くすりの回覧板

    グレープフルーツが影響を与えてしまう薬があることは、ご存じかと思います。グレープフルーツに含まれる苦み成分(フラノクマリン誘導体)が、小腸での薬の代謝を邪魔するためです。そのことにより、薬が体に長く留まったり、薬の作用が強く出たりする可能性があります。
 薬に影響を与える可能性のある柑橘類は、グレープフルーツだけではないことが研究でわかっています。 柑橘類にはたくさんの種類がありますが、苦み成分を含む柑橘類と掛け合わせた品種では、同じように苦み成分が含まれます。例えば、グレープフルーツとポメロ(文旦の一種)を掛け合わせたスウィーティーには、グレープフルーツと同じくらいの苦み成分が含まれています。他にも、はっさく、甘夏、夏ミカン、文旦、ダイダイなどにも苦み成分が含まれています。 
 これらの柑橘類はグレープフルーツほど詳しく研究されていないので、どの程度の苦み成分を含み、どの程度の影響を与えるか、はっきりわかっていません。 また、産地などにより苦み成分の含量も一定ではないようです。後味に苦み成分の残らない温州みかん、バレンシアオレンジ、レモン、ゆずなどは苦み成分をほとんど含まないため、薬に影響を与えにくいといわれています。柑橘類はカリウム、ビタミンCを多く含み、抗酸化作用を持ち、疲労回復などに役立ちます。薬との関係をよく知って上手に摂りましょう。
 グレープフルーツの影響を受ける薬としては血圧のカルシウム拮抗剤がよく知られていますが、その他にも血中濃度の測定が必要な薬や体に長く留まることで副作用の出やすい薬などが影響を受けることがあります。お薬をもらわれる際は薬剤師にご相談ください。 (㈱メディカル一光・久居センター薬局薬剤師 大久保 梨乃)

 むずむず脚症候群は足の裏やふくらはぎ、太ももに「虫が這っているような感覚」や「むずむず感」「ほてり感」などの不快感があり、じっとしていられなくなる病気です。
 症状は、横になっているときや座っているときなど、じっとしているときに起こり、多くは夕方から夜にかけて強くなるため不眠や日中の眠気の原因となります。なぜ起こるのかは、まだよくわかっていませんが、遺伝性、鉄の欠乏または代謝異常、脳内のドパミン神経障害などが関与している可能性があると言われています。
 原因となる疾患がある場合には、その治療を行います。基礎疾患がなく軽症の場合、多くは日常生活の改善で解消されます。例えばカフェインやアルコール、タバコは症状を悪化させたり睡眠を妨げることがあるので、特に夕方以降の摂取を制限します。また軽めの運動や、ストレッチやマッサージなどで筋肉を適度にほぐすのも効果的です。
 薬物療法には飲み薬と貼り薬があります。貼り薬は24時間効果が持続するので昼間の症状にも有効です。また飲み薬は、てんかん発作を抑える薬やパーキンソン病を治療する薬が使用されます。治療を受けるときは、睡眠障害を専門としている医療機関や神経内科などでご相談ください。
 むずむず脚症候群で問題となるのは、脚の不快感や不眠だけではありません。むずむず脚症候群の患者さんは交感神経の活動が活発になっているため、血圧が高くなったり脈拍が増える傾向があり、心臓や脳血管に関係する病気のリスクが高まると言われています。
 さらに、不眠や日中の活動性の低下から心の病気のリスクも増大することがわかっています。このことからも、早めの治療が大切と言えます。(㈱メディカル一光・フラワー薬局新町店薬剤師 吉田 周代)

 水虫は、足・爪白癬の通称で、白癬菌という菌が足の皮膚の角質や皮下組織、爪に感染して炎症を起こす疾患です。足の指や足の裏に水疱ができて皮が破れ、痛みや痒みを伴います。
 水虫の薬には外用薬と内服薬があります。外用薬には様々な種類があり、患部の状況によって使い分けます。患部がジュクジュクした水虫にはクリームが使われます。ジュクジュクがひどい場合や亀裂ができている時には軟膏が良いとされています。乾燥している場合は液剤が適しています。 処方せん薬でも市販薬でも外用薬は、1日1回使うだけで良い薬がほとんどです。使用するのは、角質層が柔らかく、薬剤が浸透しやすくなった入浴後が効果的です。また、白癬菌は症状が出ている範囲より広く寄生していることが多いので、患部よりも広めに塗るのが良いでしょう。
 そして、白癬菌は、皮膚の角質層の奥深くに隠れていますので、症状がなくなった後も、少なくとも約1カ月間は根気よく続けることが大切です。
 一方、爪水虫は、外用薬で完全に治療するのが難しいので、皮膚科を受診してください。爪水虫には内服薬が処方されますが、飲み合わせに注意が必要な薬もあります。医師に現在服用中の薬を伝えるようにしてください。お薬手帳はこのような時に役に立ちます。また、薬をもらう際には薬剤師の説明もしっかりと聞いてください。
 水虫は高齢の方に多いと言われていますが、若い方でもなります。また、男性のほうが多いとされていますが、最近では女性の方にも増えてきています。これからの季節は水虫が増える時期です。水虫かなぁと思った時は、恥ずかしがらずに、まずはかかりつけの薬局で相談されてはいかがでしょうか。(㈱メディカル一光・フラワー薬局城山店薬剤師 榎屋 千尋)

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