社会

8月以降、連日の猛暑日の影響で熱中症による救急搬送が全国的に増えており、津市でも増加している。今年は新型コロナウイルス感染拡大予防のために3密を避ける「新しい生活様式」の中、炎天下でマスク着用をしている人も多く、熱中症対策との兼ね合いも重要になる。屋外など十分な距離が保てる状態であればマスクを外したり、エアコン使用中もこまめに換気を行うといった対策も求められている。

 

 

7月中は長雨が続いたことで、日照時間も少なく冷夏を思わせたが、梅雨明け後の8月に入り、気候が一変。気温も急上昇し、それに伴い三重県内でも救急搬送が増加。重症者や死亡例も出ている。
津市でも前述の気候事情で、今年7月の救急搬送数は25件と昨年の65件と比べると少なかったが、8月に入ってからは搬送数が増加。例年、搬送されるのは高齢者が多く、農作業中など屋外で発生するケースだけでなく、エアコンをつけないまま自宅で過ごしていたために発症したケースも多い。
熱中症は気温30度の真夏日から増加し、35度を超える場合は特に危険。運動は原則禁止で、外出もできる限り避け、涼しい室内に移動すること。
もし屋外で過ごす場合は、少しでも体調が悪くなったら、日陰など涼しい場所へ移動したり、こまめな水分や塩分の補給が必要となる。
この辺りまでは例年通りの熱中症対策だが、今年は新型コロナウイルス感染予防対策を意識した「新しい生活様式」の中で迎える初めての夏。三重県でも、感染者の急増を受け、県独自の緊急警戒宣言が出されている。津市内ではクラスターが発生していることからも、市民の間でも緊張感が高まっており、ウイルスの侵入を防ぐ気密性の高いマスクをつけて屋外に出る人も増えている。しかし、それが熱中症の原因にもなってしまう可能性があるので要注意。
環境省と厚生労働省も熱中症対策のために炎天下の屋外では、人と2m以上の十分な距離が保てる場合はマスクを外すことを推奨している。マスクを付けると内側に熱がこもるだけでなく、マスクが汗を吸って息苦しくなるので、激しい運動を避けるのはもちろん、気付かないうちに脱水症状になり易くなるので喉が渇いていなくてもこまめな水分補給を心掛けるべき。万が一、熱中症の危険を感じたら、すぐに外す判断も大切になる。
炎天下の屋外で無理してでもマスクを付ける理由には感染予防もあるが「どうしても他人の視線が気になるから」と感じる人も多い。そのため、前述の通り人との距離を十分に保った状態で、マスクを外している人に理解を示すことも重要な熱中症対策といえる。
感染予防のために、今年のお盆休み期間中はできるだけ外出を控え、自宅でのんびりと過ごす人も多いはず。その時、必須となるエアコンだが、室内の空気を循環させるだけなので、こまめな換気が求められる点も感染予防と熱中症対策の兼ね合いでの要注意ポイントとなるだろう。
異例の夏となった今年。手洗い・うがいの徹底など、新型コロナウイルスの感染予防に注意を払うことは当然としても、最悪の場合は命を落とす危険性がある熱中症の対策も怠らず無事に乗り切りたい。

新型コロナ感染防止策が不可欠

 

今年も大雨や台風による被害が危惧される季節になってきたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を万全にした避難所運営が求められている。津市でも避難所にマスクや消毒液などの配備を進めたり、三密に配慮した運用を行うなどの対策を進める。最も恐ろしいのが市民が感染を恐れる余り、避難所に行かずに被災すること。市民一人ひとりがどのような行動が必要かを改めて考える必要がある。

 

政府の緊急事態宣言が解除されて以降、新型コロナウイルス感染拡大防止策を踏まえた新しい生活様式が取り入れられており、マスクの着用や検温など、「三密」を避けるソーシャルディタンスの確保などが一般化している。

