講演する大野照文氏

講演する大野照文氏

津市の経営者で作る「丸之内倶楽部」の第179回例会がホテル津センターパレスで開かれた。
各分野の専門家を講師に招いて隔月で実施しているもの。今回の講師は、高田短期大学図書館長の大野照文氏。テーマは「未来はどう拓くか?人間の知恵の歴史から学ぶ」。大野氏は先ず日本の現状について「19才以下の若者、20才~64歳の働き盛りの人口比率は今後ますます減少する。国民一人あたりの収入も、他の先進国平均に比較して低下する一方、国の借金は1990年以降、世界トップレベルの高さ」と指摘。「数十年かけて生じた現状をすぐに変えられないが、この重い課題を次代を担う子ども達に託すほかはない」と話し、教育の重要性を説いた。また、教育現場の問題として、「日本は1クラスあたりの児童・生徒のの数は世界的に見ても多い事がまず問題。生徒の力を育てるには教師の研修が必要だと思っている教師は多いが、日常業務にかまけて時間が取れず、結果、教師のスキルアップができないと感じている教師の割合も多い」とし、教育現場にかなり負担がかかっていると説明。「現状では、日本の子どもの自己肯定感が他国に比べて極端に低く、また自分が参加する事で社会を変えようとする意識(公共心)も低いのも当然と言える」と分析した。
また、幕末の日本が進むべき道筋を決めるのに大きく貢献した松阪の豪商、竹川竹斎の先見性について触れ、「 三重県の高校では課題研究型の学習を行っている。生徒が地元の課題をどう解決するのか、真剣に取り組み提言している。竹斎のように一人で何でもできる人はいないが、生徒達は対話力を磨き、実践し、体験を通じて、未来を拓く練習してくれている。皆さんも期待とともに応援して下さい」と締めくくった。