歩いていたら後ろで大きな音がした。振り返るとゴミ収集車がいた。きょうは燃えるゴミの日。作業員数人で道路脇のゴミ袋を車に積み込んでいる。運転手も少し車を動かして次のゴミ集積所に止めると運転席から下りて積み込みをしている。私はご苦労様ですと頭を下げて通り過ぎた。
 そのまま歩いていくと、後ろから足音が聞こえた。Tシャツ姿の若者の軽やかな足取りにジョギング中なのかなと思った。若者は細い道を入っていった。
 なんとなく見ていると、細い道の先にあるアパートのゴミ箱を開けてゴミ袋を取り出した。両手に四つのゴミ袋を持ってこちらに戻ってきた。若者はゴミ収集作業員だったのだ。ゴミを持って走る姿に感動した。
 歩いてゴミを集めても怠けているわけではない。正当な働き方だと思う。そこを走る。なんとりっぱな若者だろう。
 宅配の荷物を持って走る人を見たときも同じことを思った。トラックから荷物を出して走り出す。その配達員の仕事への向き合い方に感動した。
 しかしながら、別の見方もできる。それほどノルマが厳しいのか。走ることが正しい働き方と教育されているのか。職場を知らない私には想像するしかないが。
 仕事で走る人は、自分の気持ちで走っていてほしい。仕事の充実感ややりがいを感じつつ走っていてほしいと思う。              (舞)