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2023年8月
旧街道に従って、中縄の集落を抜け、三重県道10号津関線を横断。大正時代に開業した私鉄の安濃鉄道の終点があった場所に木の標識が立っている。この路線は、現在の津新町駅の北西約1㎞ほどの場所にあった新町駅を起点とした全長約14・5㎞の軽便鉄道。津市押加部町の新町駅があった場所に行ってみると、住宅街の中で駅の痕跡は全く残っていない。芸濃町史や安濃町史に眼を通すと、この鉄道の歴史がつづられている。軽便鉄道は、幹線鉄道と比べて線路の幅が狭いのが特徴で、小じんまりとした軌道車でマッチ箱のように可愛らしい客車をけん引していた。運行会社の株主に名を連ねているのは地元の人たちが中心であることからも、この鉄道は現在の津市西部にとって欠かせない移動手段だったことが分かる。一時は片田の方に支線も走っていたが、農村部という地域的な特徴もあり、農繁期の5、6月になると乗客数が激減するなど経営的な課題を抱えていた。慢性的に苦しい運営状況の中で、なんとか貴重な地域の足を支えてきたが、昭和19年に戦争のために線路が資材供出されたことで実質的に姿を消した。
今ではこの鉄道のことを知る人はほとんどいなくなってしまった。しかし、このように少しでも痕跡を残しておいてもらえれば、歴史を遡ることもできる。今の世の中は車の移動速度を基準にして回っており、微かな痕跡には気付かず通り過ぎてしまうこともしばしば。ゆっくりと歩いたおかげで、痕跡に気付けたのは僥倖という他ない。「暇を見つけて安濃鉄道の路線を一日かけて歩いてみても楽しいな」。見慣れた日常の中にまだまだ未知はたくさんあることを改めて実感する。
津関線を横断した先は林の集落。ほどなく目の前に白亜の建物が現れる。国の登録有形文化財に指定されている旧明村役場庁舎である。大正5(1916)年に建築された。大正4年開通の安濃鉄道のほぼ同時期の建物と思えばより感慨深い。木造2階建てで、壁面や窓のデザインは洋風だが、屋根は瓦ぶきで入母屋破風、西洋と日本の建築様式が融合した美しさを漂わせている。この施設を文化財として保存し、公開や利活用を行っていくために、耐震工事や基礎の強化などが行われている。戦後からしばらく、日本が経済的な豊かさを追い求める時代には古いものは蔑ろにされ、どんどん姿を消してしまった。しかし、価値観が移り変わった現代では、古き良きものを残したいという考えが一般的になった。地域の人の愛着に支えられているこの建物も土日に見学者が訪れたり、イベントなどでも利用されており、これからも受け継がれていくことになるだろう。
集落を歩いていると、この辺りに初めて来た30年近く前の記憶が蘇る。高校生だった私は、同級生の家に遊びに行くために、JR亀山駅から友達と自転車を交代で乗りながらここまで来たことを覚えている。「確か、この辺だったかな」。微かに見覚えがあるように思える家や門構えを眺めながら、大脳皮質に刻みこまれた情報を引っ張り出す。歴史的事績は記録を辿れば、事実に基づく正解が導き出せるが公的な記録を残すには、データの整理・保管・管理に伴うコストも欠かせない。一方、個人の記憶は当人が死ぬまでの期間限定とはいえ、タダで使えてデータの扱いも自由自在。その分、時に自分にとって都合よく改ざんされることもしばしばで、それを頼りに正解にたどり着くことは至難の業。この辺りも都会などと比べると町並みの新陳代謝がゆっくりしているとはいえ、新しい建物が立っていたり、外構や外壁塗装をやり替えたり、実際には私の記憶の中の景色とは全く別ものになっていることだろう。
28年前のあの日の自分と現在の自分をシンクロさせながら、記憶の海での遊泳を楽しんだ。
その後、再び津関線へと戻り、中ノ川にかかる橋を超え、楠原宿へと入っていく。ゴールの関宿まではあと少しだ。(本紙報道部長・麻生純矢)
2023年8月24日 AM 4:55
9月2日㈯①14時②18時(開場は各30分前)、松阪市殿町の老舗割烹旅館「八千代」で、清水宏氏のスタンダップコメディ入門「明日のための笑い!」が開かれる。
