社会

 12月25日まで、津市の中心市街地で『第5回・秋の中心市街地活性化連携事業』として様々な事業を実施中。三重大学地域戦略センターと津市との共催。「津・伊勢・熊野」をテーマに伊勢参宮街道を照らす常夜灯のパネル展示を行ったり、三重県総合博物館の展示にちなんだ講演会なども企画。更に、津商業高校が空き店舗を活用したり、中心市街地活性化に向けた企画案発表会など、多彩な内容で活性化につなげていく。

 

 秋の中心市街地活性化連携事業は、津駅前・大門・丸之内・津新町周辺と三重大学にある13会場で様々な団体が実施するイベントを一体的な事業として、中心市街地活性化をめざす。
 同センターと津市教育委員会が行う事業が、11月1日~30日10時~17時(松菱のみ10時~19時)、津センターパレス(1階と地下)と松菱で開催するパネル展示『津・伊勢神宮・熊野』。津藩祖・藤堂高虎公は伊勢神宮へ向かう参宮街道を今の中心市街地にある大門たてまちに通し、城下町を発展させた。そのような歴史を踏まえ津センターパレス地下会場では「お伊勢さんへの道~常夜灯と道標」をテーマに参宮街道をはじめ津にある7つの街道と行きかう人々を照らし続けた常夜灯と道標を紹介。同1階と松菱とで古式を受け継ぐ伊勢神宮の伝統を学べる。
 加えて、熊野古道が世界遺産認定10周年に因み、11月24日まで、三重県総合博物館で開催している企画展「祈りと癒しの地 熊野」とコラボ。11月15日13時半~15時半にアスト津4階のアストホールで同博物館学芸員の瀧川和也氏による講演会「熊野比丘尼と熊野勧心十界曼荼羅」を行う。
 そのほか、12月14日9時半~14時には、津商業高校の生徒が丸之内商店街の空き店舗で、市内企業の多彩な商品を販売する「津商デパート」を開催。
 また、12月4日18時半からは、「中心市街地活性化にむけた企画案発表会」。有志らが集い、中心市街地活性化策を検討してきた「中心市街地タスクフォース」が三重大の西村訓弘副学長のもと、「中間時企画事業発表会」を公開で開催。
 また、今年最大の特色としては、三重大にまで会場を広げたこと。11月10日~12月25日、レーモンドホールと環境・情報科学館で映画「ウッジョブ」と、そのロケ地となった三重大学演習林の取組や美杉の自然・林業などの展示を実施。
 11月28日、津市センターパレスホールで、ハープ奏者・荒木まどかさんと声楽家・藤原靖子さんの「スペイン、日本のお話の語りとハープの調べ」や、食育をテーマに三重大とJAが制作した絵本の読み聞かせ、それにちなんだ特製弁当での親子ランチなどを行う。
 恒例の8団体の豪華な景品が当たるスタンプラリー(津観音・津センターパレス・津松菱)も11月1日~30日に開催。様々な店舗で割引などのサービスが受けられる中心市街地来街感謝券も津センターパレスなどで配布している。イベントに参加して、中心市街地を盛り上げてみては。
 各会場の主な催しは……
 ▼中心市街地全域…11月14日、有造館ゼミウォーク。11月23日、津のまん中ウォーク(秋の彩りと江姫・高虎さんゆかりの地)。
 ▼津観音と観音公園会場…~11月30日、「津観音と伊勢神宮~藤堂家とその周辺」。11月1日~2日、津の昭和の博覧会。11月18日津観音縁日餅まき祭。
 ▼津市大門地区…11月15日・22日、津ぅのドまんなかバル。
 ▼大門大通り商店街会場…12月7日、FМ三重公開生放送。12月12日~23日、松阪肉が当たる年末売出。
 ▼大門いこにこ広場会場(大門オーデンビル)…10月25日、赤塚植物園による親子でよせ植え教室、赤塚植物園による秋の園芸教室(共に有料)。
 ▼津市まん中広場…11月23日、ひろばdeグルメ。
 ▼津センターパレス会場…10月25日、ハロウィンパーティー(有料)。11月1日~30日、三重県高校写真連盟の写真展。
 ▼リージョンプラザ会場…11月5日、高虎のつどい ▼丸之内商店街&フェニックス通り会場…11月3日、第47回高虎楽座、第9回農林水産まつり。
 ▼津松菱会場…11月12日~20日、大北海道展。
 三重大地域戦略センター☎津231・9899、津市商工観光部商業振興労政課☎津229・3169へ。

 老朽化した「ため池」は大地震だけでなく、台風や豪雨による増水でも決壊の危険性があり、津市でも津波とは関係ない中山間地域などで隠れたリスクとして認識されている。改修には長い期間と費用が必要で、ため池を管理する農家の高齢化が進んでいることからも決壊した際の浸水域を示したハザードマップの作成など、日常から該当地域の住民が情報を共有できるソフト事業の推進が求められている。

 

