関谷信人教授(右)、近藤誠准教授(左) 、生物資源学部の小野田和哲さん

三重大学大学院生物資源学研究科の関谷信人教授と近藤誠准教授の研究グループは、飼料用の水稲品種が通常の2倍以上もの巨大な根を形成し、そこへ多量のデンプンや窒素を蓄積すると発見した。育成期間中、土壌と灌漑水に覆われ、自然条件下での調査が困難であった水稲根系の機能。同研究は世界初の成果として、7月1日、国際学術誌「Field Crops Research」にオンライン掲載された。
 同グループは、飼料用水稲品種「たちすずか」と「たちあやか」及び比較対照を用い、2年間にわたる栽培試験を実施。その結果、同品種が前述の潜在的な土壌改良効果を持つことを発見。価格が高騰する化学肥料への依存を減らし、持続可能な農業システムの開発に新たな視点を提供した。
 関谷教授は、「今後、この特性の遺伝的基盤の解明や、農業水田での長期的な効果の検証を期待する」と研究成果を踏まえた展望を述べた。