないかなど、新たな可能性を探る姿勢。同様に官民の人材が様々な立場から、意見を出し合いながら、未来ビジョンを具体化していく。
中心市街地には明るい兆しもあり、4月下旬には津センターパレスのホテルがリニューアルオープン予定で集客が期待できるほか、津城跡は続日本100名城に指定されて以来、全国から多くの人が訪れるようになっており、津城復元運動も着実に進んでいる。日本三観音の一つである津観音や両地区の商店街や公共施設などと共に、面的な魅力を創出するポテンシャルも秘めている。
今後、どのような形で事業が進み、都市計画がつくられていくかが注目される。