政府もこれに基づく、災害時の避難所運営の必要性を事務連絡。2mのソーシャルディスタンスを確保すると一カ所あたりの収容人数が大きく下がるため、出来る限り多くの避難所を開設することや、避難所の過密化を防ぐために安全な場所にある親戚や友人宅への避難も検討するよう勧めたり、避難者の健康状態の確認と体調不良者への対応といった内容で、全国の自治体は、それを踏まえた対策や情報発信を行ったり、新たなマニュアルの作成などに取り組んでいる。
津市には172カ所の指定避難所があり、学校や公民館などが主。毎年、夏には台風や大雨による被害が発生しやすくなることもあり、今日まで開催中の津市議会でも多くの市議から、当局に対して避難所運営に関する質問があった。
津市が実施する対策としては、各避難所にマスク・アルコール消毒液や、段ボールベッド・テントなどの設置を行う。また、避難所を運営を行う職員向けマニュアルも先述した国の事務連絡に合わせたものを作成し、それに基づく運営を行う。
換気、マスク着用、ソーシャルディタンスの確保など三密を避ける対応を基本に、受付時の体温測定や消毒を実施し、体調不良者が出た場合は隔離も行う。
収容人数が下がった分、体育館で収容できない場合は教室などを活用したり、周辺の避難所を開設する。
また、必要によっては指定避難所以外の市や県の公共施設などを活用したり、三重県と協定を結ぶ三重県旅館ホテル生活衛生同業組合に加入している宿泊施設の利用なども検討していく。
地域の自主防災組織が避難所ごとに定める避難所開設マニュアル作成の手引きも更新を行うべく準備を進めている。
最も危惧すべきなのは、市民が新型コロナ感染を恐れる余り避難せずに被災してしまうこと。行政が安心で安全な避難所の体制を整えることと同じくらい、市民一人ひとりの心構えも重要となる。洪水など各種ハザードマップを見て、自宅がどのようなリスクに見舞われ、どこへ避難しなければならないかを改めて認識したり、災害の規模が大きい場合は利用する可能性のある周囲の避難場所の確認、避難所の代わりに安全な場所にある親戚や友人の家に避難する場合はその順路なども決めておくことが必要だ。
非常用持ち出し袋にマスクや消毒液を新たに加えることなど手軽にできる対策も感染リスクを下げるのに有効。
いつどんな災害が起こるかは、誰にも予想できない。新型コロナ対策との両立が課題となるが、台風や集中豪雨による急な川の増水や土砂災害が発生の恐れによる避難勧告や、より多くの人々が被災する可能性が高い南海トラフ地震などで避難が必要になった場合、まずは最寄りの避難所を目指すという考え方自体は変わらない。
今後、行政によるより万全な避難所運営を行う体制づくりをするため、シミュレーションや収容人数の確認なども必要となろう。そして、なによりも市民の冷静で的確な判断と対応こそが重要といえる。

津市では、新型コロナウィルス感染症対策の「特別定額給付金」について、意欲の高い担当職員らによる迅速かつ的確な事務や、地元企業の多大な協力によって全国的にも早い振り込みを実現。5月31日までに、対象人口27万7109人のうち23万7542人への給付を完了し、コロナで打撃を受ける市民の家計に大きく貢献した。6月1日に給付事務体制を再編し、残る約4万人へもきめ細かく対応していく。

 

 

前葉市長(最前列右から2人目)と、特別定額給付金等推進室の職員ら

前葉市長(最前列右から2人目)と、特別定額給付金等推進室の職員ら

津市は、5月31日までに、対象人口27万7109人のうち23万7542人への給付を完了し、給付額合計は237憶5420万円、人口に対する給付率は85・72%に上った。当時まだ申請書の発送すら完了していない自治体もある中、全国的にも早い対応で家計を支援し、多くの市民から感謝の声が上がっている。
迅速な給付を実現できた要因は、事務体制の充実。具体的には、4月20日に給付金に関する事業費が盛り込まれた補正予算案が閣議決定された直後、22日に市役所市民部に「新型コロナウィルス感染症特別定額給付金等推進室」を設置。5月10日には郵送申請の申請書発送を開始。同月13日には郵送申請受付による給付を始め、これは全国計52の県庁所在地・政令市の中で最も早かった。
給付事務には、普段、学校給食などに携わる会計年度任用職員も最大時107名参加。各部署からの応援もあり、最大時218名体制で高い意欲を持って迅速かつ的確な作業を行った。
また地元の郵便局やIT・印刷・金融関連の企業の協力も大きかった。
同推進室は今月1日に給付事務体制を再編し、
到着した申請書の給付ま
での処理に加え、申請書の不備による返戻分や、施設入所者などで未申請の人への周知・呼びかけにも注力している。
同日、前葉泰幸市長が給付事務担当職員への訓示で「本当にご苦労様でした。津市役所が頑張ったということに加えて、津市の企業さんたちが本当によくやってくださった。まだ給付が完了していない約4万人は、住民票を移していないとか個別の事情がある方が多いと思う。できる限りきめ細かく、どうしたら良いかわからず困っている方には手を差しのべる形でやっていってほしい」と激励した。
なお、申請書の不備の事例には、銀行口座ではなくクレジットカードの情報が記載されているなどがある。不備があった場合、給付金に乗じた電話詐欺と混同されることを避けるため、電話はせず郵便で連絡している。
申請締め切り日は8月12日㈬。問い合わせは、津市の新型コロナウィルス感染症特別定額給付金等推進室の給付金専用相談窓口☎059・229・3574。

 

 

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