スタンダップコメディとは、ステージにマイク一本、出演者はたった一人で観客に向かってしゃべりかけるスタイルの話芸。社会風刺や皮肉などを織り交ぜながら笑いを誘う。欧米やアフリカなど世界中のコメディの主力となっている。
今回の公演は日本のスタンダップコメディの草分け的存在である清水宏氏が松阪市に初めて登場。ポストコロナの世相を斬る。
清水氏は1980~90年代の小劇場ブームの中で俳優としてスタート。その後、ピン芸人として活動を始め、「清水宏のオールナイトニッポン」「明石家マンション」「月曜映画天国」などラジオ、テレビ、舞台で活躍。ミュージシャンとの共演も多く、忌野清志郎、細野晴臣、森山直太朗氏らのステージツアーにゲスト出演。2007年、2008年にはロックミュージックの殿堂・日比谷野外大音楽堂で単独お笑いライブを敢行、それぞれ2000人の客を動員した。
同館では「毎日のモヤモヤを言葉にしてスカッと笑って元気に!明日生きていくための自由と未来のエンタメを楽しんで下さい」と話す。
入場料2000円(日時指定・全自由席)※食事については希望者に「南インドカレー」が別途・税込1000円で提供される(事前予約が必要)。問い合わせ・予約は八千代☎0598・21・2501。
2023年8月24日 AM 4:55
ふるさとの川に親しみ自然の豊さ、環境の大切さを学ぼう──津西ライオンズクラブ(前田祥優会長)と、岩田川物語の会(倉田雅弘会長)は第27回岩田川ハゼ釣り大会を9月24日㈰に開く。小雨決行、荒天の場合は10月22日㈰に順延。後援=津市(予定)、協力=本紙。
表彰式は釣ったハゼなどの唐揚げパーティの中で行うのが恒例。家族、中学生~大学生、地域・職場や趣味の仲間、友人同士など様々なグループが参加する市民フィッシング。釣った魚は主催者側でさばく。
◆本部会場=岩田川北岸、近鉄道路ぞいの津青果市場
◆参加資格=津市及び近郊在住・在勤・在学の健康な家族、またはグループ(小学生以上)
1チーム4名まで。5名の場合は2名と3名の2チーム、6名の場合は3名ずつの2チーム、7名の場合は3名と4名の2チーム、8名の場合は4名ずつ2チーム、9名の場合は3名ずつ3チーム、10名の場合は3名ずつの2チームと4名の1チーム、11名以上は1チーム4名以内で最小のチーム数に分けること。小学生が入っている場合は必ず大人が1名以上参加していること。釣り具・エサは各チームで持参
◆定員=申込先着40チーム限定(120名程度)
◆注意事項=①各自手作りのゼッケンを胸に付ける。横20㎝×縦15㎝。上に『岩田川ハゼ釣り大会』、その下に『チーム名』を記入。
②万一、川に転落した場合に備えて長さ15m以上のロープを持参
③熱中症対策(帽子・水分)は各自で行う。体調が悪くなった場合は早急に本部《救護担当》へ申し出る
◆釣り方法=自由(但し舟釣りは禁止)
◆釣り区域=津港南側突堤及び対岸~観音橋
◆参加費=1チーム千円(保険料込み)・1チーム内の人数は関係なしで一律同額
◆賞=大釣賞(1チームの釣ったマハゼの1人平均重量)1位~5位。外道賞1位~3位。ファミリー賞(親子チームを対象に1チームの釣ったマハゼの1人平均重量)1位~5位。岩田川環境賞(釣り場周辺及び道端のゴミ収集量等)5組。津西LC会長賞2組。但し各賞の重複受賞はなしとする
◆当日受付=12時~13時。開会式13時開始
◆競技時間=開会式終了後~15時30分(早目の切り上げは自由)、検量登録締切15時45分
◆ハゼ唐揚げパーティ開始=15時30分
◆表彰式・閉会式=16時~16時半
◆申込方法=ハガキまたはFAX、インターネット。チーム名・代表者名とメンバー全員の住所・氏名・年齢・職場名または学校名・電話番号を明記し、〒514─0824、津市神戸203の13、カワイビル3階、津西ライオンズクラブ事務局へ(FAX津226・9005。☎226・2624)。インターネットは『津西ライオンズクラブ』の岩田川ハゼ釣り大会コーナーへ書き込みを
◆申込受付期間=9月8日まで(必着)
◆問い合わせ=競技委員長・村上晃一さん☎090・1622・1700。
2023年8月24日 AM 4:55