改修工事が進められている小古曽池

改修工事が進められている小古曽池

 ため池は取水をする都合上、集落や農地より高い位置に作られていることが多く決壊した場合、大きな被害が出ている。三重県内には農業用ため池が3159カ所あるが、江戸時代以前につくられたものが多く、耐震性の不足が問題となっている。
 昨年、県内の自治体が受益面積の広い2ヘクタール以上のため池2520カ所の一斉点検を実施。そのデータを県が客観的に分析したところ217カ所で緊急整備の必要性を認めた。更に決壊した際に、人的被害が予想される51カ所の整備を優先的に進めるとしている。
 しかし、ため池の整備には大きな費用と時間が必要で、県内でまだ35カ所のため池でしか耐震対策は終わっていないという苦しい実情が浮き彫りとなる。
 加えて、ため池を管理している農家が高齢化していることや、農村内に新たな住宅地が造成されて、集落の近くにため池があることすら知らない人が暮らしているケースなどが増加。日常から情報共有する手段が求められている。
 そこで県も、改修より短い期間で大きな効果が期待できるハザードマップの整備を自治体に勧める方針を打ち出している。
 前述の調査で、津市も市内にあるため池360カ所の調査を実施。現在、安濃町の小古曽池など、県営事業で現在耐震化工事を行っているものの、老朽化が進んだ池を全て改修するには膨大な時間が必要となる。
 現状、震度4以上の地震が発生した場合には、決壊で人的被害が出る可能性があるため池を担当職員が直接出向いて確認をするとしている。だが、対象が80カ所もあり大地震の発生時にいち早く駆け付けられるとは限らない。また、地震に限らず、最近、津市内でも大きな被害を出した集中豪雨や台風による増水での決壊も想定すると、地域住民が日頃から被害を想定した避難経路などを把握しておくという観点から、ハザードマップは必要となる。
 県内でも、中山間地の占める割合が多く、多くのため池を抱える伊賀市は、いち早くハザードマップの作成に取り組んでいる。市内50カ所の浸水予想地域や震度、避難地域などを示したマップを公開している。
 現状、津市はまだ整備には取り組んでいないが、今後、農家の高齢化が更に進めば、誰も管理していないため池が増えてくる可能性も高い。そういった意味でハザードマップの必要性は時を追うごとに早い整備が求められているといえる。
 対象となる地域が広く、甚大な被害が出やすい津波や洪水によるハザードマップは全国的にも整備が進んでいるが、それらと比べると被害にあう地域の狭いため池にまで手が及んでいない自治体も多い。
 県も今回の調査結果で緊急整備が必要なため池を抱える自治体に改修と共に、ハザードマップ作成の呼びかけを行うとしているが、国も対応に限界のある改修だけではなく、ハザードマップを始めとするソフト事業での対策を推進。地域住民が主体となった防災対策を呼びかけている。津市でもできる限り早期の作成に期待したい。

津市に拠点を置く「特定非営利活動法人パフォーミングアーツネットワークみえ」=油田晃代表理事、以下・PANみえ=が11月、津市美里町三郷に新劇場『Théâtre de Belleville』を開設。今年津市に拠点を移したレジデントカンパニーの「第七劇場」=代表・鳴海康平さん(34)=が11月23・24・30日、こけら落とし公演「シンデレラ」を上演する。新たな地域の文化拠点に期待が集まる。

 

鳴海さん…オープンに向け改装中の新劇場で

鳴海さん…オープンに向け改装中の新劇場で

北海道出身で演出家の鳴海さんは99年、早稲田大学在籍中に数名の俳優と共に『第七劇場』を創立。「国境を越えることができるプロダクション」をポリシーに作品を制作し、全国や韓国・独・仏で公演を行ってきた。「例えば夕焼けを見たときの感動を、言葉以外のもの、舞台上の人の動きや照明、音響、舞台美術など空間が持っているドラマで感じてもらえる作品を目指している」と言う。
06年から東京に拠点を構えていたが、約5年前、三重県に拠点を移すことを決める。きっかけは、当時、県内での活動をshinderera通じ、三重県立文化会館やPANみえのスタッフなどが、文化振興や県民への舞台芸術の提供に、官民協働で熱心に取り組んでいるのを知ったこと。鳴海さんにとって他の地域では見られなかった珍しい事例で、非常に魅力に感じたという。
新劇場の名称はフランス語で直訳すると「美里(美しい里)の劇場」。PANみえが管理運営を行う劇場として津あけぼの座、津あけぼの座スクエアに続き3カ所目。建物は元々企業の資材倉庫で、拠点を移したいという鳴海さんの希望を受け、油田さんらが探し出した。現在、同劇団員らが改装中で舞台面の間口9・6m、奥行き7・2m、客席は常設60席となる予定。 また、こけら落とし公演「シンデレラ」は、有名なグリム童話や、世界中にある良く似た昔話を油田さんが再構成したもの。コンセプトは、「小さな大人(=子供)と、大きな大人のための誰も見たことのない、シンデレラ」「私の人生は私が決める」。オーディションで選ばれた県内など在住の男女4名も出演する。 鳴海さんは「アートや文化を人生を豊かにするために上手く利用するということを形にして、皆さんに伝えていけたら。また、地域に根ざした劇場や、地域を飛び越えて外に文化発信する拠点、色んな人が色んな地域から集まる拠点、若い表現者を支援する拠点としてミッションを実現していきたい」と抱負を語った。
新劇場から、津市や美里町ならではの文化や、人々の交流が生まれることを期待したい。
なお「シンデレラ」の公演は11月23日15時、24日①11時半②17時、30日15時開演▼上演時間約60分、全席自由。各回開演の40分前から受付、20分前開場。各回終演後、ゲストとのトークあり▼チケットは一般2千円・22歳以下千円・親子ペア2千500円(大人1名と小学生以下1名)。※こけら落とし限定の美里割スペシャル!として美里町在住の全ての人を招待※津あけぼの座・津あけぼの座スクエアで実施している割引(ごひいきさん・ごひいきさんハーフ・リピート割)も利用可能▼予約は津あけぼの座のHPまたは☎津222・1101、第七劇場のHPで受け付け中。

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