5月19日㈰12時30分から16時(終演予定)、三重県総合文化センター小ホールで、土筆派三代目家元継承十周年と、本紙の随想倶楽部「ちんとんしゃん」の執筆で知られる土筆栄さんの喜寿を祝う会「小唄 土筆派 演奏会」が開かれる。入場無料。主催=土筆会、後援=三重県、津市、中日新聞、三重テレビ、津北ロータリークラブ、中日文化センター。
 小唄は端唄から分かれた伝統芸能で、江戸小唄または早間小唄とも言われる。端唄に比べて軽快で音域は高音から低音まで三味線とつかず離れずにリズムと拍子は明快なものが多く、三味線による「送り」と言われる後弾きがついたり替手が伴うことがあり、三味線は爪弾きで行われる。 
 歴史的には幕末から明治にかけて活躍した清元お葉によって始められた。その後、裾野が広がり多くの弟子達が小唄の新流派を創流する中で、大正9年に田村てるが田村派を興し、その後、昭和36年に初代土筆栄が大阪で土筆派を創始した。
 初代・土筆栄は津や鳥羽でも小唄の指導にあたり、三重県内で多くの弟子を輩出。土筆栄豊が大阪で二代目・土筆栄を継承し、大阪と三重の各地で引き続き指導してきた。二代目・土筆栄は2014年に百才を越えたのを期に後進に道を譲る決心をし、津で教室を持っていた弟子の土筆栄八(上田美紀さん)が三代目・土筆栄を襲名した。
 津市羽所町の料亭ヤマニの女将でもある上田さん(76)は、同店2階でレッスンを開いており男女25人が習っている。
 毎年、夏の浴衣会・冬の丹前会の2回のおさらい会のほか、大阪の国立文楽劇場や京都の歌舞練場でなどで開催される関西小唄協会主催(上田さんは同協会の理事)の小唄会にも参加。春の花見会や12月の忘年会、その他有志の懇親会など交流会も盛んに行っている。
 コロナ禍の影響で10年ぶりとなる今回の演奏会は、栄さんが喜寿を迎える記念ということもあり、土筆会社中に加え、東京からは夜雨会も出演。約30曲を披露する。